~刑法を解説~23回目の本日は、第20章偽証の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
偽証の罪
第20章は、偽証の罪について規定されています。
規定されている内容は以下のとおりです。
第169条 偽証罪
第170条 偽証罪の自白による刑の減免について
第171条 虚偽鑑定罪・虚偽通訳罪・虚偽翻訳罪
まず第169条の偽証罪について解説します。
偽証罪とは「法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をした」場合に成立する犯罪です。
この犯罪の主体となるのは「法律により宣誓した証人」に限られている身分犯で、あくまでも対象となるのは「証人」ですので、裁判にかけられている当事者は対象となりません。
ここでいう「法律により」とは、宣誓について法律の根拠があることを意味します。
「宣誓」とは、良心に従って、真実を述べ何事も隠さず、また何事も付け加えないことを誓うことをいいます。
ところで何をもって「虚偽の陳述」となるのか気になるかと思います。
証人が自分の記憶とは異なる証言、つまり嘘を言うことが、虚偽の陳述なのか、それとも、証人が、客観的な事実と異なる証言を行うことを、虚偽の陳述というのかについては、前述した主観説が採用されています。
つまり証人がそうだと思い違いをしている内容を記憶に基づいて証言していれば、その内容が客観的な事実と異なっていたとしても、偽証罪でいうところの虚偽の陳述には該当しません。
偽証罪は、虚偽の陳述によって誤った裁判等が行われることを防止するための法律ですので、裁判等の確定前に虚偽陳述を自白すれば刑が減刑されたり免除されたりします。
この事が規定されているのが第170条です。
そして法律により宣誓した鑑定人や、通訳人、翻訳人が、虚偽の鑑定や通訳、翻訳をした場合に成立するのが、第171条の虚偽鑑定等罪です。
偽証の罪の罰則
この章に規定されてされている偽証罪、虚偽鑑定罪、虚偽通訳罪、虚偽翻訳罪の法定刑は「3月以上10年以下の懲役」です。
「~刑法を解説~第21章虚偽告訴の罪」に続く