~刑法を解説~45回目の本日は、第35章信用及び業務に対する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
信用及び業務に対する罪
本日は、第35章信用及び業務に対する罪に規定されている
第233条 信用毀損罪・偽計業務妨害罪
第234条 威力業務妨害罪
第234条の2 電子計算機損壊等業務妨害罪
について解説します。
第233条には、虚偽の風説を流布したり、偽計を用いて人の信用を毀損することによって成立する信用毀損罪と、虚偽の風説を流布したり、偽計を用いて人の業務を妨害することによって成立する偽計業務妨害罪が規定されています。
ここでいう「虚偽の風説を流布」とは、真実と異なった内容の事項を不特定又は多数の人に伝播させることを意味します。
これは分かりやすく言うと「嘘の情報を世間に流すこと」です。
続いて「偽計を用いる」とは、人を騙したり、人の錯誤、不知を利用したり、人を誘惑したりする他、計略や策略を講じるなど、業務妨害罪では、威力以外の不正な手段を用いることを意味するとされています。
また信用毀損罪の「信用」とは、経済的な側面における人の社会的な評価、つまり経済的な信用を指しますが、サービスの品質や、商品そのものの信用も含まれるとされています。
また業務妨害罪の成立に当たっては、実際に業務遂行が妨害されることまでは必要とされておらず、妨害の結果が発生する可能性があれば業務妨害罪が成立するとされています。
そして、偽計ではなく威力を用いて人の業務を妨害することによって成立するのが、第234条の威力業務妨害罪です。
ここでいう「威力」とは、暴行や脅迫は当然のこと、それらに至らないまでも、人の意思を制圧するような勢力を意味します。
そしてこの章の最後に解説するのが第234条の2に規定されている電子計算機損壊等業務妨害罪です。
この法律は、電子計算機、いわゆるコンピューターに対して何らかの加害を加えることによって、人の業務を妨害することによって成立します。
信用及び業務に対する罪の罰則
①信用毀損罪・偽計業務妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
②威力業務妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
③電子計算機損壊等業務妨害罪の法定刑は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。
「~刑法を解説~第36章窃盗及び強盗の罪」に続く