Archive for the ‘少年事件’ Category

池田市のひき逃げ事件 逮捕の少年を逆送

2023-12-08

人身事故を起こした18歳の少年が検察官に逆送された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

~ケース~
大阪府池田市の交差点で、歩行中の高齢女性と接触する事故を起こし、その場から逃走したとして、大阪府池田警察署は、Aくん(17歳)を過失運転致傷および道路交通法違反の容疑で逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、今後どのように対応すればよいか分からず、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

検察官送致とは

「検察官送致」は、家庭裁判所が下す終局決定のうちのひとつです。
家庭裁判所が、少年に保護処分ではなく刑事処分を科すことが相当であると判断した場合に、検察官に送致する旨の決定を行います。
この決定を「検察官送致」決定といい、通常、「逆送」と呼ばれています。

検察官送致には、2種類あります。

(1)刑事処分相当を理由とする検察官送致

家庭裁判所は、「死刑、懲役または禁錮に当たる罪」を犯した少年について、「その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき」は、検察官送致をすることができます。
これを「刑事処分相当逆送」と呼び、刑事処分相当での検察官送致の対象年齢は、14歳以上です。

刑事処分相当逆送の要件は、
①死刑、懲役又は禁錮に当たる罪であること。
②①の罪を犯した少年であること。
③その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときであること。
です。

③の刑事処分相当性については、保護処分によっては少年の矯正改善の見込みが場合の他に、事案の性質、社会感情、被害者感情などを考慮し、保護処分に付すことが社会的に許容されない場合も刑事処分相当であるとされます。

また、行為時に16歳以上の少年で、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」に当たる事件の場合は、検察官送致の決定をしなければなりません。
これを「原則逆送」事件と呼びます。(特定少年の場合、原則逆送事件となる対象事件が異なります)
ただし、原則逆送事件であっても、「犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格・年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるとき」は、検察官送致以外の処分をすることができます。

(2)年齢超過を理由とする検察官送致

審判時に少年が20歳以上に達している場合、少年法の適用対象ではなくなるため、家庭裁判所は審判を行うことができず、保護処分に付することもできません。
ですので、このような場合、家庭裁判所は検察官送致決定をしなければなりません。
これを「年齢超過逆送」といいます。

交通事件と検察官送致

検察官送致決定が付される保護事件には、交通関係事件が多くあります。
無免許運転や信号無視、速度超過なども検察官送致の対象となります。
特に、人身事故を起こした場合には、審判の結果、検察官送致に付されるケースが多くなっています。

検察官送致となった場合には、少年にとってメリット・デメリットがあります。
略式請求での罰金刑や公判請求されても執行猶予が見込まれる場合、裁判が終了すれば事件が終了し、保護観察処分などのように審判後も保護観察官や保護司に定期的に面談する等の必要がありません。
しかし、刑事処分になれば、有罪判決となり前科が付くことになりますので、再度事件を起こした場合には、初犯扱いされません。
一方、保護観察処分前科扱いされません。

このように、検察官送致となる場合にはメリット・デメリットがありますので、検察官送致に付される可能性がある場合には、刑事事件・少年事件に詳しい弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

観護措置で少年鑑別所に収容!!観護措置って何ですか?~②~

2023-05-02

~前回からの続き~

本日のコラムでは「観護措置の要件」等について解説します。

観護措置の要件

少年法17条1項は、家庭裁判所は、「審判を行うため必要があるとき」は、観護措置をとることができるとしています。
「審判を行うため必要があるとき」として規定されていませんが、一般的には、次の各要件を満たす必要があるとされています。

  • 審判条件があること。
  • 少年が非行を犯したことを疑うに足りる相当の理由があること。
  • 審判を行う蓋然性があること。
  • 観護措置の必要性が認められること。

「観護措置の必要性」については、具体的には以下の事由のいずれかがある場合に認められます。

(a)調査、審判、決定の執行を円滑かつ確実に行うために、少年の身体を確保する必要があること。
(b)緊急的に少年の保護が必要であること。
(c)少年を収容して心身鑑別をする必要があること。

観護措置の期間

法律上は、2週間を超えないとされていますが、とくに継続の必要があるときは1回に限り更新をすることができるとされています。
しかし、実務上は、ほとんどの事件で更新がなされ、観護措置の期間は、通常4週間となっています。

観護措置をとる時期

家庭裁判所は、事件が家庭裁判所に継続している間、いつでも観護措置をとることができます。
しかし、逮捕・勾留されている少年については、少年が家庭裁判所に到着したときから24時間以内に観護措置をとらなければなりません。
捜査段階で身体拘束を受けていない在宅事件についても、家庭裁判所に送致された後、家庭裁判所が観護措置をとる必要があると判断した場合には、観護措置がとられることがあります。

観護措置を回避する弁護士の活動

観護措置は4週間もの身体拘束を伴う措置であるため、観護措置の必要がないと考える場合や、観護措置を避ける必要がある場合には、観護措置回避に向けて活動を行うことが重要です。

付添人である弁護士は、事件が家庭裁判所に送致されるタイミングを見計らい、家庭裁判所に、観護措置の要件や必要性がないこと、そして、観護措置を避けるべき事情について述べた意見書を提出します。
そして、裁判官や調査官と面談を行い、観護措置をとらないよう説得的に主張します。
観護措置がとられなければ、逮捕・勾留されていた少年は釈放となりますし、在宅捜査を受けていた少年はそのまま家庭に居ながら家庭裁判所の調査、審判を受けることになります。

少年事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こしお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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観護措置で少年鑑別所に収容!!観護措置って何ですか?~①~

2023-04-29

観護措置で少年鑑別所に収容された事件を参考に、観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

小学生女児に対する痴漢で逮捕された少年

大阪府松原市に住む高校生(16歳)の少年Aさんは、高校からの帰宅途中や、塾への行き帰りの道中で、小学生の女児への痴漢を繰り返していました。
被害女児の保護者からの相談が相次いだ大阪府松原警察署は警戒を強めており、その中犯行に及んだAさんは、警戒中の警察官に現行犯逮捕されてしまいました。
警察署に呼び出されたAさんの両親は警察官から「本人は犯行を認めているが、余罪が複数あるので今後、勾留を請求して身体拘束をしたまま捜査を続けます。捜査終了後は観護措置によって少年鑑別所に収容されるでしょう。」と説明を受けました。
(フィクションです。)

大阪府内の少年鑑別所

大阪府内には少年鑑別所が一か所しかなく、基本的に大阪府内に住んでいる少年はこの一か所の少年鑑別所に収容されることとなります。

大阪少年鑑別所(大阪法務少年支援センター)

〒590-0014 
大阪府堺市堺区田出井町8-30 
電話 072-233-3326

観護措置について

捜査機関は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑が認められない場合でも家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致します。

事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所は「観護措置」をとることができます。
「観護措置」というのは、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る措置のことです。
この観護措置には、2種類あります。
家庭裁判所の調査官の観護に付する在宅観護と、少年鑑別所に送致する収容観護です。
しかし、実務上、在宅観護はほとんど活用されていないため、観護措置という場合は収容観護を指します。

~次回に続く~
次回のコラムでは「観護措置の要件」等について解説します。

なお弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、ゴールデンウィーク中も休まず営業しております。
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少年鑑別所ってどんな施設?どんな時に収容されるの?

2023-03-19

少年事件の手続きにおいてよく耳にする「少年鑑別所」
はたして少年鑑別所とはどのような施設で、どのような少年が収容されるのでしょうか?
本日のブログでは少年鑑別所について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

大阪府内の少年鑑別所

大阪府内には少年鑑別所は1カ所しかありません。
その少年鑑別所が、堺市にある大阪少年鑑別所と呼ばれている「大阪法務少年支援センター」です。

大阪法務少年支援センター(大阪少年鑑別所)
住所 大阪府堺市堺区田出井町8-30 
電話 072-233-3326

少年鑑別所ってどんな施設

少年鑑別所のことを、何か悪いことをした少年が収容される更生施設、いわば少年院と同じように思っている方が多いようですが、少年鑑別所は、少年院とは全く違う役割のある施設です。
少年事件の手続きにおいて、少年鑑別所は、事件を起こしたり非行事実のある少年に対して、今後、どのようにして更生に導いていくのかを判断する前段として、その少年の能力や性格等を調査するための施設で、収容されるのは、主に何か犯罪を犯してしまったり、犯罪を犯すおそれのある少年です。

少年鑑別所にはどんな時に収容されるの?

少年鑑別所に収容されている少年のほとんどは、裁判官に観護措置の必要はあると判断された少年です。
何か事件を起こしてしまった少年を例にすると、犯行が明らかとなった場合は、まずは警察や検察庁といった捜査機関が犯罪捜査を行います。
そしてその犯罪捜査が終わると、家庭裁判所に事件が送致されるのですが、このタイミングで、家庭裁判所の裁判官が観護措置の必要があるかどうかを判断し、ここで必要があると認められた少年は、少年鑑別所に収容されます。
逮捕されて身体拘束が続いている少年は、家庭裁判所に送致と同時に収容されるケースが大半ですが、在宅で捜査を受けている少年であっても、その「引き上げ」といって、観護措置が決定して少年鑑別所に収容されることがあるので注意が必要です。

少年事件に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件と共に少年事件を専門に扱っている法律事務所です。
お子様が何か事件を起こして大阪少年鑑別に収容されている方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が提供する 初回接見サービス をご利用ください。

【速報】大学入試共通テスト流出事件 大阪家裁で保護観察処分を決定

2022-09-21

大学入試共通テストの問題を流出させた事件で、通話アプリを使って流出させた受験生に対して大阪家裁が保護観察処分を決定した件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

事件概要

この事件は、今年の1月に行われた大学入試共通テストにおいて、大阪府内の試験会場で受験していた受験生が、動画撮影した世界史の試験問題をスマートフォンアプリのビデオ通話機能を使用して外部に流出させ、事情の知らない東京大学の大学生などが解答する不正が行われた事件です。


この事件は警視庁偽計業務妨害事件として捜査を開始したニュースを見た女子受験生が香川県内の警察署に出頭した後も世間の注目を集めており、今年の4月には、この女子受験生と、事情を知らずに回答した大学生を中継していた男が偽計業務妨害罪で罰金50万円の略式命令を受けていました。
出頭した女子受験生は、捜査を終えた後となる今年の3月に家庭裁判所送致されて、その後、女子受験生の住居地である大阪の家庭裁判所に事件が移され、大阪家庭裁判所で少年審判が開かれました。
少年審判において裁判官は「周到に準備をしたうえで実行し計画的で巧妙な犯行であり、大学入試で重要な試験の公正を害するおそれを生じさせ、悪質だ。希望する大学に合格したいという思いに執着し重大な非行に至った問題性は軽視できない」などと指摘しながらも、「行為の重大性を認識するとともに、自己の問題点とも向き合いつつあるなど内省を深めている」などとして保護観察処分を決定しました。
(こちらの記事は、21日付け、報道各社の配信を参考にしています。)

「保護観察」ってどんな処分ですか?

女子受験生に対して決定した「保護観察」について解説します。
保護観察は、少年審判において決定する保護処分の一つです。
保護処分は、家庭裁判所に送致された少年を更生させるために行われる少年法上の処分のことで、その種類は「保護観察」の他、少年院送致、児童自立支援施設等送致があります。
保護観察処分は、矯正施設に収容することなく、社会内で生活させながら、保護観察所(保護司)の指導監督の下、更生を目指す保護処分のことです。
少年は、日常生活を送りながら、月に数回、保護司と面会して近況報告をしたりしながら、保護司から指導を受けて更正を目指します。

少年事件に関するご質問は

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件と共に少年事件についても強いと評判の法律事務所です。
少年事件は、成人事件とは異なる手続きが進みますので、まだ未成年のお子様が刑事事件を起こしてしまった場合は、まず少年事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
少年事件に関するご質問は
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少年事件の手続きについては ⇒⇒こちらをクリック

【解決事例】特殊詐欺事件に関与して逮捕された大学生の接見禁止の一部解除に成功

2022-07-15

特殊詐欺事件に関与して逮捕された大学生の接見禁止の一部解除に成功した事件の解決事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

事件概要

大学生(19歳)の息子が、友達と泊りに行くと言って家を出たきり連絡が途絶えたことを心配したAさんは、息子との連絡が途絶えた翌日に、最寄りの警察署に捜索願を出しに行きました。
そこでAさんは、息子が特殊詐欺事件に関与して、大阪府泉南警察署逮捕されていることを知りました。
Aさんは、息子に面会しようと大阪府泉南警察署に電話しましたが、留置場の担当警察官から「接見禁止なので面会できない。」と言われました。
Aさんから弁護活動の依頼を受けた弁護士が、すでに決定して接見禁止について家族だけでも面会できるように、接見禁止の一部解除を申し立てたところ、この申し立てが認容され、Aさんは息子に面会することができました。
(実際に起こった事件を基に、一部変更を加えています。)

特殊詐欺事件

警察は、もう何年も前からオレオレ詐欺や振り込め詐欺等の特殊詐欺事件について厳しく捜査しており、その検挙、抑止活動に力を入れていますが、事件の発生が後を絶たないだけでなく被害は増加傾向にあるようです。
そのため大阪府警では、全国の都道府県警察で初めて、特殊詐欺事件の捜査を専門にする「特殊詐欺捜査課」を今年の春に発足し、運用を始めています。

また最近は、こういった特殊詐欺事件の受け子や出し子役として関与して、警察に検挙される若者が増加傾向にあります。
こういった事件に関与する若者のほとんどは、SNS等の「アルバイト募集」の記事を読んで事件に関与するようですが、中には自分がどういった事件に加担するのかハッキリと分からずに関与してしまう若者もいるようです。
特殊詐欺事件に関与したとして警察に逮捕されてしまうと身体拘束が長くなる可能性が非常に高く、逮捕された事件での勾留期間だけでなく、別の事件に関与したとして再逮捕されるケースも多いようです。

受け子や出し子に適用される罪名のほとんどは、詐欺罪や窃盗罪です。
詐欺罪の場合は「懲役10年」という法定刑が定められており、罰金刑の規定はありませんが、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と罰金刑の規定があります。
警察に逮捕されて勾留期間が終了するまでの手続きについては、成人事件と少年事件の間で違いはありませんが、勾留期間終了後の手続きについては、成人事件と少年事件で大きくことなります。

成人事件の手続きについては こちらを⇒⇒クリック

少年事件の手続きについては こちらを⇒⇒クリック

接見禁止の解除

逮捕されて留置場にいる方と面会する事を「接見」といいます。
通常であれば警察に逮捕されて48時間以内に検察庁に送致され、送致を受けた検察官が裁判所に勾留請求して勾留が決定すれば、その後は勾留場所になっている警察署で勾留されている方と面会することができます。
しかし勾留と同時に裁判官が接見禁止を決定する場合があり、その場合は、家族であっても面会することができません。
これを接見禁止といいます。

特殊詐欺事件のように組織的背景のある事件、共犯者がいる事件、逮捕容疑を否認している事件等では接見禁止になりやすいと言われていますが、これは、事件の関係者と通謀することを避けるためなので、家族等にその様な虞がない場合は、家族等だけでも接見禁止を解除することが可能です。
家族等の接見禁止を解除するには、勾留されている方の刑事弁護人が、接見禁止を決定した裁判官に対して文書で、接見禁止の解除を申請する必要があります。

特殊詐欺事件で逮捕された方の接見禁止解除に強い弁護士

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件に強いと評判の法律事務所です。
ご家族、ご友人が警察に逮捕されてしまった方は、まず一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。

【少年事件の弁護・付添人活動】強制わいせつ事件を起こした少年の保護観察を目指す②

2022-06-20

強制わいせつ事件を起こした少年の保護観察を目指す弁護・付添人活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

~昨日からの続き~

本日、まずは少年事件における終局処分の一つ、保護処分について解説します。

⑤保護処分

保護処分には、3種類あります。

●保護観察

保護観察は、少年を施設に収容することなく、社会内で生活を送らせながら、保護観察所の行う指導監督及び補導援護によって少年の改善更生を図る社会内処遇の保護処分です。

●児童自立支援施設又は児童養護施設送致

児童自立支援は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童等を入所させ、又は保護者の下から通所させて指導を行う施設です。
児童養護施設は、保護者のいない児童、虐待されている児童等を入所させ養護する施設です。
いずれの施設も施錠のない開放施設であるため、非行性の進んだ少年は送致の対象とならない場合が多くなっています。

●少年院送致

少年院送致は、少年を少年院に強制的に収容する保護処分です。
少年院では、保護処分の執行を受ける者及び少年院において懲役・禁錮の刑の執行を受ける者が収容され、矯正教育その他の必要な処遇が行われます。

保護処分が見込まれる事件であっても、最終的な処分が保護観察であるか少年院送致であるかは、その後の少年の生活にも大きく影響することになります。
少年院送致ではなく保護観察がより少年の更生に適切であると考える場合には、保護観察を目指した活動を行う必要があります。

保護観察を目指す活動

審判で審理されるのは、非行事実と要保護性という2つの要素です。
非行事実というのは、成人の刑事裁判でいう起訴事実に当たるものです。
そして、要保護性とは、少年法上の保護の必要性であって、次の3つの要素から構成されるものです。

①再非行性
少年の性格や環境に照らして、将来再び非行をする危険性があること。

②矯正可能性
少年法上の保護処分による矯正教育によって再非行性を除去できること。

③保護相当性
少年法上の保護処分が更生のために有効かつ適切であること。
これらの要素を考慮して、要保護性の有無とその程度が審判で審理されます。
要保護性が高いと認められる場合には、少年院送致が決定される可能性が高くなります。

少年院送致や児童自立支援施設等送致といった施設収容を伴う処分を回避するためには、少年の要保護性の解消、つまり環境調整が重要となります。
施設に収容することなく、家で生活しながらでも更生することができるということを裁判官に理解してもらわなければなりません。
付添人である弁護士は、少年自身や保護者、学校や職場などと協力しながら、少年を取り巻く環境を調整し、要保護性を減少、解消させるための活動を行います。
家庭裁判所に事件が送致されてから約4週間で審判が開かれるため、早い段階から環境調整を行う必要があります。

大阪の少年事件に強い弁護士

大阪府にお住まいの方で、お子様が事件を起こし対応にお困りであれば、少年事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。
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逮捕されている少年のもとに弁護士を派遣する初回接見サービスについては ⇒⇒こちらをクリック

なお、今年の4月から一部改正された少年法が施行されています。
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【少年事件の弁護・付添人活動】強制わいせつ事件を起こした少年の保護観察を目指す①

2022-06-19

強制わいせつ事件を起こした少年の保護観察を目指す弁護・付添人活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

強制わいせつ事件で逮捕された少年

大阪府池田市に住む高校生のAさんは、塾から帰宅途中の路上において若い女性を見つけ、この女性に抱き付きながら手で女性の口をふさぎ、女性の胸を触ったり、スカートの中に手を入れる等の強制わいせつ事件を起こしました。
犯行途中に女性が激しく抵抗し始めたことから、Aさんはすぐに逃走しましたが、犯行現場近くの防犯カメラに映っていた映像が決め手となって、事件を起こして1カ月ほど経過して、Aさんは強制わいせつ罪で、大阪府池田警察署に逮捕されてしまいました。
逮捕の知ったAさんの両親は、今後Aさんがどの様な処分になるのか不安が大きく、少年事件に強い弁護士に、Aさんの弁護・付添人活動を依頼することにしたようです。
(フィクションです。)

少年による刑事事件

まだ20歳未満の少年が強制わいせつ罪のような刑事事件を起こして警察に逮捕されると、警察等の捜査当局の捜査を終えると家庭裁判所に送致され、それ以降は少年法に基づいて手続きが進みます。
お子さんが刑事事件を起こしてしまった時に、親御さんが最も心配するのが「どういった処分になるのか?」という事ですが、家庭裁判所から検察庁に逆送されて起訴されない限りは、事件を起こした少年に、懲役刑や罰金等の刑事罰が科せらることはありません。
少年は、家庭裁判所で開かれる少年審判において、最終的に処分が決定します。

家庭裁判所の終局決定

家庭裁判所に事件が送致されると、家庭裁判所の調査官による調査が行われ、審判での審理を経て、最終的な処分が言い渡されます。
家庭裁判所が行う決定には、終局決定と中間決定があります。
中間決定は、最終的な処分を決定する前に行われるもので、試験観察と呼ばれるものです。
そして終局決定は、大きく分けると

①審判不開始
②不処分
③検察官送致
④都道府県知事又は児童相談所長送致
⑤保護処分

の5種類となります。

本日は①~④までについて解説します。

①審判不開始

家庭裁判所の調査の結果、非行事実がないなど審判に付することができないとき、又は、少年の要保護性が解消していたり、事件が軽微であったりする場合など審判に付するのが相当でないと認めるときは、審判を開始しない旨の決定がなされます。

②不処分

非行事実がないなど保護処分に付することができない場合、又は、少年の要保護性が解消されていたり、事案が軽微であったりする場合などで保護処分に付する必要がないと認める場合に不処分の決定がなされます。

③検察官送致

審判時に少年が20歳以上であることが判明した場合、刑事処分が相当であると認められる場合、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であってその罪を犯したときに少年が16歳以上であった場合に、事件は検察官に送致され刑事手続に沿って事件が処理されます。

④都道府県知事又は児童相談所長送致

18歳未満の少年について、事件自体を知事又は児童相談所長に送致し、児童福祉機関に最終的な決定を委ねるものです。

~明日に続く~

【解決事例】中学生による公然わいせつ事件で短期保護観察

2022-05-30

【解決事例】中学生による公然わいせつ事件で短期保護観察となった事件の解決事例を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

事件概要

大阪府枚方市に住む中学2年生のA君は、約半年にわたって自宅近所の公園等において、小学生の女児に対して自身の性器を露出したり、自慰行為を見せつけたりする公然わいせつ事件を繰り返し起こしていました。
そんなある日の朝、自宅を訪ねて来た大阪府枚方警察署の警察官に警察署に任意同行されたA君は、警察署で取調べを受けて、これまでの事件についてすべて自白しました。
A君は在宅事件として警察で取調べを受けた後に、検察庁に書類送検されて、その後家庭裁判所に送致されて少年審判を受けることになりましたが、この間にカウンセリングを受ける等して更生に向けて取り組んだところ、短期保護観察処分となりました。
(実際に起こった事件を基に、一部変更を加えています。)

公然わいせつ罪

公然わいせつ罪は、公然とわいせつな行為をすることによって成立する犯罪で、刑法第174条に規定されています。
「公然と」とは、不特定多数の者が認識できる状態を意味しますが、実際に不特定又は多数の者によって認識されたことまで必要とされておらず、その可能性があれば公然わいせつ罪でいうところの公然性は認められます。
「わいせつな行為」とは、性欲の刺激・満足を目的とする行為で善良の風俗に反し、一般人に羞恥心を感じさせるものをいいます。

公然わいせつ罪は、強制わいせつ罪や、強制性交等罪のような性犯罪とは異なり、社会的法益である性秩序を保護法益としているため、刑事手続き上の被害者は存在しません。
しかし弁護活動を行うに当たっては、目撃者と示談することによってその後の刑事処分が軽減される場合もあります。

公然わいせつ罪の法定刑は「6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」ですが、少年事件の場合は、この法定刑が適用されず、少年審判によって処分が決定します。

短期保護観察

少年審判で決定する保護処分の一種で、少年院等の施設に収容されることなく、定期的に保護司と面会して近況報告や指導を受ける、日常生活を送りながら更生に向けて取り組む保護処分のことです。
保護観察には以下の種類があります。

●一般保護観察・・・1年を経過し、3月以上継続して成績良好であれば解除が検討される。
特別な事情がある場合は6カ月に短縮されることもある。
●一般短期保護観察・・・6ヶ月~7ヶ月で解除が検討される。
●交通保護観察・・・6ヶ月以降に解除が検討される。
●交通短期保護観察・・・3ヶ月~4ヶ月で解除が検討される。

※注意
今年4月の少年法の一部改正によって、特定少年については、保護観察の期間が6カ月と2年の二択となっています。
改正少年法については、  こちら  をご確認ください。

このコラムをご覧の方で、大阪府枚方市の少年事件でお困りの方は、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、刑事事件専門弁護士により初回無料の法律相談や、逮捕されている方のもとに弁護士を派遣する初回接見サービスのご予約を

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特殊詐欺事件で逮捕された少年 少年院送致を回避するには~前編~

2022-05-25

本日より二日間にわたって特殊詐欺事件で逮捕された少年の少年院送致を回避する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

事件概要

今年高校を卒業したばかりのAさんは、SNSで知り合った人から「いいバイトがあるけどやらないか?」と誘いを受け、特殊詐欺事件の受け子をするようになりました。
これまで大阪府内をはじめ、奈良県や和歌山県の高齢者宅を訪ねて、指示されたとおりに、被害者から現金入りの封筒を受け取って、指示された場所まで運んでいました。
そんなある日、大阪府富田林市内の一軒家を訪ねて、家人から現金の入った紙袋を受け取り、駅に向かって歩いていたところ、警察官に職務質問されてしまったのです。
警察官に追及されるうちに観念したAさんは、自分が特殊詐欺事件の受け子である旨を自白したところ、そのまま警察署に連行されて逮捕されてしまいました。

Aさんが逮捕されたことを知った両親は、Aさんの将来を心配して何とか少年院送致だけは回避できないものかと、大阪府内の少年事件に強い弁護士をさがしています。
(フィクションです)

特殊詐欺事件に関与する少年

少年が特殊詐欺に加担するケースは少なくありません。
「簡単に金が稼げる。」、「いいバイトがある。」などといった誘い文句に乗り、アルバイト感覚で犯行に加担してしまう若者が増加傾向にあります。
特殊詐欺に誘い込む組織の人間は、現金やキャッシュカードなどを受け取りに行く役(いわゆる「受け子」)は逮捕されやすいため、外部の人間に担わせることが多いのです。
そこで、インターネットの掲示板やSNSを通じて受け子を募集し、応募してきた者に犯行を指示し実行させます。

特殊詐欺事件による被害額は増加傾向にあり、社会的にも大きな問題となっているため警察は特殊詐欺事件の捜査を強化しています。
実際に大阪府警では今年4月、全国の警察に先駆けて、特殊詐欺事件を専門に捜査する課を新設して、特殊詐欺の捜査を強化しているようです。
また特殊詐欺事件で警察に検挙されると、厳しい処罰が科される傾向にあります。
これは、被疑者が少年であっても同様の傾向が見られ、初犯であってもいきなり少年院送致という厳しい処分が言い渡される可能性があるので注意が必要です。

特殊詐欺事件で警察に逮捕されると

特殊詐欺事件で警察に逮捕されると、少年であっても勾留される可能性が非常に高く、10日~20日間は警察署の留置場で身体拘束を受けながら、警察や検察官の厳しい追及を受けることになるでしょう。
勾留期間の取り調べにおいて作成される供述調書の内容は、その後の手続きに大きく影響する非常に重要な資料となるので、こういった取り調べには十分に注意しなければいけません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、特殊詐欺事件で警察に逮捕された方を全面的にバックアップする体制を整えた弁護活動を行っております。
まだ二十歳に満たないお子様が特殊詐欺事件に関与したとして警察に逮捕された方は

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弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、逮捕されたお子様のもとに弁護士を派遣する初回接見サービスをご用意しております。

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