~刑法を解説~32回目の本日は、第25章汚職の罪~②~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
汚職の罪
本日は、第25章汚職の罪に規定されている法律の中から
第197条1項 収賄罪・受託収賄罪
第197条2項 事前収賄罪
第197条の2 第三者供賄罪
第197条の3第1項2項 加重収賄罪
第197条の3第3項 事後収賄罪
第197条の4 あっせん収賄罪
第198条 贈賄罪
について解説します。
本日は、世間で「汚職」と言われている犯罪について解説します。
まず第197条1項に規定されているのが「収賄罪」と「受託収賄罪」です。
収賄罪とは、公務員が、その職務に関して、賄賂を受け取ったり、賄賂を要求したり、約束した場合に成立する犯罪で、公務員が請託を受けて、賄賂を受け取ったり、要求したり約束することで成立するのが受託収賄罪です。
ここでいう賄賂とは、公務員の職務に関する不正な報酬としての利益を意味し、請託とは、公務員に対して、その職務に関し一定の職務行為をし、又はしないことを依頼することです。
そして公務員になろうとする者が、事前に請託を受けて賄賂を受け取ったりしていた場合には、公務員となった場合に事前収賄罪が成立します。
また請託を受けた公務員が、第三者に賄賂を供与させたり、賄賂の供与を要求、約束した場合は、第197条の2に規定されている「第三者供賄罪」となります。
更に、こういった収賄行為、供賄行為が、不正な行為や、相当な行為を怠ったことに対しての見返りとして行われた場合は、第197条の3第1項や2項に規定されている「加重収賄罪」となります。
公務員であった者が、不正な行為や、相当な行為を怠ったことに対して、公務員を辞めた後に賄賂を受け取る等した場合は、第197条の3第3項の事後収賄罪となります。
197条の4の「あっせん収賄罪」は、公務員が請託を受けて、他の公務員に対して不正な行為や、相当な行為を怠るように斡旋するなどして、賄賂を受け取る等することを規制した法律です。
これまで解説した各種収賄罪の対向する関係となる犯罪が第198条に規定されている贈賄罪です。
贈賄罪は、公務員に対して賄賂を渡す側の行為を規制した法律です。
汚職の罪~②~の罰則
①収賄罪の法定刑は「5年以下の懲役」です。
②受託収賄罪の法定刑は「7年以下の懲役」です。
③事前収賄罪の法定刑は「5年以下の懲役」です。
④第三者供賄罪の法定刑は「5年以下の懲役」です。
⑤加重収賄罪の法定刑は「1年以上の有期懲役」です。
⑥事後収賄罪の法定刑は「5年以下の懲役」です。
⑦あっせん収賄罪の法定刑は「5年以下の懲役」です。
⑧贈賄罪の法定刑は「3年以下の懲役又は250万円以下の罰金」です。
「~刑法を解説~第26章殺人の罪~①~」に続く