~刑法を解説~12回目の本日は、第12章住居を侵す罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
住居を侵す罪
第12章には住居を侵す罪について規定されています。
規定されている内容は
第130条 前段 住居侵入罪等
第130条 後段 不退去罪
第132条 住居侵入罪等の未遂罪について
まず第130条前段の、住居侵入罪等について解説します。
ここで規定されている法律は、住居侵入罪の他、建造物侵入罪、邸宅侵入罪そして艦船侵入罪の4つの犯罪です。
正当な理由なく不法侵入するという行為はどれも同じですが、どこに不法侵入したかによって適用される罪名が異なります。
住居侵入罪でいうところの「住居」とは人が日常生活を使用している場所を意味し、ホテルや旅館の客室のように一時的に利用している場合でも住居侵入罪となります。
また邸宅侵害罪の対象となるのは、住居用に建築されたが、今現在、日常的に住居として使用されていない建物を意味します。
空家をはじめ、シーズンオフの別荘も邸宅侵入罪でいう「邸宅」となるでしょう。
そして、住居や邸宅に該当しない建物が建造物等侵害罪の対象となるのですが、何れの場合も建物その物だけでなく、囲繞地も含まれるので注意が必要です。
艦船侵入罪でいう艦船とは、軍艦や船舶を意味します。
例えば港に停泊中の旅客船に、乗船券を持たずに忍び込むと艦船侵入罪となるでしょう。
続いて第130条後段の、不退去罪について解説します。
不退去罪とは、前段で規定されているような住居等や艦船にいる者が、そこの管理者、看守者など権限のある者から退去を要求されたにもかかわらず、退去せずにそこに居座った場合に成立する犯罪です。
そして第132条では入居侵入罪等の未遂を罰する規定がなされています。
他人の住居に不法侵入しようと塀を乗り越えようとした場合や、空家に忍び込もうと鍵を壊している場合などが住居侵入罪等の未遂罪になります。
また法律上、不退去罪についても未遂罪が規定されていますが、真正不作為犯である不退去行為の未遂については考えられないでしょう。
住居を侵す罪の罰則
刑法第130条に規定されている住居侵入罪等や、不退去罪の法定刑は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」」です。
「~刑法を解説~第13章秘密を犯す罪」に続く