薬物事件を解説する、大阪府の薬物事件の3回目、本日は、昨年(令和4年)1年間間の検挙件数115件と、これまで解説した、覚醒剤取締法違反、大麻取締法違反に次いで多かった『麻薬取締法違反』について解説します。
麻薬取締法とは
麻薬取締法とは、正式には「麻薬及び向精神薬取締法」という法律名で、この法律は「麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡し等について必要な取締りを行うとともに、麻薬中毒者について必要な医療を行う等の措置を講ずること等により、麻薬及び向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もつて公共の福祉の増進を図ること(同法第1条参照)」を目的にしています。
この法律では、主にヘロイン、コカインやМDMA等の麻薬、そして向精神薬や、麻薬原料植物(マジックマッシュルーム等)等が規制されています。
罰則
それでは麻薬取締法で規制されている違法行為をした場合の主な罰則について解説します。
麻薬取締法では規制されている違法行為の罰則は、覚醒剤取締法や大麻取締法と同様に非営利目的の場合と、営利目的の場合で異なります。
まず非営利目的の場合の罰則については以下の通りです。
~ヘロインについて~
所持・施用(使用)・譲受・譲渡・交付・受施用・・・10年以下の懲役
輸出入・製造・・・1年以上の有期懲役
~その他の麻薬(コカインやMDMA等)について~
所持・施用(使用)・譲受・譲渡・施用のための交付・・・7年以下の懲役
輸出入・製造・・・1年以上10年以下の懲役
~向精神薬について~
譲渡や譲渡目的所持・・・3年以下の懲役
輸出入・製造・製剤・・・5年以下の懲役
続いて営利目的の場合の罰則については以下のとおりです。
~ヘロインについて~
所持・施用(使用)・譲受・譲渡・交付・受施用・・・1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科
輸出入・製造・・・無期又は3年以上の懲役、情状により1000万円以下の罰金を併科
~その他の麻薬(コカインやMDMA等)について~
所持・施用(使用)・譲受・譲渡・施用のための交付・・・1年以上10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科
輸出入・製造・・・1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科
~向精神薬について~
譲渡や譲渡目的所持・・・5年以下の懲役、情状により100万円以下の罰金を併科
輸出入・製造・製剤・・・7年以下の懲役、情状により200万円以下の罰金を併科
このように覚醒剤取締法や大麻取締法とは違い、麻薬取締法違反は規制されている薬物が多く、ここで紹介した罰則規定もその中の一部に過ぎません。