~刑法を解説~ 第25章 汚職の罪 ~①~

~刑法を解説~31回目の本日から、第25章汚職の罪~①~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

汚職の罪

本日は、第25章汚職の罪に規定されている法律の中から

第193条 公務員職権濫用罪
第194条 特別公務員職権濫用罪
第195条 特別公務員暴行陵虐罪
第196条 特別公務員職権濫用致死(傷)罪特別公務員暴行陵虐死(傷)罪

を解説します。

まず第193条の公務員職権濫用罪は、公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことをさせたり、人が権利を行使するのを妨害することで成立する犯罪です。
この犯罪の主体となるのは「公務員」に限られているので、公務員職権濫用罪は、真正身分犯となります。
また、公務員職権濫用罪が成立するには、公務員の行為が、職権を行使した一般的職務権限に属するものが必要となり、その中で、職権の行使に仮託して実質的、具体的に違法、不当な行為をすることが「濫用」となります。

続いて第194条の特別公務員職権濫用罪とは、裁判官や、検察官、警察官等が、職権を濫用して、人を逮捕したり、監禁した場合に成立する犯罪です。

そして第195条の特別公務員暴行陵虐罪も、第194条と同じく主体は裁判官や、検察官、警察官等に限られていますが、客体となるのは被疑者、被告人等や、法令により拘禁されている者です。
こういった人達に対して、暴行や凌辱、加虐すれば特別公務員暴行陵虐罪となるのです。

また194条や195条の行為によって、相手が怪我負ったり、死亡したりした場合は、第196条の特別公務員職権濫用致死(傷)罪特別公務員暴行陵虐死(傷)罪となるのです。

汚職の罪~①~の罰則

①公務員職権濫用罪の法定刑は「2年以下の懲役又は禁錮」です。
②特別公務員職権濫用罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役又は禁錮」です。
③特別公務員暴行陵虐罪の法定刑は「7年以下の懲役又は禁錮」です。
④特別公務員職権濫用致死(傷)罪、特別公務員暴行陵虐死(傷)罪の法定刑は、傷害の罪と比較して、重い方の刑によって処断されます。

「~刑法を解説~第25章汚職の罪~②~」に続く

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