~刑法を解説~ 第4章 国交に関する罪

~刑法を解説~3回目の本日は、第4章国交に関する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

国交に関する罪

刑法第4章には国交に関する罪について規定されています。
規定されている内容は

第92条 外国国章損壊等罪
第93条 私選予備及び陰謀罪
第94条 中立命令違反罪

です。

国交に関する罪では、国際紛争の火種となり、場合によっては外交問題にまで発展する可能性のある行為を規制しています。
まず第93条に規定されているのが、外国に対して侮辱を加える目的で、その外国の国旗や国章を損壊等にした時に成立する「外国国章損壊等罪」です。
この法律は、外国に対して侮辱を加える目的がなければ成立せず、こういった目的なく外国国章を損壊しても単に器物損壊罪が成立するにとどまります。
続いて第94条に規定されているのが、「私戦予備及び陰謀罪」です。
この法律は、外国に対する私的な戦闘行為の予備や陰謀を禁止する法律で、実は過去に適用された例があります。
中東地域の過激な武力派組織に戦闘員として参加しようと準備をしていた男性が、私戦予備罪で書類送検されたのです。
今ですと、ロシアとウクライナの戦闘に義勇兵として参加しようとすれば、私選予備罪に問われる可能性があります。
最後に第95条に規定されているのが「中立命令違反罪」です。
この法律は、交戦している外国の局外中立に関する命令に違反した場合に成立するのが「中立命令違反罪」です。

国交に関する罪の罰則

①外国に対して侮辱を与える目的で外国の国章を損壊等した者には「2年以下の懲役又は20万円以下の罰金」の罰則が設けられています。
ただし、その外国政府の要請がない場合は刑事罰を科せられません。

②私戦の予備や陰謀をした者には「3月以上5年以下の禁固」の罰則が設けられています。
ただし、自首した場合は刑事罰を科せられません。

③中立命令に違反した者には「3年以下の禁固又は50万円以下の罰金」の罰則が設けられています。

「~刑法を解説~第5章公務の執行を妨害する罪」に続く

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