~刑法を解説~33回目の本日は、第26章殺人の罪~①~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
殺人の罪
本日は、第26章殺人の罪に規定されている法律の中から
第199条 殺人罪
第201条 殺人予備罪
について解説します。
新聞やテレビのニュース等で皆さんが一番耳にする凶悪犯罪が、殺人罪ではないでしょうか。
刑法第199条には、人を殺すことによって成立する殺人が規定されています。
殺人罪は、他人の生命を故意に断絶させる犯罪であり、刑法の保護法益のうち最も重要な法益を侵害する犯罪です。
殺人罪では、人を死に至らしめる行為については制限されておらず、幼児に食べ物を与えずに餓死させるような不作為による殺人もあれば、薬と偽って毒薬を飲ませるような間接正犯による殺人もあり得ます。
殺人罪が成立するには故意、つまり殺意が必要不可欠となります。
殺人罪の成立に必要とされる故意は、確定的故意に限られず、未必的であったり、条件付、概括的な故意でもよいとされています。
ただ故意(殺意)が認められない場合は、傷害致死罪だったり、過失致死罪といった犯罪の成立にとどまります。
殺人は、未遂であっても処罰対象となります。(刑法第203条)
そして殺人には予備罪の規定があります。
それが刑法第201条の殺人予備罪です。
殺人予備罪とは、殺人の予備行為を禁止する法律ですが、その予備行為は非常に幅広く、法律的には「殺人の実行を可能又は容易にする行為」だとされています。
凶器を準備するような有形的な行為だけでなく、被害者の行動を下見したり、犯行計画の立案などの無形的な行為であっても予備行為となります。
※ちなみに既に削除されてなくなっている法律が、かつて刑法第200条に規定されていた「尊属殺人罪」です。
尊属殺人罪とは、自分や配偶者の直系尊属(両親や祖父母)を殺害することで成立していた犯罪で、殺人罪よりも重い刑罰が規定されていましたが、平成7年の刑法改正によって削除されています。
殺人の罪~①~の罰則
①殺人罪の法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」です。
②殺人予備罪の法定刑は「2年以下の懲役」です。
「~刑法を解説~第26章殺人の罪~②~」に続く