未遂と予備 着手がなくても刑事罰の対象となる予備罪とは…

最近、関東地区で起こった強盗殺人事件が世間を騒がせていますが、先日、大阪市内でも強盗事件が発生し、新聞等で大きく報じられました。
実は、強盗罪は、未遂だけでなく、予備行為も刑事罰の対象となることを皆さんはご存知でしょうか?
そこで、本日のコラムでは、強盗事件を例に、未遂罪と予備罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の弁護士が解説します。

強盗罪

「正体がばれないように覆面をして、他人の家に押し入り、家人を用意していたロープで縛って拘束し、室内の金庫の中から、現金を盗って逃げる。」は典型的な強盗事件です。
これで家人が怪我をすれば強盗致傷罪となり、もし亡くなれば強盗致死罪となりますが、今回は家人に怪我はなかったと想定します。
強盗罪は、起訴されて有罪が確定すれば、5年以上の有期懲役が科せられるので、基本的には執行猶予を付けることができませんが、減軽事由があれば猶予を付けることも可能です。

未遂罪

上記した強盗事件を例に、まずは強盗未遂罪について解説します。
未遂罪とは、犯罪の実行に着手したが、犯行を成しえなかった場合を意味します。(刑法第43条)
未遂は、障害未遂中止未遂に大きく分類することができ、障害未遂とは、簡単に言うと犯人自らの意思ではなく、外部的な何らかの障害によって犯行を成し遂げれなかった場合を意味し、中止未遂とは、犯行に着手したものの、自らの意思で犯行を中断し、最後まで犯行を成し遂げなかった場合を意味します。
障害未遂については、絶対的に減軽されるわけではなく、裁判官の裁量に委ねられますが、中止未遂と認められた場合は、その刑は絶対に減軽されます。
何れにしても、未遂となるには、最低限の条件として、犯罪の実行に着手していなければなりません。
つまり、未遂罪が成立するかどうかは、実行に着手しているかどうかがポイントになるのですが、参考の強盗事件であれば、少なくとも、覆面姿で被害者宅に押し入った時点で強盗の着手は認められるでしょう。
ですから、被害者宅に押し入った後に、犯行を中断したとしても、少なくとも強盗未遂罪は成立します。

予備罪

それでは、実行の着手もなかった場合はどうなるのか?
その場合は、予備罪が成立する可能性があります。
予備罪は、予備行為を罰する規定のある犯罪行為をする目的で、その準備をすることによって成立します。
予備行為を罰する規定があるのは、刑法では内乱予備罪、外患予備罪、私戦予備罪、放火予備罪、通貨偽造準備罪、殺人予備罪、身代金目的略取等予備罪、強盗予備罪の8罪に限られています。
それでは今回の強盗事件に話を戻します。
どのような行為が強盗の予備行為に該当するかについては制限がありません。
ですので、例えば、犯行に使用する覆面やロープを用意したり、被害者宅の下見をして被害者の行動パターンを調査する行為も強盗の予備行為と言えるでしょう。
ただ強盗予備罪が成立するためには、絶対に「強盗を犯す目的」が必要とされており、それは単に行為者本人が心の中で決心するだけでは足りず、客観的に認識できるような事実の存在が必要となります。

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