本日より始まる~刑法を解説~では、刑法に定めらている法律を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
第1回目の本日は、第2章内乱に関する罪について解説します。
内乱に関する罪
刑法第2章には内乱に関する罪について規定されています。
規定されている内容は
第77条 内乱罪
第78条 内乱予備及び陰謀罪
第79条 内乱等幇助罪
第80条 自首による刑の免除
です。
内乱罪とは、いわゆる革命活動、いわゆるクーデターを取り締まるための法律です。
国家の秩序を転覆させる目的で暴動を起こす重大な罪ですので、その罰則も非常に厳しく、首謀者には「死刑又は無期禁錮」の法定刑が定められています。
また内乱を準備したり、計画したりしただけでも処罰の対象(第78条)となりますし、武器を調達するなどして内乱をサポートしただけでも処罰の対象(第79条)となります。
逆に内乱が起こる前に自首した場合は刑を免除する旨も規定されています。
これまで内乱罪が適用された事件はありませんが、戦後ですとオウム真理教事件では内乱罪の適用を弁護士が求めたことがありました。
これは、殺人罪に問われた被告の弁護人が、首謀者以外は死刑が適用されない内乱罪の適用を求めたものでしたが、この主張は裁判所の判決で否定されています。
内乱罪の罰則
①暴動やクーデターなどの内乱行為の首謀者には「死刑または無期禁錮」と非常に厳しい罰則が設けられています。
②暴動やクーデターなど内乱行為を謀議したり、内乱において群衆を指揮した者には「無期禁錮または3年以上の禁錮」の罰則が設けられています。
③暴動やクーデターなどの内乱を計画している集団に対して、職務的に従事した者には「1年以上10年以下の禁錮」の罰則が設けられています。
④暴動やクーデターなどの内乱に参加した者には「3年以下の禁錮」の罰則が設けられています。
⑤暴動やクーデターなどの内乱の準備や謀議をした者には「1年以上10年以下の禁固」の罰則が設けられています。
⑥暴動やクーデターなどの内乱や、内乱の準備や謀議に際して、武器を準備したりする等の手助けをした者には「7年以下の禁固」の罰則が設けられています。
「~刑法を解説~第3章外患に関する罪」に続く