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~刑法を解説~ 第39章 盗品等に関する罪 

2022-12-04

~刑法を解説~51回目の本日は、第39章盗品等に関する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

盗品等に関する罪

第39章盗品等に関する罪では

第256条 1項 盗品等無償譲受け罪
      2項 盗品等有償譲受け罪盗品等運搬罪盗品等保管罪盗品等処分あっせん罪  
が規定されています。

この章でいうところの「盗品等」とは、何も窃盗罪の被害品に限られません。
財産に対する犯罪行為に不法に領得された物であれば、ここでいう「盗品等」に当たりますが、収賄罪でいうところの賄賂や、賭博罪で取得された金品、漁業法違反によって密漁された魚介類は、盗品等には当たりません。
また盗品等の罪が成立するには、まず本件の犯罪行為がすでに既遂に達していることが、前提条件となります。
そして盗品等の罪の主体となるのは本件の犯罪行為の被疑者以外の者です。
ちなみに、本件の犯罪行為は、構成要件に該当する違法な行為であれば足り、有責であることまでは必要とされていません。
つまり刑事責任に問われない、触法少年(14歳未満)による窃盗事件の被害品を譲り受けたり、すでに公訴時効が成立している詐欺事件の被害品を譲り受けたような場合でも、盗品等の罪は成立するのです。

そして盗品等の罪が成立するには、いうまでもなく故意が必要となります。
つまり自分が譲り受けた者が「盗品等」であることを認識していなければ盗品等の罪には問われない可能性があるのです。
ただ誰が犯したどんな犯罪によって取得された物であるのかまで、詳しい情報を知っている必要はなく「何らかの財産犯罪によって得られた物である」程度の認識があれば足りるとされています。

それではまず第1項の「盗品等無償譲受け罪」について解説します。
盗品等無償譲受け罪は、盗品等を無償で譲り受けることによって成立する犯罪です。
友達が盗んできた自転車をタダでもらったりすると成立する可能性があるのが、盗品等無償譲受け罪です。

続いて第2項に規定されている、盗品等有償譲受け罪盗品等運搬罪盗品等保管罪盗品等処分あっせん罪について解説します。
まず盗品等有償譲受け罪ですが、これは盗品等を有償で譲り受けることによって成立する犯罪です。
そして盗品等運搬罪ですが、これは無償、有償に関わらず、盗品等の場所を移すことで成立する犯罪です。
また盗品等保管罪は、その罪名のとおり、盗品等を保管することで成立する犯罪で、盗品等あっせん罪は、盗品等の売買、交換、質入れ等を媒介、周旋することで成立する犯罪です。

盗品等に関する罪の罰則

①盗品等無償譲受け罪の法定刑は「3年以下の懲役」です。
②盗品等有償譲受け罪、盗品等運搬罪、盗品等保管罪、盗品等処分あっせん罪の法定刑は「10年以下の懲役及び50万円以下の罰金」です。

「~刑法を解説~ 第40章 毀棄及び隠匿の罪 」に続く

~刑法を解説~ 第38章 横領の罪 

2022-12-01

刑法を解説~50回目の本日は、第38章横領の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

横領の罪

第38章横領の罪には

第252条 横領罪
第253条 業務上横領罪
第254条 遺失物横領罪占有離脱物横領罪漂流物横領罪
 
が規定されています。

まず第252条の横領罪について解説します。
横領罪とは、自己の占有する他人の物を横領することによって成立する犯罪です。
また自己の物であっても、公務所から保管を命じられている物を横領しても横領罪が成立します。(第2項)
横領罪でいうところの「横領」とは、不法に領得する、つまり「不法領得の意思を実現する」ことで、行為に制限はありません。
不法領得の意思とは、窃盗罪等の財産犯が成立するのに必要とされており、その内容は「権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として、その経済的用法に従い、利用処分する意思」を意味します。
横領罪の主体となるのは、委託に基づいて他人の物を占有する者や、公務所から保管を命じられて自己の物を占有する者と限られているので、横領罪は身分犯の一種だといえます。
また横領罪における「占有」の基礎には、所有者と行為者との間に委託信任関係がなければなりません。
人から預かったり、借りている物を勝手に転売したり、レンタカーを期限内に返却せず、そのまま乗り続けたりすれば横領罪となってしまいます。

そして業務上、自己の占有する他人の物を横領すれば、第253条の「業務上横領罪」が成立します。
業務関係に基づく占有物についての横領行為は、通常、犯人と多数人との間の信頼関係を破るものである点において、その法益侵害の範囲が広く、また頻発のおそれが多いことなどから、業務上横領罪は、横領罪に比べると厳しい罰則が設けられています。

横領罪の最後第254条には、遺失物や漂流物、占有を離れた他人の物を横領することによって成立する、遺失物横領罪漂流物横領罪占有離脱物横領罪が規定されています。

横領の罪の罰則

①横領罪の法定刑は「5年以下の懲役」です。
②業務上横領罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
③遺失物横領罪・占有離脱物横領罪・漂流物横領罪の法定刑は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。

「~刑法を解説~ 第39章 盗品等に関する罪」に続く

~刑法を解説~ 第37章 詐欺及び恐喝の罪 ~②~

2022-11-29

~前回の続き~

本日は、第248条の準詐欺罪から解説します。
準詐欺罪は、未成年者の知慮浅薄または人の心神耗弱に乗じて、財物を交付させたり、財産上不法の利益を得たりすることによって成立する犯罪です。
あまり聞きなれない罪名で、条文を読んでもどういった行為が該当するか分かりにくいかと思いますが、準詐欺罪を簡単にいうと、物事を判断することができない(困難な)未成年者や精神障害者を誘惑するなどして、こういった人たちから金品を受け取ることによって成立する犯罪です。

そして第249条に規定されているのが恐喝罪です。
恐喝罪とは、人から金品を脅し取ることによって成立する犯罪、詐欺罪と同様に、恐喝して財産上不法の利益を得る等した場合にも成立します。(2項恐喝)

恐喝罪も、詐欺罪とよく似た構成要件が存在し、その内容は

①脅す行為⇒②相手が恐怖に陥る(畏怖する)⇒③畏怖した相手が金品を交付する⇒④交付された金品を受け取る

といったもので、それぞれには因果関係が必要とされています。
恐喝とは、反抗を抑圧するに至らないかつ、相手が畏怖する程度の暴行や脅迫を加えて金品を要求することで、相手の反抗を抑圧するほど、暴行や脅迫の程度が強かった場合は、恐喝罪ではなく、強盗罪に問われてしまうこともあります。

恐喝事件の客体となるのは、他人が占有する他人の財物です。
違法薬物等、所持が禁止されている禁制品や、不動産であっても恐喝罪の客体となります。
また、借金の返済など、本来請求できるものであっても、行き過ぎた行為は恐喝罪となってしまうので注意が必要です。
例えば、犯罪被害にあった際に、加害者に対して慰謝料を請求する際でも、そこで口にした内容によっては恐喝罪に抵触する可能性があります。

詐欺及び恐喝の罪の罰則

①詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
②電子計算機使用詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
③背任罪の法定刑は「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
④準詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
⑤恐喝罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。

「~刑法を解説~ 第38章 横領の罪」に続く

~刑法を解説~ 第37章 詐欺及び恐喝の罪 ~①~

2022-11-28

本日と明日の二日間にわたっては、第37章詐欺及び恐喝の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

詐欺及び恐喝の罪

第37章詐欺及び恐喝の罪には

第246条 詐欺罪
第246条の2 電子計算機使用詐欺罪
第247条 背任罪
第248条 準詐欺罪
第249条 恐喝罪

が規定されています。

まず第246条の詐欺罪は、人を金品を騙し取ることによって成立する犯罪です。
ここ数年は、振り込め詐欺還付金詐欺など、いわゆる特殊詐欺事件が世間を騒がせており、ニュースなどでもよく報道されていますが、身近なものだと無銭飲食も詐欺事件となることがあります。

詐欺罪が成立するには

①騙す行為(欺罔行為)⇒②相手が騙される(欺罔に陥る)⇒③騙された相手が金品を交付する⇒④交付された金品を受け取る

といった、構成要件が必要とされ、それぞれには因果関係が必要とされています。
これらのうち一つでも欠けると詐欺罪は成立せず、成立するとしても詐欺未遂罪にとどまります。
例えば、AさんはBさんを騙して金を騙し取ろうとして、Bさんに嘘をついてお金を要求したが、Bさんは、Aさんの嘘に気付いた。がしかし、お金に困窮しているAさんを憐れんだBさんは、騙されたふりをして、Aさんにお金をあげた。
こういった事件の場合、少なくとも上記した構成要件の①(AさんがBさんに嘘をついてお金を要求する欺罔行為)は認められますが、②(Bさんが騙されるといった錯誤に陥る)には至っていません。
しかし結果的にAさんはBさんからお金の交付を受けているので、一見すると詐欺罪の既遂のようにも思えますが、少なくともBさんは錯誤に陥っていないので、詐欺の構成要件を欠くことになり、詐欺の未遂罪を構成するにとどまるのです。

また詐欺罪の客体となるのはお金や物といった財物に限られません。
第246条2項には、人を騙して、財産上不法利益を得たり、人に得させることで成立する詐欺罪が規定されています。(2項詐欺)

そして第246条の2では、電子計算機使用詐欺罪が規定されています。
電子計算機使用詐欺罪は、人の事務処理に使用する電子計算機虚偽の情報または不正な指令を与えて、財産権の得喪、変更にかかる不実な電磁的記録を作り、または財産権の得喪もしくは変更にかかる虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法利益を得る、または他人にこれを得させることによって成立する犯罪です。
電子計算機使用詐欺罪でいう、電子計算機とは、他人のコンピューターのことです。

本日最後に解説するのは、第247条に規定されている背任罪です。
背任罪は、他人のためにその事務を処理する者が、自己もしくは第三者の利益を図りまたは本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えた場合に成立する犯罪です。
背任罪を分かりやすく言うと、会社員が会社を裏切って会社の利益にならない行動を起こすことによって成立する犯罪です。
ちなみに会社の取締役や支配人など、一定の地位にある人が背任罪に当たる行為をした場合は特別背任罪となります。
特別背任罪は、刑法ではなく会社法に定められている犯罪です。

~次回に続く~

~刑法を解説~ 第36章 窃盗及び強盗の罪~②~

2022-11-26

刑法を解説~47回目の本日は、第36章窃盗及び強盗の罪~②~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

第36章窃盗及び強盗の罪~①~ こちらをクリック

窃盗及び強盗の罪~②~

本日は、第36章窃盗及び強盗の罪に規定されている犯罪の中から、強盗に関する罪について解説します。

第236条 強盗罪
第237条 強盗予備罪
第238条 事後強盗罪
第239条 昏酔強盗罪
第240条 前段 強盗致傷罪 強盗傷人罪
      後段 強盗致死罪 強盗殺人罪
第241条 前段 強盗強制性交等罪
      後段 強盗強制性交等致死罪

本日は、数多くの犯罪を規定している刑法の中でも、凶悪事件として分類されている強盗に関する犯罪について解説します。
まず第236条に規定されているのが、暴行又は脅迫を用いて、他人の占有する財物を強取することによって成立する強盗罪です。
また他人の占有する財物を強取するだけでなく、財産上不法の利益を得たり、他人に得させたりした場合も強盗罪となります。(2項強盗)
タクシードライバーに暴行する等して、タクシー料金を踏み倒した場合が2項強盗に当たります。
強盗罪は、暴行や脅迫を用いて他人の財産を得るという点では、恐喝罪とよく似てますが、暴行や脅迫の程度が恐喝罪とは異なります。
また強盗は、予備行為も処罰の対象となります。(第237条)
強盗の予備行為とは、強盗するための準備行為を意味し、どういった行為が予備行為に当たるかは非常に幅が広く、強盗に押し入る店舗を下見するだけでも強盗予備罪になる可能性があります。

第238条では事後強盗罪が規定されています。
事後強盗罪は、窃盗犯人が、窃取した財物を取り返されるのを防いだり、逮捕を免れたり、罪証を隠滅するために、暴行や脅迫をした時に成立する犯罪です。
例えば、万引き犯人が、犯行を目撃した店員に捕まりそうになった際に、捕まるのを免れるために店員に暴行した場合などに成立する犯罪です。
当然、その際に相手に怪我をさせると次に解説する強盗致傷罪となります。

続いて第239条に規定されている昏酔強盗罪について解説します。
昏酔強盗は、昏酔させた人から財物を盗ることによって成立する犯罪です。
昏酔とは、意識喪失又は意識や運動機能に障害を生じさせることで、そういった状態にさせる方法に制限はありませんが、麻酔等の薬物を用いるのが一般的でしょう。

そして強盗の際に相手に怪我をさせると第240条の前段に規定されている強盗致傷(傷人)罪となります。
強盗致傷罪と、強盗傷人罪の違いは、相手に怪我を負わせる意思があったかどうかです。
犯行当初から、相手に怪我をさせる意思はなく強盗行為に及んだが、結果的に相手に怪我をさせてしまった場合は、強盗致傷罪となり、そもそも相手に怪我をさせる意思をもって強盗行為に及んだ場合は強盗傷人罪となります。
同じく第240条の後段には、強盗致死(殺人)罪が規定されています。
ここでも相手に対する殺意の有無で罪名が区別されています。
強盗致傷罪強盗傷人罪強盗致死罪強盗殺人罪は同じ条文に規定されていますが、どういった刑事罰が科せられるかは、当然、相手に怪我を負わせたり、殺してしまう意思があったかどうかが大きく影響します。

窃盗及び強盗の罪~②~の罰則

①強盗罪、事後強盗罪、昏酔強盗の法定刑は「5年以上の有期懲役」です。
②強盗予備罪の法定刑は「2年以下の懲役」です。
③強盗致傷罪、強盗傷人罪の法定刑は「無期又は6年以上の懲役」です。
④強盗致死罪、強盗殺人罪の法定刑は「死刑又は無期懲役」です。
⑤強盗強制性交等罪の法定刑は「無期又は7年以上の懲役」です。
⑥強盗強制性交等致死罪の法定刑は「死刑又は無期懲役」です。

「~刑法を解説~第37章詐欺及び恐喝の罪~①~」に続く

~刑法を解説~ 第36章 窃盗及び強盗の罪~①~

2022-11-25

刑法を解説~46回目の本日は、第36章窃盗及び強盗の罪~①~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

窃盗及び強盗の罪~①~

本日は、第36章窃盗及び強盗の罪に規定されている犯罪の中から、窃盗罪不動産侵奪罪について解説します。

第235条   窃盗罪
第235条の2 不動産侵奪罪

について解説します。

まず第235条に規定されているのが窃盗罪です。
第235条の条文を引用すると、窃盗罪は、他人の財物を窃取することによって成立する犯罪です。
簡単に言うと、窃盗罪とは、人の物を盗むことで、皆さんが一番身近に感じる犯罪の一つではないでしょうか。
スーパー等のお店の商品を盗む万引きや、自転車を盗む自転車盗、人ごみの中で人を財布を盗むスリ、そして自転車のカゴに入っているカバンを盗む引ったくり、留守の家に忍び込んで盗む空き巣など、これらは全て窃盗罪です。
そして同じ窃盗罪でも、有罪となった場合に科せられる刑罰は様々です。
例えば万引きのような比較的被害額が少額な窃盗事件であれば、そもそも刑事罰が科せられない不起訴という結果で手続きが終結することも珍しくありませんが、被害額が高額となりがちな侵入窃盗事件や、自動車盗など、また犯情が悪質な引ったくりやスリなどは、初犯であっても厳しい刑事罰が科せられる可能性があるのが特徴です。
ちなみに窃盗罪の客体となるのは、他人の占有する他人の財物です。
お金や物などが代表的ですが、電気など無体物であっても窃盗罪の客体となり、この事は刑法第245条に明記されています。

※刑法第245条
この章の罪については、電気は、財物とみなす。

そして第235条のに規定されているのが不動産侵奪罪です。
不動産侵奪罪は、他人の不動産を侵奪することによって成立する犯罪ですが、あまり適用されることのない罪名なために、聞いた事がない方も多いのではないでしょうか。
不動産侵奪罪でいうところの「侵奪」とは、不動産に対する他人の占有を排除し、これを自己又は第三者の占有に移すことをいいます。

窃盗及び強盗の罪~①~の罰則

①窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
②不動産侵奪罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。

「~刑法を解説~第36章窃盗及び強盗の罪~②~」に続く

~刑法を解説~ 第35章 信用及び業務に対する罪

2022-11-23

刑法を解説~45回目の本日は、第35章信用及び業務に対する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

信用及び業務に対する罪

本日は、第35章信用及び業務に対する罪に規定されている

第233条 信用毀損罪偽計業務妨害罪
第234条 威力業務妨害罪
第234条の2 電子計算機損壊等業務妨害罪

について解説します。

第233条には、虚偽の風説を流布したり、偽計を用いて人の信用を毀損することによって成立する信用毀損罪と、虚偽の風説を流布したり、偽計を用いて人の業務を妨害することによって成立する偽計業務妨害罪が規定されています。
ここでいう「虚偽の風説を流布」とは、真実と異なった内容の事項を不特定又は多数の人に伝播させることを意味します。
これは分かりやすく言うと「嘘の情報を世間に流すこと」です。
続いて「偽計を用いる」とは、人を騙したり、人の錯誤、不知を利用したり、人を誘惑したりする他、計略や策略を講じるなど、業務妨害罪では、威力以外の不正な手段を用いることを意味するとされています。
また信用毀損罪の「信用」とは、経済的な側面における人の社会的な評価、つまり経済的な信用を指しますが、サービスの品質や、商品そのものの信用も含まれるとされています。
また業務妨害罪の成立に当たっては、実際に業務遂行が妨害されることまでは必要とされておらず、妨害の結果が発生する可能性があれば業務妨害罪が成立するとされています。
そして、偽計ではなく威力を用いて人の業務を妨害することによって成立するのが、第234条の威力業務妨害罪です。
ここでいう「威力」とは、暴行や脅迫は当然のこと、それらに至らないまでも、人の意思を制圧するような勢力を意味します。

そしてこの章の最後に解説するのが第234条の2に規定されている電子計算機損壊等業務妨害罪です。
この法律は、電子計算機、いわゆるコンピューターに対して何らかの加害を加えることによって、人の業務を妨害することによって成立します。

信用及び業務に対する罪の罰則

①信用毀損罪・偽計業務妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
②威力業務妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
③電子計算機損壊等業務妨害罪の法定刑は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。

「~刑法を解説~第36章窃盗及び強盗の罪」に続く

~刑法を解説~ 第34章 名誉に対する罪

2022-11-21

~刑法を解説~44回目の本日は、第34章名誉に対する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

名誉に対する罪

本日は、第34章名誉に対する罪に規定されている

第230条 1項 名誉毀損罪
      2項 死者名誉毀損罪
第231条 侮辱罪

について解説します。

この章では、名誉に対する罪である(死者)名誉毀損罪と、侮辱罪について規定されています。
インターネットが普及し、SNSの利用者の増加に伴って、ネット上において本章に規定されている犯罪が社会問題となり、度々、テレビや新聞等で特集が組まれるほど話題になっています。
まず第230条の名誉毀損罪について解説します。
名誉毀損罪は、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に成立する犯罪です。
ここで摘示する事実は、真実であろうと虚偽であろうと、名誉毀損罪の成立には影響しません。
また2項の死者名誉毀損罪は、死者の名誉を毀損することによって成立する犯罪ですが、死者名誉毀損罪は、摘示した事実が虚偽の場合にしか処罰の対象となりません。
ここでいう「公然」とは、不特定又は多数人が認識できる状態を意味し、また摘示される事実は、真実、虚偽にはとらわれませんが、少なくとも人の社会的評価を害する内容でなければならず、ある程度具体的な内容を含まなければならないとされています。

他方、第231条に規定されている侮辱罪は、公然と侮辱することによって成立する犯罪で、事実を摘示することまで必要とされていません。

ネット上における誹謗中傷事件

最近ではインターネットの匿名性を利用した誹謗中傷が、侮辱罪として刑事事件化されることが珍しくありません。
インターネットでは、誰もが目にすることのできる掲示板等に、誰もが簡単に投稿できるので、投稿した内容によっては人を傷つけることもあり、大きなネットトラブルに発展する危険性もひめています。
ここ数年の間に、そんな事件が多発しており、侮辱罪が見直されました。
そして今年の7月7日から侮辱罪の罰則が強化されています。

名誉に対する罪の罰則

①(死者)名誉毀損罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」です。
②侮辱罪の法定刑は「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。

「~刑法を解説~第35章信用及び業務に対する罪」に続く

~刑法を解説~ 第33章 略取、誘拐及び人身売買の罪~②~

2022-11-18

刑法を解説~43回目の本日は、第33章略取、誘拐及び人身売買の罪~②~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

略取、誘拐及び人身売買の罪~①~については⇒⇒こちらをクリック

略取、誘拐及び人身売買の罪~②~

本日は、第33章略取、誘拐及び人身売買の罪に規定されている中から

第226条の2 1項 人身買受け罪
        2項 未成年者買受け罪
        3項 営利人身買受け罪
        4項 人身受渡し罪
        5項 所在国外移送人身売買罪
第226条の3 被略取者等所在国外移送罪
第227条 1項 営利拐取等幇助目的被拐取者引渡し罪
      2項 身代金拐取者幇助目的被拐取者引渡し罪
      3項 営利被拐取者引渡し罪
      4項 身代金被拐取者収受罪、収受者身代金取得罪

について解説します。

まず第226条の2では人身売買について規定されています。
第1項では、人を買い受けることによって成立する「人身買受け罪」が、第2項では、未成年者を買い受けることによって成立する「未成年者買受け罪」が規定されいます。
そして第3項では、営利、わいせつ、結婚、海外目的で人を買受けることによって成立する営利等人身買受け罪が規定されており、第4項では人を売り渡すことによって成立する人身受渡し罪が、第5項では、所在国外に移送する目的で人身売買することによって成立する所在国外移送人身売買罪が規定されています。

第226条の3では、略取・誘拐されたり、人身売買された人を所在国外に移送することによって成立する被略取者等所在国外移送罪が規定されています。

第227条1項では、略取や誘拐、人身売買等の犯人を幇助(助ける)する目的で、こういった事件の被害者を、収受、輸送したり、蔵匿、隠避した場合に成立する営利拐取等幇助目的被拐取者引渡し罪が規定されています。
第227条2項は、身代金目的略取罪・誘拐罪の犯人を幇助(助ける)する目的で、こういった事件の被害者を、収受、輸送したり、蔵匿、隠避した場合に成立する身代金拐取者幇助目的被拐取者引渡し罪を規定しており、第227条3項は、営利やわいせつ、加害目的で、略取、誘拐、人身売買された被害者を引き渡したり、収受、輸送、蔵匿することによって成立する営利被拐取者引渡し罪が規定されています。
そして第227条の最後、4項に規定されているのが、身代金目的略取・誘拐の目的で略取・誘拐された被害者を収受した場合に成立する身代金被拐取者収受罪です。
また4項には、身代金目的略取・誘拐の目的で略取・誘拐された被害者を収受した者が、近親者その他略取・誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、財物を交付させたり、財物を要求した場合に成立する収受者身代金取得罪も規定されています。

略取、誘拐及び人身売買の罪の罰則~②~

①人身買受け罪の法定刑は「3月以上5年以下の懲役」です。
②未成年者買受け罪の法定刑は「3月以上7年以下の懲役」です。
③営利人身買受け罪の法定刑は「1年以上10年以下の懲役」です。
④人身受渡し罪の法定刑は「1年以上10年以下の懲役」です。
⑤所在国外移送人身売買罪の法定刑は「2年以上の有期懲役」です。
⑥被略取者等所在国外移送罪の法定刑は「2年以上の有期懲役」です。
⑦営利拐取等幇助目的被拐取者引渡し罪の法定刑は「3月以上5年以下の懲役」です。
⑧身代金拐取者幇助目的被拐取者引渡し罪の法定刑は「1年以上10年以下の懲役」です。
⑨営利被拐取者引渡し罪の法定刑は「6月以上7年以下の懲役」です。
⑩身代金被拐取者収受罪、収受者身代金取得罪の法定刑は「2年以上の有期懲役」です。

「~刑法を解説~第34章名誉に対する罪」に続く

~刑法を解説~ 第33章 略取、誘拐及び人身売買の罪~①~

2022-11-15

刑法を解説~42回目の本日は、第33章略取、誘拐及び人身売買の罪~①~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

略取、誘拐及び人身売買の罪~①~

本日は、第33章略取、誘拐及び人身売買の罪に規定されている中から

第224条 未成年者略取罪・誘拐罪
第225条 営利目的等略取罪・誘拐罪
第225条の2 1項 身代金目的略取罪・誘拐罪
        2項 拐取者身代金取得罪・拐取者身代金要求罪
第226条 所在外国移送略取罪・誘拐罪 

について解説します。

この章では、略取罪誘拐罪について規定されいます。
略取罪誘拐罪は、人をその本来の生活環境から離脱させて自己又は第三者の実力支配下に移すことによって成立する犯罪ですが、その手段が異なります。
誘拐罪は、その手段が欺罔や誘惑に限られており、それ以外の手段が用いられた場合は略取罪となります。

第224条では、未成年を略取、誘拐することで成立する、未成年者略取・誘拐罪が定めらています。
未成年者略取罪・誘拐の客体となるのは民法第4条に規定されている「未成年」ですので、18歳未満の者を意味します。
また未成年者本人の承諾があったとしても、親など保護監督権のある者の許可なく、未成年を本来の生活環境から離脱させて自己又は第三者の実力支配下に移すと、未成年者略取罪・誘拐が成立するので注意が必要です。
そして第225条の営利目的等略取罪・誘拐罪では、営利やわいせつ、結婚や生命や身体に対して危害を加えることを目的にした略取、誘拐行為を禁止しています。

第225条の2では、近親者その他略取・誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、その財物を交付させる目的で、人を略取・誘拐することによって成立する、身代金目的略取罪・誘拐罪が規定されています。
最近はあまり発生することがなくなりましたが、戦後間もない昭和30年代には、身代金目的に略取・誘拐する事件が頻発しており、前条の営利目的等略取罪と区別し、よりも厳しく処罰するためにできた法律だと言われています。
また身代金目的略取罪・誘拐罪は、予備行為も処罰の対象となります。(第228条の3)
そして第225条の2第2項で規定されている、拐取者身代金取得罪・拐取者身代金要求罪は、略取・誘拐した犯人が、近親者その他略取・誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、財物を交付させたり、財物を要求した場合に成立します。

本日最後となる第226条の所在外国移送略取罪・誘拐罪は、所在国外に移送する目的で、人を略取・誘拐することによって成立する犯罪です。

略取、誘拐及び人身売買の罪の罰則~①~

①未成年者略取罪・誘拐罪の法定刑は「3月以上7年以下の懲役」です。
②営利目的等略取罪・誘拐罪の法定刑は「1年以上10年以下の懲役」です。
③身代金目的略取罪・誘拐罪の法定刑は「無期又は3年以上の懲役」です。
④拐取者身代金取得罪・拐取者身代金要求罪の法定刑は「無期又は3年以上の懲役」です。
⑤所在外国移送略取罪・誘拐罪の法定刑は「2年以上の有期懲役」です。

「~刑法を解説~第33章略取、誘拐及び人身売買の罪~②~」に続く

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