Archive for the ‘少年事件’ Category

観護措置で少年鑑別所に収容!!観護措置って何ですか?~②~

2023-05-02

~前回からの続き~

本日のコラムでは「観護措置の要件」等について解説します。

観護措置の要件

少年法17条1項は、家庭裁判所は、「審判を行うため必要があるとき」は、観護措置をとることができるとしています。
「審判を行うため必要があるとき」として規定されていませんが、一般的には、次の各要件を満たす必要があるとされています。

  • 審判条件があること。
  • 少年が非行を犯したことを疑うに足りる相当の理由があること。
  • 審判を行う蓋然性があること。
  • 観護措置の必要性が認められること。

「観護措置の必要性」については、具体的には以下の事由のいずれかがある場合に認められます。

(a)調査、審判、決定の執行を円滑かつ確実に行うために、少年の身体を確保する必要があること。
(b)緊急的に少年の保護が必要であること。
(c)少年を収容して心身鑑別をする必要があること。

観護措置の期間

法律上は、2週間を超えないとされていますが、とくに継続の必要があるときは1回に限り更新をすることができるとされています。
しかし、実務上は、ほとんどの事件で更新がなされ、観護措置の期間は、通常4週間となっています。

観護措置をとる時期

家庭裁判所は、事件が家庭裁判所に継続している間、いつでも観護措置をとることができます。
しかし、逮捕・勾留されている少年については、少年が家庭裁判所に到着したときから24時間以内に観護措置をとらなければなりません。
捜査段階で身体拘束を受けていない在宅事件についても、家庭裁判所に送致された後、家庭裁判所が観護措置をとる必要があると判断した場合には、観護措置がとられることがあります。

観護措置を回避する弁護士の活動

観護措置は4週間もの身体拘束を伴う措置であるため、観護措置の必要がないと考える場合や、観護措置を避ける必要がある場合には、観護措置回避に向けて活動を行うことが重要です。

付添人である弁護士は、事件が家庭裁判所に送致されるタイミングを見計らい、家庭裁判所に、観護措置の要件や必要性がないこと、そして、観護措置を避けるべき事情について述べた意見書を提出します。
そして、裁判官や調査官と面談を行い、観護措置をとらないよう説得的に主張します。
観護措置がとられなければ、逮捕・勾留されていた少年は釈放となりますし、在宅捜査を受けていた少年はそのまま家庭に居ながら家庭裁判所の調査、審判を受けることになります。

少年事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こしお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、ゴールデンウィーク中も休まず営業しておりますので、無料法律相談初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。

観護措置で少年鑑別所に収容!!観護措置って何ですか?~①~

2023-04-29

観護措置で少年鑑別所に収容された事件を参考に、観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

小学生女児に対する痴漢で逮捕された少年

大阪府松原市に住む高校生(16歳)の少年Aさんは、高校からの帰宅途中や、塾への行き帰りの道中で、小学生の女児への痴漢を繰り返していました。
被害女児の保護者からの相談が相次いだ大阪府松原警察署は警戒を強めており、その中犯行に及んだAさんは、警戒中の警察官に現行犯逮捕されてしまいました。
警察署に呼び出されたAさんの両親は警察官から「本人は犯行を認めているが、余罪が複数あるので今後、勾留を請求して身体拘束をしたまま捜査を続けます。捜査終了後は観護措置によって少年鑑別所に収容されるでしょう。」と説明を受けました。
(フィクションです。)

大阪府内の少年鑑別所

大阪府内には少年鑑別所が一か所しかなく、基本的に大阪府内に住んでいる少年はこの一か所の少年鑑別所に収容されることとなります。

大阪少年鑑別所(大阪法務少年支援センター)

〒590-0014 
大阪府堺市堺区田出井町8-30 
電話 072-233-3326

観護措置について

捜査機関は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合でも家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致します。

事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所は「観護措置」をとることができます。
「観護措置」というのは、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る措置のことです。
この観護措置には、2種類あります。
家庭裁判所の調査官の観護に付する在宅観護と、少年鑑別所に送致する収容観護です。
しかし、実務上、在宅観護はほとんど活用されていないため、観護措置という場合は収容観護を指します。

~次回に続く~
次回のコラムでは「観護措置の要件」等について解説します。

なお弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、ゴールデンウィーク中も休まず営業しております。
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少年鑑別所ってどんな施設?どんな時に収容されるの?

2023-03-19

少年事件の手続きにおいてよく耳にする「少年鑑別所」
はたして少年鑑別所とはどのような施設で、どのような少年が収容されるのでしょうか?
本日のブログでは少年鑑別所について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

大阪府内の少年鑑別所

大阪府内には少年鑑別所は1カ所しかありません。
その少年鑑別所が、堺市にある大阪少年鑑別所と呼ばれている「大阪法務少年支援センター」です。

大阪法務少年支援センター(大阪少年鑑別所)
住所 大阪府堺市堺区田出井町8-30 
電話 072-233-3326

少年鑑別所ってどんな施設

少年鑑別所のことを、何か悪いことをした少年が収容される更生施設、いわば少年院と同じように思っている方が多いようですが、少年鑑別所は、少年院とは全く違う役割のある施設です。
少年事件の手続きにおいて、少年鑑別所は、事件を起こしたり非行事実のある少年に対して、今後、どのようにして更生に導いていくのかを判断する前段として、その少年の能力や性格等を調査するための施設で、収容されるのは、主に何か犯罪を犯してしまったり、犯罪を犯すおそれのある少年です。

少年鑑別所にはどんな時に収容されるの?

少年鑑別所に収容されている少年のほとんどは、裁判官に観護措置の必要はあると判断された少年です。
何か事件を起こしてしまった少年を例にすると、犯行が明らかとなった場合は、まずは警察や検察庁といった捜査機関が犯罪捜査を行います。
そしてその犯罪捜査が終わると、家庭裁判所に事件が送致されるのですが、このタイミングで、家庭裁判所の裁判官が観護措置の必要があるかどうかを判断し、ここで必要があると認められた少年は、少年鑑別所に収容されます。
逮捕されて身体拘束が続いている少年は、家庭裁判所に送致と同時に収容されるケースが大半ですが、在宅で捜査を受けている少年であっても、その「引き上げ」といって、観護措置が決定して少年鑑別所に収容されることがあるので注意が必要です。

少年事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件と共に少年事件を専門に扱っている法律事務所です。
お子様が何か事件を起こして大阪少年鑑別に収容されている方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が提供する 初回接見サービス をご利用ください。

【速報】大学入試共通テスト流出事件 大阪家裁で保護観察処分を決定

2022-09-21

大学入試共通テストの問題を流出させた事件で、通話アプリを使って流出させた受験生に対して大阪家裁が保護観察処分を決定した件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

事件概要

この事件は、今年の1月に行われた大学入試共通テストにおいて、大阪府内の試験会場で受験していた受験生が、動画撮影した世界史の試験問題をスマートフォンアプリのビデオ通話機能を使用して外部に流出させ、事情の知らない東京大学の大学生などが解答する不正が行われた事件です。


この事件は警視庁偽計業務妨害事件として捜査を開始したニュースを見た女子受験生が香川県内の警察署に出頭した後も世間の注目を集めており、今年の4月には、この女子受験生と、事情を知らずに回答した大学生を中継していた男が偽計業務妨害罪で罰金50万円の略式命令を受けていました。
出頭した女子受験生は、捜査を終えた後となる今年の3月に家庭裁判所送致されて、その後、女子受験生の住居地である大阪の家庭裁判所に事件が移され、大阪家庭裁判所で少年審判が開かれました。
少年審判において裁判官は「周到に準備をしたうえで実行し計画的で巧妙な犯行であり、大学入試で重要な試験の公正を害するおそれを生じさせ、悪質だ。希望する大学に合格したいという思いに執着し重大な非行に至った問題性は軽視できない」などと指摘しながらも、「行為の重大性を認識するとともに、自己の問題点とも向き合いつつあるなど内省を深めている」などとして保護観察処分を決定しました。
(こちらの記事は、21日付け、報道各社の配信を参考にしています。)

「保護観察」ってどんな処分ですか?

女子受験生に対して決定した「保護観察」について解説します。
保護観察は、少年審判において決定する保護処分の一つです。
保護処分は、家庭裁判所に送致された少年を更生させるために行われる少年法上の処分のことで、その種類は「保護観察」の他、少年院送致、児童自立支援施設等送致があります。
保護観察処分は、矯正施設に収容することなく、社会内で生活させながら、保護観察所(保護司)の指導監督の下、更生を目指す保護処分のことです。
少年は、日常生活を送りながら、月に数回、保護司と面会して近況報告をしたりしながら、保護司から指導を受けて更正を目指します。

少年事件に関するご質問は

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件と共に少年事件についても強いと評判の法律事務所です。
少年事件は、成人事件とは異なる手続きが進みますので、まだ未成年のお子様が刑事事件を起こしてしまった場合は、まず少年事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
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【大阪の少年事件】観護措置って何ですか?少年事件に強い弁護士が解説

2022-07-23

【大阪の少年事件】観護措置って何ですか?少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

観護措置って何ですか?

大阪府内に住む会社員のAさんには高校1年生の息子がいます。
昨日、この息子が盗撮事件を起こして大阪府天満警察署逮捕され、現在も警察署の留置場に収容されています。
そんな中Aさんは、息子の捜査を担当している警察官から「明日、息子さんを検察庁に送致しますが、そのまま観護措置がとられて少年鑑別所に収容されると思います。」と言われました。
観護措置って何ですか?
(フィクションです。)

観護措置について

捜査機関は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合でも家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件家庭裁判所に送致します。

事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所はいつでも「観護措置」をとることができます。
「観護措置」というのは、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る措置のことです。
この観護措置には、2種類あります。
家庭裁判所の調査官の観護に付する在宅観護と、少年鑑別所に送致する収容観護です。
しかし、実務上、在宅観護はほとんど活用されていないため、観護措置という場合は収容観護を指します。

観護措置の要件

少年法17条1項は、家庭裁判所は、「審判を行うため必要があるとき」は、観護措置をとることができるとしています。
「審判を行うため必要があるとき」として規定されていませんが、一般的には、次の各要件を満たす必要があるとされています。

①審判条件があること。
②少年が非行を犯したことを疑うに足りる相当の理由があること。
③審判を行う蓋然性があること。
④観護措置の必要性が認められること。

④の観護措置の必要性については、具体的には以下の事由のいずれかがある場合に認められます。

(a)調査、審判、決定の執行を円滑かつ確実に行うために、少年の身体を確保する必要があること。
(b)緊急的に少年の保護が必要であること。
(c)少年を収容して心身鑑別をする必要があること。

観護措置の期間

法律上は、2週間を超えないとされていますが、とくに継続の必要があるときは1回に限り更新をすることができるとされています。
しかし、実務上は、ほとんどの事件で更新がなされ、観護措置の期間は、通常4週間となっています。

観護措置をとる時期

家庭裁判所は、事件が家庭裁判所に継続している間、いつでも観護措置をとることができます。
しかし、逮捕・勾留されている少年については、少年が家庭裁判所に到着したときから24時間以内観護措置をとらなければなりません。
捜査段階で身体拘束を受けていない在宅事件についても、家庭裁判所に送致された後、家庭裁判所が観護措置をとる必要があると判断した場合には、観護措置がとられることがあります。

観護措置を回避する活動

観護措置は4週間もの身体拘束を伴う措置であるため、観護措置の必要がないと考える場合や、観護措置を避ける必要がある場合には、観護措置回避に向けて活動を行うことが重要です。

付添人である弁護士は、事件が家庭裁判所に送致されるタイミングを見計らい、家庭裁判所に、観護措置の要件や必要性がないこと、そして、観護措置を避けるべき事情について述べた意見書を提出します。
そして、裁判官や調査官と面談を行い、観護措置をとらないよう説得的に主張します。
観護措置がとられなければ、逮捕・勾留されていた少年は釈放となりますし、在宅捜査を受けていた少年はそのまま家庭に居ながら家庭裁判所の調査、審判を受けることになります。

少年事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、これまで数多くの少年に対する弁護活動、付添人活動をしてきた豊富な実績がございます。
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【解決事例】特殊詐欺事件に関与して逮捕された大学生の接見禁止の一部解除に成功

2022-07-15

特殊詐欺事件に関与して逮捕された大学生の接見禁止の一部解除に成功した事件の解決事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

事件概要

大学生(19歳)の息子が、友達と泊りに行くと言って家を出たきり連絡が途絶えたことを心配したAさんは、息子との連絡が途絶えた翌日に、最寄りの警察署に捜索願を出しに行きました。
そこでAさんは、息子が特殊詐欺事件に関与して、大阪府泉南警察署逮捕されていることを知りました。
Aさんは、息子に面会しようと大阪府泉南警察署に電話しましたが、留置場の担当警察官から「接見禁止なので面会できない。」と言われました。
Aさんから弁護活動の依頼を受けた弁護士が、すでに決定して接見禁止について家族だけでも面会できるように、接見禁止の一部解除を申し立てたところ、この申し立てが認容され、Aさんは息子に面会することができました。
(実際に起こった事件を基に、一部変更を加えています。)

特殊詐欺事件

警察は、もう何年も前からオレオレ詐欺や振り込め詐欺等の特殊詐欺事件について厳しく捜査しており、その検挙、抑止活動に力を入れていますが、事件の発生が後を絶たないだけでなく被害は増加傾向にあるようです。
そのため大阪府警では、全国の都道府県警察で初めて、特殊詐欺事件の捜査を専門にする「特殊詐欺捜査課」を今年の春に発足し、運用を始めています。

また最近は、こういった特殊詐欺事件の受け子や出し子役として関与して、警察に検挙される若者が増加傾向にあります。
こういった事件に関与する若者のほとんどは、SNS等の「アルバイト募集」の記事を読んで事件に関与するようですが、中には自分がどういった事件に加担するのかハッキリと分からずに関与してしまう若者もいるようです。
特殊詐欺事件に関与したとして警察に逮捕されてしまうと身体拘束が長くなる可能性が非常に高く、逮捕された事件での勾留期間だけでなく、別の事件に関与したとして再逮捕されるケースも多いようです。

受け子や出し子に適用される罪名のほとんどは、詐欺罪や窃盗罪です。
詐欺罪の場合は「懲役10年」という法定刑が定められており、罰金刑の規定はありませんが、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と罰金刑の規定があります。
警察に逮捕されて勾留期間が終了するまでの手続きについては、成人事件と少年事件の間で違いはありませんが、勾留期間終了後の手続きについては、成人事件と少年事件で大きくことなります。

成人事件の手続きについては こちらを⇒⇒クリック

少年事件の手続きについては こちらを⇒⇒クリック

接見禁止の解除

逮捕されて留置場にいる方と面会する事を「接見」といいます。
通常であれば警察に逮捕されて48時間以内に検察庁に送致され、送致を受けた検察官が裁判所に勾留請求して勾留が決定すれば、その後は勾留場所になっている警察署で勾留されている方と面会することができます。
しかし勾留と同時に裁判官が接見禁止を決定する場合があり、その場合は、家族であっても面会することができません。
これを接見禁止といいます。

特殊詐欺事件のように組織的背景のある事件、共犯者がいる事件、逮捕容疑を否認している事件等では接見禁止になりやすいと言われていますが、これは、事件の関係者と通謀することを避けるためなので、家族等にその様な虞がない場合は、家族等だけでも接見禁止を解除することが可能です。
家族等の接見禁止を解除するには、勾留されている方の刑事弁護人が、接見禁止を決定した裁判官に対して文書で、接見禁止の解除を申請する必要があります。

特殊詐欺事件で逮捕された方の接見禁止解除に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件に強いと評判の法律事務所です。
ご家族、ご友人が警察に逮捕されてしまった方は、まず一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。

【少年事件】『勾留に代わる観護措置』について 

2022-06-26

【少年事件】『勾留に代わる観護措置』について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

高槻市の強制わいせつ事件で逮捕された少年

高校2年生(17歳)のA君は、ある日、大阪府高槻市の路上において女子中学生に背後から抱き着き胸を触る強制わいせつ事件を起こしました。
事件後逃走して、その後は日常生活を送っていたA君でしたが、事件を起こして1ヵ月ほど経過したある日の朝、自宅を訪ねてきた大阪府高槻警察署の捜査員によって、強制わいせつ罪逮捕されてしまいました。
そして逮捕の二日後、A君に『勾留に代わる観護措置』が決定し、A君は少年鑑別所に収容されました。
(フィクションです)

勾留に代わる観護措置とは

刑事事件で逮捕された場合、逮捕から48時間以内に身柄が検察に送られます。
被疑者の身柄を受けた検察官は、24時間以内に被疑者を勾留する理由・必要があるかどうかを判断し、勾留の必要があると判断した場合には、裁判所に対して拘留請求を行います。
検察官からの勾留請求を受けて、裁判官は被疑者を勾留する理由・必要があるか否かを判断します。
裁判官が勾留を決定すれば、検察官が勾留請求をした日から10日間(延長により最大20日間)身柄が拘束されることになります。
少年事件の場合には、「勾留に代わる観護措置」という制度が設けられています。
検察官は、勾留の要件を満たすと判断した場合でも、裁判官に対し、勾留に代わる観護措置の請求をすることができ、裁判官は当該措置をとることができます。
勾留に代わる観護措置の手続は、基本的には勾留に関する規定が準用されます。
ただし、以下の点で勾留とは異なります。

・少年鑑別所収容の観護措置の他に、家庭裁判所調査官による観護方法もとることができる。

・勾留に代わる観護措置の期間は、検察官の請求から10日であり、延長はできない。

・勾留に代わる観護措置として少年鑑別所に収容されると、事件が家庭裁判所に送致された場合、当然に送致後の少年鑑別所収容の観護措置とみなされる。

『勾留に代わる観護措置』を回避のために

弁護士は、検察官が勾留請求をする前に、当該事件が勾留要件を充たさない旨を検察官に主張し、勾留請求をしないよう働きかけることができます。
また検察官が勾留請求をした場合には裁判官に勾留の要件を満たさないことや勾留に伴う少年の具体的な不利益を裁判官に主張して、早期釈放を求めることもできます。
こういった早期釈放を求める活動を行うことで、『勾留に代わる観護措置』を回避できる可能性が高まりますので、まずは少年事件に強い弁護士にご相談ください。

少年事件に強い弁護士

大阪府高槻市で、まだ未成年のお子様が逮捕されてしまった、『勾留に代わる観護措置』が決定されるかもしれないとご不安であれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談下さい。
少年事件に強い弁護士が、最短当日に勾留先に赴き接見をする初回接見サービスをご案内させていただきます。

【解決事例】少年による交通事故 ひき逃げで家裁送致

2022-06-21

【解決事例】ひき逃げ事件を起こして家裁送致された少年事件の解決事例を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

事件の概要

18歳のAさん(専門学生)は、3ヶ月ほど前に自動車の運転免許を取得しました。
それ以来、父親名義の車を時々運転しているのですが、ある日、大阪府泉大津市の信号のある交差点を黄色信号で通過しようとしたところ、飛び出してきた自転車と接触する交通事故を起こしてしまいました。
接触によって自転車が転倒したのを見たAさんは、怖くなって、そのまま車を停止させることなく逃走しました。
帰宅したAさんは、この事を父親に相談して、事故を起こしたその日の夜に父親と一緒に大阪府泉大津警察署出頭しました。
そして不拘束による捜査(取調べ)を受けたAさんは、ひき逃げ(過失運転致傷罪と道路交通法違反)の容疑で家庭裁判所に送致されたAさんは、その後の少年審判保護観察処分となりました。
(実際に起こった事件を基に、一部変更を加えています。)

ひき逃げ

ひき逃げとは、自動車やバイクなどの運転中に人身事故・死亡事故を起こした場合に、負傷者の救護義務危険防止措置義務を怠って事故現場から離れることで成立する道路交通法違反の犯罪行為です。
交通事故について自分の無過失が明らかな場合でも、負傷者を救助しないことや危険防止措置を取らないことは許されず、ひき逃げとして処罰されます。

ひき逃げ事件では、事故現場からいったん立ち去った犯人について、そのままでは逃亡するおそれがあるなどとして逮捕・勾留によって身体を拘束される可能性がありますが、今回の事件でAさんは、自ら警察に出頭していたことから身体拘束を受けることなく捜査が進められました。

家庭裁判所に送致

少年事件は、警察の捜査を終えると一旦検察庁に送致され、その後家庭裁判に送致されます。(検察庁への送致を経ることなく警察から直接家庭裁判所に送致されることもある。)
家庭裁判所に送致されると、必要が認められると、それまで拘束されていなかった少年が、観護措置によって少年鑑別所に拘束されることもありますが、Aさんは、観護措置の決定がなされなかったので、少年審判に向けて行われる家庭裁判所の調査を在宅で受けました。
こうして迎えた少年審判でAさんは、保護観察処分となり、一度も身体拘束を受けることなく手続きを終了することができたのですが、保護観察期間中は定期的に保護司と面談する等して更生に向けて取組んだようです。

少年事件手続きの流れについては こちら をご確認ください。

このコラムをご覧の方で少年事件や、ひき逃げ等の交通事件でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の無料法律相談をご利用ください。
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また弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、すでに警察に逮捕された方に弁護士を派遣する初回接見サービスを提供していますので、初回接見サービスをご利用の方は こちら をご覧ください。

【少年事件の弁護・付添人活動】強制わいせつ事件を起こした少年の保護観察を目指す②

2022-06-20

強制わいせつ事件を起こした少年の保護観察を目指す弁護・付添人活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

~昨日からの続き~

本日、まずは少年事件における終局処分の一つ、保護処分について解説します。

⑤保護処分

保護処分には、3種類あります。

●保護観察

保護観察は、少年を施設に収容することなく、社会内で生活を送らせながら、保護観察所の行う指導監督及び補導援護によって少年の改善更生を図る社会内処遇の保護処分です。

●児童自立支援施設又は児童養護施設送致

児童自立支援は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童等を入所させ、又は保護者の下から通所させて指導を行う施設です。
児童養護施設は、保護者のいない児童、虐待されている児童等を入所させ養護する施設です。
いずれの施設も施錠のない開放施設であるため、非行性の進んだ少年は送致の対象とならない場合が多くなっています。

●少年院送致

少年院送致は、少年を少年院に強制的に収容する保護処分です。
少年院では、保護処分の執行を受ける者及び少年院において懲役・禁錮の刑の執行を受ける者が収容され、矯正教育その他の必要な処遇が行われます。

保護処分が見込まれる事件であっても、最終的な処分が保護観察であるか少年院送致であるかは、その後の少年の生活にも大きく影響することになります。
少年院送致ではなく保護観察がより少年の更生に適切であると考える場合には、保護観察を目指した活動を行う必要があります。

保護観察を目指す活動

審判で審理されるのは、非行事実と要保護性という2つの要素です。
非行事実というのは、成人の刑事裁判でいう起訴事実に当たるものです。
そして、要保護性とは、少年法上の保護の必要性であって、次の3つの要素から構成されるものです。

①再非行性
少年の性格や環境に照らして、将来再び非行をする危険性があること。

②矯正可能性
少年法上の保護処分による矯正教育によって再非行性を除去できること。

③保護相当性
少年法上の保護処分が更生のために有効かつ適切であること。
これらの要素を考慮して、要保護性の有無とその程度が審判で審理されます。
要保護性が高いと認められる場合には、少年院送致が決定される可能性が高くなります。

少年院送致や児童自立支援施設等送致といった施設収容を伴う処分を回避するためには、少年の要保護性の解消、つまり環境調整が重要となります。
施設に収容することなく、家で生活しながらでも更生することができるということを裁判官に理解してもらわなければなりません。
付添人である弁護士は、少年自身や保護者、学校や職場などと協力しながら、少年を取り巻く環境を調整し、要保護性を減少、解消させるための活動を行います。
家庭裁判所に事件が送致されてから約4週間で審判が開かれるため、早い段階から環境調整を行う必要があります。

大阪の少年事件に強い弁護士

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なお、今年の4月から一部改正された少年法が施行されています。
その詳細については ⇒⇒こちらをクリック

【少年事件の弁護・付添人活動】強制わいせつ事件を起こした少年の保護観察を目指す①

2022-06-19

強制わいせつ事件を起こした少年の保護観察を目指す弁護・付添人活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

強制わいせつ事件で逮捕された少年

大阪府池田市に住む高校生のAさんは、塾から帰宅途中の路上において若い女性を見つけ、この女性に抱き付きながら手で女性の口をふさぎ、女性の胸を触ったり、スカートの中に手を入れる等の強制わいせつ事件を起こしました。
犯行途中に女性が激しく抵抗し始めたことから、Aさんはすぐに逃走しましたが、犯行現場近くの防犯カメラに映っていた映像が決め手となって、事件を起こして1カ月ほど経過して、Aさんは強制わいせつ罪で、大阪府池田警察署に逮捕されてしまいました。
逮捕の知ったAさんの両親は、今後Aさんがどの様な処分になるのか不安が大きく、少年事件に強い弁護士に、Aさんの弁護・付添人活動を依頼することにしたようです。
(フィクションです。)

少年による刑事事件

まだ20歳未満の少年が強制わいせつ罪のような刑事事件を起こして警察に逮捕されると、警察等の捜査当局の捜査を終えると家庭裁判所に送致され、それ以降は少年法に基づいて手続きが進みます。
お子さんが刑事事件を起こしてしまった時に、親御さんが最も心配するのが「どういった処分になるのか?」という事ですが、家庭裁判所から検察庁に逆送されて起訴されない限りは、事件を起こした少年に、懲役刑や罰金等の刑事罰が科せらることはありません。
少年は、家庭裁判所で開かれる少年審判において、最終的に処分が決定します。

家庭裁判所の終局決定

家庭裁判所に事件が送致されると、家庭裁判所の調査官による調査が行われ、審判での審理を経て、最終的な処分が言い渡されます。
家庭裁判所が行う決定には、終局決定と中間決定があります。
中間決定は、最終的な処分を決定する前に行われるもので、試験観察と呼ばれるものです。
そして終局決定は、大きく分けると

①審判不開始
②不処分
③検察官送致
④都道府県知事又は児童相談所長送致
⑤保護処分

の5種類となります。

本日は①~④までについて解説します。

①審判不開始

家庭裁判所の調査の結果、非行事実がないなど審判に付することができないとき、又は、少年の要保護性が解消していたり、事件が軽微であったりする場合など審判に付するのが相当でないと認めるときは、審判を開始しない旨の決定がなされます。

②不処分

非行事実がないなど保護処分に付することができない場合、又は、少年の要保護性が解消されていたり、事案が軽微であったりする場合などで保護処分に付する必要がないと認める場合に不処分の決定がなされます。

③検察官送致

審判時に少年が20歳以上であることが判明した場合、刑事処分が相当であると認められる場合、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であってその罪を犯したときに少年が16歳以上であった場合に、事件は検察官に送致され刑事手続に沿って事件が処理されます。

④都道府県知事又は児童相談所長送致

18歳未満の少年について、事件自体を知事又は児童相談所長に送致し、児童福祉機関に最終的な決定を委ねるものです。

~明日に続く~

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