祖父の遺品けん銃を自宅に保管していたとして銃刀法違反容疑で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
遺品けん銃を保管
富田林市に住むAさんは、3年前に祖父が亡くなった際に遺品を整理していたところ、祖父が使っていた部屋の押し入れからけん銃を見つけました。
けん銃と一緒に弾(実包)も一緒に見つけたAさんは、けん銃や、けん銃の弾を保管、所持することが犯罪であることは知っていましたが、警察に届け出ることなく、そのまま自宅に保管して隠し持っていたのです。
そしてその後Aさんは、お酒を飲んだ時などに、親しい友人この話をしたことがあります。
そうしたところ、ある日、Aさんの自宅に大阪府富田林市警察署の捜索が入り、隠し持っていたけん銃と弾が発見されて、Aさんは銃刀法違反で逮捕されたのです。
(このお話はフィクションです。)
けん銃所持事件と罰則
警察官などが職務で使用したり、都道府県公安委員会の許可を受けている場合を除いて、日本でけん銃を所持する事は、銃砲刀剣類所持等取締法で禁止されています。
けん銃は、この法律でいう銃砲に該当します。
銃砲とは、金属製弾丸を発射する機能を有する、殺傷能力のある「装薬銃砲」及び「空気銃」です。
正当な理由なくけん銃だけを所持して逮捕、起訴された場合、「1年以上10年以下の懲役」が科せられる可能があります。
しかし、所持するけん銃で使用できる実弾を一緒に所持していた場合は、加重所持となり、この場合は、罰則が厳しくなり「3年以上の有期懲役」が科せられるおそれがあります。
また、けん銃の実弾のみを所持する事も禁止されており、この場合は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科せられる可能性があります。
けん銃の認識
今回のケースでは、Aさんはけん銃であることを分かって所持、保管していたので、銃刀法違反に抵触することは間違いありません。
仮に、人から預かった荷物の中にけん銃が紛れ込んでいた場合など、けん銃を所持している認識がない場合も、銃刀法違反の犯罪が成立するのでしょうか?
所持している物がけん銃である認識がなかった場合や、そもそもけん銃を所持している認識がない場合は、故意が認められないので、銃刀法違反に抵触しない場合があります。
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