電車内の痴漢事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
~事件~
会社員Aさんは、大阪市西区の会社まで電車通勤しています。
3日前からAさんは、毎朝同じ車両に乗っている女性に対して、お尻を触る等の痴漢行為を繰り返していました。
そして今朝も、同じ女性に対して陰部を押し付ける痴漢行為をしたところ、電車内で警戒中の鉄道警察隊の警察官に現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんんは、痴漢行為が会社に発覚するのをおそれて、逮捕からこれまで容疑を否認しています。
しかし、妻からの依頼で接見に来た弁護士に「否認を続ければ勾留されて、拘束期間が長期に及ぶ可能性がある」ことを教えてもらって、犯行を認めました。
その結果、Aさんは勾留を免れることができ、逮捕の翌日には釈放されました。
(フィクションです。)
◇痴漢事件◇
これまでコラムでは何度も痴漢事件を紹介してまいりました。
大阪府内での痴漢行為は、大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(以下「迷惑防止条例」とする)違反となり、起訴されて有罪が確定すれば6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。
痴漢事件で逮捕された方の中には、Aさんのように、実際は痴漢をしているが、様々な理由で犯行を否認している方は少なくありません。
当然、身に覚えのない痴漢事件で逮捕されたのであれば、どの様なリスクがあっても否認を突き通さなければ、大きな不利益を被ることになりかねませんが、実際に痴漢してしまった場合、否認することによってどのようなリスクが生じるのでしょうか。
~痴漢事件を否認することのリスク~
①身体拘束が長くなる
警察等の捜査機関は痴漢事件を軽微な犯罪ととらえています。
痴漢事件は、犯人が性欲を満たすために衝動的に犯行に及んでいる場合がほとんどなので、警察等の捜査当局は、犯人を拘束してまで取調べをする必要のない事件が大半です。
しかし、犯行を否認している場合は違います。
犯行が明らかなのに否認している場合は、逮捕されるリスクや、勾留されるリスクが高まるのです。
法律的には「否認=(イコール)=逮捕、勾留」というわけではありませんが、否認していることによって、証拠隠滅や逃走のおそれがあると判断されて、身体拘束される可能性が高くなるのが現状です。
実際に、逮捕されてからの警察の取調べで否認していたために検察庁に送致された方が、検察官の取調べで容疑を認めて釈放されたり、裁判官が勾留請求を却下した事件は多数あります。
またAさんが心配しているような「会社に事件が発覚する」という点に関しても、痴漢事件が会社に発覚する理由として最も多いのが、逮捕の報道や、長期拘束による欠勤です。
犯行を認めているかどうかと、事件が勤務先に発覚するかどうかはあまり関係がないので注意しなければなりません。
②強制わいせつ罪の適用を受ける可能性がある
上記のように、犯行を否認することによって勾留されて身体拘束期間が長くなるリスクがあります。
勾留は、警察等の捜査機関が決定することではなく、裁判官が決定する刑事手続きですが、軽微な犯罪である迷惑防止条例違反を適用するよりも、強制わいせつ罪の方が重いので、裁判官が勾留を決定しやすい傾向にあることから、同じ行為でも強制わいせつ罪が適用される場合があります。
強制わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」ですので、もし起訴されて有罪が確定した場合の刑事罰に、迷惑防止条例違反と大きな違いがあるので注意しなければなりません。
③被害者感情が悪くなる
身に覚えのない痴漢事件の場合、冤罪を証明することが主な刑事弁護活動となりますが、犯行を認めた場合の主な刑事弁護活動は示談交渉になります。
被害者と示談することによって、刑罰を免れたり、減軽できたりするのですが、犯行を否認した場合の、被害者感情は非常に厳しいもので、それが原因で示談交渉にすら全く応じてもらえないこともあります。
犯行が明らかな痴漢事件は、被害者との示談がなければ刑事罰を免れるのは非常に困難となるので注意しなければなりません。
◇初回接見を利用◇
痴漢事件で警察に逮捕されてしまった方のほとんどは、どの様に警察の取調べに応じていいものか分かりません。
それ故に、不合理な弁解や、否認を続けてしまって、必要以上の不利益を被ってしまう方もいるので、その様な事態を避けるためにも、ご家族、ご友人の逮捕を知った方は、まず刑事事件に強い弁護士の初回接見をご利用ください。
弁護士の見解を聞き、取調べの対応を検討することによって、早期の釈放や、刑事罰の軽減が実現します。
刑事事件に強い弁護士の初回接見はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けております。