Archive for the ‘暴力犯罪’ Category

殺人罪の量刑は?永山基準とは

2023-04-07

殺人事件の刑事裁判を報じるニュース等でよく耳にする言葉で「永山基準」という専門用語がありますが、いったい「永山基準」とはどういったものなのでしょうか。
本日のコラムでは、永山基準を解説すると共に殺人罪の量刑について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

永山基準

永山基準は、けん銃を使用して4人を殺害した犯人(永山則夫元死刑囚)の刑事裁判において、最高裁判所が明示した死刑適用基準をいい、被告人の名前から「永山基準」と名付けられ、昭和58年に基準が示されて以降、これまで殺人事件の量刑はこの永山基準を基に判断されています。
永山基準で有名なのが、被害者数が一つの判断基準になっていることで、殺害した被害者が一人の場合は「無期懲役」、三人の場合は「死刑」と判断基準が定まっていることです。
この基準が、今でも殺人事件の刑事裁判の判決を左右していることに疑問を投げかける声もよく聞かれます。
実際に平成21年から開始された裁判員裁判においては、小学2年生の女児が殺害された殺人、強制わいせつ致死事件の刑事裁判に参加した裁判員からは「個人的な感情としては、(女児の)ご家族と同じ気持ちだったが、裁判の公平性を考え、永山基準に沿って判決を出した」「あまり過去にとらわれすぎると正しい判断できないのかなと。判断基準の見直しがあるのか分からないが、十分に検討していただければいい」2019年12月4日配信の産経新聞記事を引用)といった意見も上がっています。

被害者の数だけで決まるの?

上記したように、永山基準は被害者数が大きく取り上げられることがほとんどで、実際に殺人事件の刑事裁判では、被害者数が量刑に大きく影響していますが、永山基準には、被害者数(結果の重大性)以外にも

  • 犯行の罪質
  • 動機
  • 犯行態様、特に殺害方法の残虐性
  • 遺族の被害感情
  • 社会的影響
  • 被告の年齢
  • 前科
  • 犯行後の情状

が判断項目となっており、これらの項目を総合的に判断して死刑判決が下されます。

実際に被害者数が一人であっても、他の項目が突出している場合は死刑判決が下されることがあります。
例えば、2004年に奈良県で起こった小学1年女児殺害事件や、2007年に愛知県で起こった闇サイト殺人事件等、永山基準が示されて以降も何件かは、被害者が一人の殺人事件でも死刑判決が確定しています。
こういった事件の特徴は、殺害方法や、動機の際立って悪質で、反省がうかがえない等犯行後に酌むべき情状がない等がほとんどです。

刑事事件に強い弁護士

殺人事件は死刑判決もあり得る非常に厳しい量刑が予想される事件ですので、殺人事件の刑事弁護は、刑事事件に特化した弁護士に依頼することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、そういった刑事事件を専門に扱っている法律事務所ですので、大阪府内、また関西圏にお住みの方で、刑事事件にお困りの方は是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が提供する 無料法律相談 や、初回接見サービス をご利用ください。

【速報】駐車トラブルで暴行 殺人未遂容疑で逮捕

2023-01-31

駐車トラブルで暴行した男が、殺人未遂容疑で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

事件内容(1月30日配信の産経新聞記事を引用)

1月30日、大阪府茨木市の駐車場において、駐車トラブルとなった60代の男性に対して殴る等の暴行を加えて殺害しようとした男が、殺人未遂罪大阪府茨木警察署逮捕されました。
男は、犯行後自ら「男性を殴った。意識と呼吸がない」と119番通報しており、その後、駆け付けた警察官に現行犯逮捕されたという事ですが、逮捕後の取調べでは「殴ったことは間違いないが、殺そうとは思っていなかった」と、殺意を否認しているようです。
被害者の男性は搬送先の病院で亡くなったようです。

殺人罪と傷害致死罪

殺意を持って人に暴行を加え、相手を殺害すると殺人罪となります。
殺人罪が成立するには、殺意が必ず必要となりますが、今回の事件で逮捕された男は、その殺意を否認しているようです。
殺意が認められなかった場合は、例え被害者が亡くなったとしても、傷害致死罪の成立にとどまり、科せられる刑事罰も変わってきます。

刑法第199条(殺人罪)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

刑法第205条(傷害致死罪)
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

殺意って?

殺意とは、分かりやすく言うと、相手を殺してしまう意志があったかどうかという事です。
殺してしまおうという確定的な意思でなくても、死んでしまってもかまわないと結果を容認している場合も、殺意は認められます。
今回逮捕された男は、暴行の事実を認めているものの、「殺そうとは思っていなかった。」と殺意を否認しているようです。
今後の捜査では、殺意の立証が問題となってくるでしょう。
素手で暴行を加えた事件でも、殴打する箇所が急所に集中していたり、無抵抗の相手に執拗に暴行を加えていたりする場合は、客観的殺意が認定される可能性もあります。

大阪府内の刑事事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、こういった刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
ご自身が起こしてしまった事件の 法律相談 や、既に警察に逮捕されてしまった方への 接見 については
フリーダイヤル 0120-631-881
にて、24時間、年中無休で承っておりますので、お気軽にお電話ください。

【実録】大阪ミナミのケンカで逮捕 即日対応している法律事務所

2023-01-29

刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部には
「今日これからでも対応できる弁護士いますか?」
「すぐにでも〇〇警察署に弁護士を派遣できませんか?」

等と、即日対応を求める方からのご相談がよくありますが、ご安心ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、刑事事件専門弁護士の即日対応ができる法律事務所です。

そこで本日のコラムでは、弁護士が、即日対応したことによって円満解決した事件をご紹介します。

事件内容

建設業を営むAさんは、ある日、友人と大阪ミナミの居酒屋に飲みに行き、そこで、トラブルになりました。
酒に酔った上での出来事だったのでトラブルになった原因はハッキリとしませんでしたが、結果的に、Aさんがトラブルの相手の顔面を手拳で複数回殴り、相手は、顔面打撲等で出血をともなう傷害を負いました。
そして、居酒屋店員の通報によって駆け付けた大阪府南警察署の警察官によって、Aさんは傷害罪現行犯逮捕されたのです。
Aさんの奥さんが、逮捕を知ったのは事件の翌朝でした。
夫(Aさん)の逮捕を知った奥さんは、インターネットで、即日対応している法律事務所を探して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部に、弁護士の派遣を依頼したのでした。
(実際の起こった事件を基にしたフィクションです。)

傷害事件

喧嘩をした相手に暴行を振るって、怪我をさせると傷害罪となります。
傷害罪は、刑法第204条に規定されている法律で、その法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
酒に酔っての偶発的な傷害事件の場合、どういった刑事罰が科せられるかは、相手の怪我の程度に左右されますが、略式命令による罰金刑となる可能性が高いでしょう。
ただ、犯行を否認している場合や、暴行の程度が激しかったり、相手が重傷を負っている場合、本人に同種の前科がある場合は、公判請求されて正式な刑事裁判となることもあります。

即日対応することのメリット

早期釈放

逮捕されてすぐに弁護活動を開始する大きなメリットは釈放に向けた活動を最速で行えることです。
Aさんの場合、逮捕の翌日に大阪地方検察庁に身柄送致されました。
捜査を担当していた大阪府南警察署は、勾留請求を検察官に求めていましたが、弁護士が、家族の監視監督や、被害者への賠償を約束すると共に、今後の取調べ等の出頭を保障したところ、検察官は勾留請求をせずに、Aさんを釈放しました。

示談

傷害事件の場合、被害者と示談を締結できるかどうかで、最終的な刑事処分が大きく変わってきます。
今回の弁護活動では、弁護士が、早期に被害者と接触することができたので被害者感情を抑えることができ、比較的スムーズに示談交渉することができました。
そして結果的には、治療費等をお支払いすることによって、Aさんに対しての刑事罰を望まない意見を頂戴することに成功したのです。

即時対応可能な弁護士をお探しの方は

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、土日、祝日でも弁護士が待機し、即日対応しておりますので、大阪府内で即日対応可能な弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。
刑事事件専門弁護士の 無料法律相談  初回接見サービス のご予約は
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未遂と予備 着手がなくても刑事罰の対象となる予備罪とは…

2023-01-23

最近、関東地区で起こった強盗殺人事件が世間を騒がせていますが、先日、大阪市内でも強盗事件が発生し、新聞等で大きく報じられました。
実は、強盗罪は、未遂だけでなく、予備行為も刑事罰の対象となることを皆さんはご存知でしょうか?
そこで、本日のコラムでは、強盗事件を例に、未遂罪と予備罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の弁護士が解説します。

強盗罪

「正体がばれないように覆面をして、他人の家に押し入り、家人を用意していたロープで縛って拘束し、室内の金庫の中から、現金を盗って逃げる。」は典型的な強盗事件です。
これで家人が怪我をすれば強盗致傷罪となり、もし亡くなれば強盗致死罪となりますが、今回は家人に怪我はなかったと想定します。
強盗罪は、起訴されて有罪が確定すれば、5年以上の有期懲役が科せられるので、基本的には執行猶予を付けることができませんが、減軽事由があれば猶予を付けることも可能です。

未遂罪

上記した強盗事件を例に、まずは強盗未遂罪について解説します。
未遂罪とは、犯罪の実行に着手したが、犯行を成しえなかった場合を意味します。(刑法第43条)
未遂は、障害未遂中止未遂に大きく分類することができ、障害未遂とは、簡単に言うと犯人自らの意思ではなく、外部的な何らかの障害によって犯行を成し遂げれなかった場合を意味し、中止未遂とは、犯行に着手したものの、自らの意思で犯行を中断し、最後まで犯行を成し遂げなかった場合を意味します。
障害未遂については、絶対的に減軽されるわけではなく、裁判官の裁量に委ねられますが、中止未遂と認められた場合は、その刑は絶対に減軽されます。
何れにしても、未遂となるには、最低限の条件として、犯罪の実行に着手していなければなりません。
つまり、未遂罪が成立するかどうかは、実行に着手しているかどうかがポイントになるのですが、参考の強盗事件であれば、少なくとも、覆面姿で被害者宅に押し入った時点で強盗の着手は認められるでしょう。
ですから、被害者宅に押し入った後に、犯行を中断したとしても、少なくとも強盗未遂罪は成立します。

予備罪

それでは、実行の着手もなかった場合はどうなるのか?
その場合は、予備罪が成立する可能性があります。
予備罪は、予備行為を罰する規定のある犯罪行為をする目的で、その準備をすることによって成立します。
予備行為を罰する規定があるのは、刑法では内乱予備罪、外患予備罪、私戦予備罪、放火予備罪、通貨偽造準備罪、殺人予備罪、身代金目的略取等予備罪、強盗予備罪の8罪に限られています。
それでは今回の強盗事件に話を戻します。
どのような行為が強盗の予備行為に該当するかについては制限がありません。
ですので、例えば、犯行に使用する覆面やロープを用意したり、被害者宅の下見をして被害者の行動パターンを調査する行為も強盗の予備行為と言えるでしょう。
ただ強盗予備罪が成立するためには、絶対に「強盗を犯す目的」が必要とされており、それは単に行為者本人が心の中で決心するだけでは足りず、客観的に認識できるような事実の存在が必要となります。

まずは弁護士に相談を

強盗未遂罪強盗予備罪でお困りの方は、大阪府内における刑事事件の弁護活動を扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、刑事弁護活動に関する 法律相談 だけでなく、既に逮捕されてしまった方への 接見サービス など、刑事事件でお困りの方に様々なサービスを提供しております。
詳しくは フリーダイヤル 0120-631-881 までお気軽にお問い合わせください。

【速報】生後5カ月の次男に暴行 傷害罪で父親を逮捕

2023-01-13

【速報】生後5カ月の次男に暴行したとして、傷害罪で父親が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

事件内容(1月11日配信のTBSニュースを引用)

おととし12月、当時生後5カ月だった次男を暴行して、脳に重い障害を負わせたとして父親の男が傷害罪大阪府警逮捕されました。
逮捕された父親は、おととし12月、次男の頭にかみつき、頭部に何らか方法で強い衝撃を加え、硬膜下血腫などの傷害を負わせた疑いがもたれており、被害を受けた次男は現在も意識不明の重体です。
逮捕された父親は警察の取調べに対して「すべて黙秘する」と話しているようです。

幼児に対する虐待事件

通常の暴行や、傷害事件であれば、被害者の事情聴取によって、被害の状況が明らかになりますが、被害者が意識不明の重体に陥っている場合や、今回のような幼児に対する暴行、傷害事件は、被害者から話しを聞くことができないため、目撃者がいなければ事実認定が非常に難しく、立件するのが非常に困難だと言われています。
おそらく今回の事件も、犯罪事実を認定するのが非常に困難だったことから、事件発生から逮捕までに1年以上もの時間がかかったのだと思われます。

どうやって傷害事実を認定するの?

今回の事件、おそらく目撃者がいなかったと思われます。
そうすると真実を知るのは、暴行を受けた次男と、逮捕された父親のみとなります。
被害者である次男から話を聞くことは不可能ですし、おそらく父親は、これまでの警察の取調べに対して暴行を否認若しくは、取調べに対して黙秘していたものと思われます。
その場合、警察はどの様にして傷害の事実を認定しているのでしょう?
それは医師の作成した診断書鑑定書がポイントとなります。
今回の事件の場合、報道によると次男は硬膜下血腫と診断されたようです。
硬膜下血腫のほとんどは、頭部外傷によって生じる場合がほとんどで、医師であれば、どの程度の外傷によって生じたものなのか推測することができ、その外傷が、事故的に起こったものなのか、故意的に加えられたものなのかが分かるので、そういった医師の鑑定を基に犯人が割り出されるわけです。

まずは弁護士に相談を・・・

幼児に対する虐待事件のように被害者から話しを聞けない傷害事件は、医師の鑑定書を基に捜査が進められますので、警察等の捜査当局も推測で捜査を進める傾向にあり、真実と異なる事実認定がされやすい事件だと言えるでしょう。
それ故に冤罪事件が生まれやすい事が危惧されますので、こういった事件でお困りの方は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
こういった傷害事件 相談 や、警察に逮捕された方への 接見 は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の弁護士が即日対応いたしますので、まずは、フリーダイヤル0120-631-881まで、お気軽にお電話ください。

【速報】同級生を刺殺し逃走 殺人罪で逮捕

2023-01-05

昨年大晦日に、同級生を刺殺し逃走していた男が、殺人罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

事件内容(1月2日配信の毎日新聞ニュースを引用)

昨年末の大晦日、大阪市平野区において、忘年会後に同級生を刺殺し、逃走していた男が、兵庫県姫路市内にで身柄を確保され、大阪府警に殺人罪逮捕されました。
男は、同級生の男性のわき腹を包丁で刺して殺害した殺人の容疑で逮捕されましたが、逮捕後の取り調べでは「殺すつもりはなかった」殺意を否認しているようです。
警察の捜査によると、逮捕された男は、忘年会の最中にコンビニで凶器の包丁を購入しているようです。

殺人罪

殺人罪は、人を殺すことによって成立する犯罪で、刑法第199条に規定されています。

     刑法第199条
     人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

今回の事件のように包丁で刺殺する行為は当然ですが、このような積極的な加害行為でない場合、つまり不作為の場合でも殺人罪が成立することがあります。
例えば、まだ親の養育が必要な幼児に対して、養育する義務のある者が、殺意を持って食事を与えずに何日も放置した場合などです。
※2010年、大阪市で発生した「2児餓死事件」では、2人の幼児を自宅に放置していた母親が殺人罪で有罪となっている。

殺すつもりはなかった…殺意を否認

殺人罪が成立するには故意、つまり殺意が必要です。
この殺意は「殺してやろう、死んでしまえ」という確定的なものまでは必要とされておらず、「死んでしまうかもしれないが、死んでもかまわない…」といった未必の故意でも殺意は認められます。
ただ故意(殺意)は、心の中の声です。
今回のように「殺すつもりはなかった」との供述だけで殺意が否定されるかというと、そうではなく、今回の事件では、包丁でわき腹を刺すという行為態様から、殺意が認められる可能性は十分にあり得るでしょう。
ただ凶器の包丁を用意して忘年会に参加したのではなく、忘年会の途中で包丁を購入している点からは、計画的犯行というよりも、忘年会の最中に犯行を思い立って凶器を準備していると考えられ、偶発的犯行のように思えます。

殺人罪の弁護活動

殺人罪で逮捕されると、逮捕後の取り調べは全て録音録画されており、その映像音声は、裁判で証拠となってしまいます。
そのため取調べには慎重に対応する必要がありますので、ご家族が殺人罪で警察に逮捕されてしまった方は、すぐにでも刑事事件に強い弁護士を派遣することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、逮捕された方のもとに弁護士を派遣する 初回接見サービス フリーダイヤル0120-631-881で、24時間、年中無休で承っておりますので、お気軽にお電話ください。

傷害致死容疑で逮捕 正当防衛の主張が認められる?~②~

2022-09-10

傷害致死容疑で逮捕された事件を参考に、正当防衛の主張が認められるかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。~②~

正当防衛

刑法第36条1項
「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」

今回のケースでAさんがVさんを突き飛ばした原因は、Vさんが先にAさんに殴りかかってきたところを回避するためでした。
このような反撃行為の場合は正当防衛が認められる可能性があります。
しかし、正当防衛にも様々な要件があり、ケンカの際に相手が先に手を出したとしても具体的な状況次第では認められない可能性があります。

正当防衛が認められるための要件

・急迫不正の侵害があること
相手の行為が違法性を有する権利侵害行為である必要があり、急迫性がなくてはなりません。
なお、権利侵害が相手方の違法行為でない場合、例えば天災から逃れるために他人の敷地に入ったりしたような場合には正当防衛ではなく、緊急避難となります。
緊急避難についても違法性は阻却されます。
急迫性とは権利侵害行為が切迫していることで、過去や未来の権利侵害に対しては、正当防衛は成立しません。

・自己又は他人の権利を防衛するための行為であること
ここにいう権利とは法的に保護すべきとされる権利又は利益であり、一般的には、生命、身体、財産とされています。
そしてこれらの権利に対する不当な侵害に対して防衛の意思があるかどうかも正当防衛を判断するうえでの重要な基準となります。

・やむを得ずにした行為であること
やむを得ずした行為であるというためには、必要性と相当性が必要となります。
必要性とは防衛のためにその行為である必要があったかということです。
また、逃げる余地があるにもかかわらず積極的に攻撃したような場合には前述の防衛の意思が否定されてしまう可能性があります。
相当性については、侵害の危険を回避するためにとった防衛行為が、防衛のために必要最小限度であったといえるかどうかです。
素手の攻撃に対して凶器で反撃するなど、侵害行為を上回る反撃を行うと、正当防衛ではなく、過剰防衛となる可能性があります。

正当防衛の主張に強い弁護士

ケンカに巻き込まれて相手にケガをさせたが、正当防衛を主張したいという時などは刑事事件の専門家である弁護士の無料法律相談、若しくは 初回接見サービス を依頼するようにしましょう。
弁護士が事情を把握することが出来れば今後の展開や正当防衛が認められる可能性などを知ることが出来ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では刑事事件を専門に扱っている弁護士が多数在籍しておりますので的確な対応することが可能です。
無料法律相談、初回接見サービスのご予約は
フリーダイヤル0120-631-881
で承っております。

傷害致死容疑で逮捕 正当防衛の主張が認められる?~①~

2022-09-09

傷害致死容疑で逮捕された事件を参考に、正当防衛の主張が認められるかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。~①~

参考事件

会社員のAさんは、大阪の難波で行われた飲み会の席で同僚のVさんと口論になってしまいました。
そこでVさんに殴られそうになったので、AさんはとっさにVさんを突き飛ばしたところ、Vさんはその時に机に頭を強く打ち付けてしまいました。
Aさんはすぐに救急車を呼び、Vさんは病院へ運ばれましたが、次の日、Vさんは意識を取り戻すことなく脳挫傷により死亡しました。
Aさんは大阪府南警察署の警察官に傷害致死容疑逮捕されることとなりました。
(フィクションです)

傷害致死罪

刑法第205条
「身体を傷害し、よって人を死亡させた者は3年以上の有期懲役に処する」

今回のケースでは、AさんはVさんを突き飛ばして転倒させ、その結果、Vさんを死亡させています。
傷害の故意には傷害結果発生の認識や、予見は不要で、暴行の故意で足りるとされていますので、AさんがVさんを突き飛ばすという暴行行為を認識していれば、傷害の故意まで認められることとなり、その結果Vさんが死亡すれば傷害致死罪が成立することになります。
また、Vさんを殺すつもりで突き飛ばしたのであれば、状況によっては殺人罪となってしまう可能性もありますが、今回のAさんはそうではないようです。
なお、反対に暴行の故意も否定された場合は過失致死罪となることもあります。
刑法第210条過失致死
「過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する」

傷害致死容疑の弁護活動は

傷害致死罪は、人を死に至らしめるという点では殺人罪と同じです。
そのため警察の取調べにおいては、殺意(故意)を否認してきちんと答えなければいけません。
誤った解釈をされて必要以上の刑罰を受けることがないように、警察の取調べ段階から刑事事件に強い弁護士のアドバイスを受けることをお勧めします。
ご家族、ご友人が傷害致死罪で逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が提供している 初回接見サービス をご利用ください。

明日のコラムに続く

【大阪の恐喝事件】メンズエステ店で客を恐喝 お店ぐるみで美人局か

2022-09-01

【大阪の恐喝事件】メンズエステ店で客を恐喝 お店ぐるみで美人局か

従業員にわいせつな行為をした客から現金を脅し取ったとして、恐喝などの疑いで、メンズエステ店経営の男が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

事件概要(8月30日配信のTHE SANKEI NEWSの記事を参考にしています。)

大阪府南警察署は、大阪ミナミのメンズエステ店で、女性従業員にわいせつな行為をした男性客から現金を脅し取ったとして、恐喝罪の疑いでメンズエステ店経営の男を逮捕しました。
逮捕された男は、経営するエステ店の女性従業員にわいせつな行為をした男性客に対し、「このまま警察いったら懲役なるからな」「10年は刑務所や」などと恐喝し、現金3万円を脅し取った上で、後日示談金としてさらに100万円を払う誓約書に署名させた疑いがもたれています。
大阪府南警察署によると、メンズエステ店経営の男は、女性従業員にわいせつ行為をするようにそそのかして、室内に設置したカメラで一部始終を確認していたようです。

恐喝罪について

恐喝罪は、人を恐喝して財物を交付させたり、財産上不法の利益を得た場合に成立する犯罪です。
なお、貸していたお金を請求する場合のように正当な理由があっても、その手段が社会通念上一般に受任すべき範囲を超え「恐喝」といえるようなものであれば恐喝罪が成立し得ます。

刑法では、249条に定められており、1項が財物についての恐喝罪を、2項が財産上の利益についての恐喝罪を処罰しています。
恐喝罪の法定刑は、「10年以下の懲役」です。

1項の恐喝罪が成立するための要件としては、少なくとも
①人を恐喝して
②相手が畏怖して
③財物を交付させた

といえる必要があります。

①「人を恐喝して」とは
恐喝とは、財物交付に向けられて行われる暴行又は脅迫であって、その反抗を抑圧するに至らない程度の行為をいうとされています。
暴行又は脅迫が、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものである場合は、強盗罪が成立することになります。
そのため、恐喝罪は強盗罪の受け皿的な役割をしています。

②「相手が畏怖して」とは
簡単にいうと、恐喝した相手が怖がることです。

③「財物を交付させた」とは
恐喝罪が成立するためには、②で生じた畏怖に基づいて、財物を交付する必要があります。
すなわち、「財物を交付させた」とは、畏怖した者の瑕疵ある意思に基づく交付行為により財物が移転したことをいいます。
なお、恐喝が行われたにも関わらず、相手方が畏怖せずに物を交付した場合は、恐喝未遂として処罰されることになります。

恐喝事件に強い弁護士

大阪ミナミの刑事事件でお困りの方、恐喝罪で警察の取調べを受けている方は、大阪の刑事事件に強いと評判の、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
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大阪府堺市の殺人事件 殺人罪について弁護士が解説

2022-08-29

大阪府堺市の殺人事件 殺人罪について弁護士が解説

大阪府堺市の殺人事件を例に、殺人罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

先週、大阪府堺市内で二件の殺人事件が発生しました。
本日のコラムでは、この二件の殺人事件を例に殺人罪について解説します。

事件1
堺市東区のマンションの一室で、この部屋に住む29歳の母親と、3歳の娘が胸などを複数回刺されて死亡しているのが発見されました。
一緒に住んでいた33歳の夫の行方が分からなくなっており、大阪府警は、この夫が何らかの事情を知っているとみて行方を探しているようです。

事件2
堺市西区の路上で、まだ20歳の女子大生が23歳の男に刃物で刺されて亡くなりました。
男は事件直後に通報で駆け付けた警察官に現行犯逮捕されており、その後の取調べで逮捕された男は被害者の交際相手で、「刺したことは認めるが、殺そうとしたかは思い出せない」と供述しているようです。

殺人罪

警察が扱う刑事事件の中で、最も身近で凶悪な事件が殺人罪です。
殺人罪は、刑法第199条に規定されており、その内容は実に明解で「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」とされています。
ここでいう「殺した」というのは、人を死に追いやるという意味で、その手段や方法は問われず、不作為や間接的な方法であっても殺人罪に問われることがあります。
殺人罪で重要なのは「殺意があったかどうか」です。
殺意とは、簡単にいうと人を殺す意思(故意)のことで、殺意なく行為に及び、その行為によって人が亡くなった場合は、殺人罪が成立しないとされています。

殺人罪に時効はない

母子が亡くなった事件1では、まだ犯人が捕まっておらず、亡くなった母子の父親が行方不明であるようです。
平成22年に刑法が改正されるまでは殺人罪等について、公訴時効が25年と定められていたので、殺人犯人は事件を起こして25年間逃げ続ければ刑事罰を受けることがありませんでした。
しかし現在は、殺人罪をはじめとした「人を死亡させた罪」のうち、法定刑の上限が死刑である犯罪については公訴時効がないので、殺人事件を起こした犯人は、生きている限りは、いつまでも刑事罰を受ける可能性があります。

殺人罪の量刑は?

殺人罪起訴されて有罪が確定すればどういった刑事罰が科せられるかについては、よく「死刑」になるのか「無期懲役」になるのかが話題になります。
裁判官が死刑判決を言い渡すかどうかは、「永山基準」が参考にされていると聞きますが、そもそもこの「永山基準」とは何でしょうか?

明日のコラムでは、この「永山基準」について解説します。

~明日に続く~

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