カスハラが刑事事件に発展 不退去罪で逮捕

弁当屋に苦情を言いに行き、そのまま店内に居座ったとして、不退去罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

事件内容

Aさんは、近所の弁当屋でお弁当をテイクアウトしました。
自宅に持ち帰って食べようとしたところ、注文したのとは違う弁当だったのです。
以前も同じミスがあり苦情をいれてことがあったAさんは、弁当屋に行き苦情を入れたのですが、店員は謝るどころか、注文ミスを認めませんでした。
怒りが収まらないAさんは、返金を求めて店内に居座って、店員から何度も退店を求められましたがそれに応じませんでした。
そうしたところ、店員からの通報で駆け付けた、大阪府寝屋川警察署の警察官に、不退去罪で現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

顧客が企業やその従業員に対して行う不当な要求や迷惑行為のことをカスタマーハラスメント(略して「カスハラ」)を言います。
分かりやすく言うと、行き過ぎたクレームのことです。
最近は、このカスハラが社会問題にもなっており、東京都ではカスハラを防止するための条例が作られようとしているようです。
そして、度の過ぎたカスハラは、今回の事件のように刑事事件に発展し、警察に逮捕されることもあります。

刑法第130条

不退去罪は、住居侵入罪や建造物侵入罪等が規定されているのと同じ刑法第130条に規定されている犯罪行為です。
まずは刑法第130条を見てみましょう。

刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

刑法第130条は、その前段で、住居侵入罪、建造物侵入罪、邸宅侵入罪、艦船侵入罪の、4つの犯罪について規定しており、後段で、不退去罪について規定しています。
ここで規定されている犯罪を起して、起訴後に有罪が確定すれば「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」が科せられます。

不退去罪

不退去罪は、典型的な真正不作為犯です。
不退去罪は、その建物に立ち入った際は適法であったり、違法性の認識がなかった場合でも、その後、その建物の住民や、管理者から退去を求められたにも関わらず、その場に居座った場合に成立する犯罪です。
当然、最初からその建物に違法に立ち入った場合は、刑法第130条の前段に規定されている犯罪が成立し、その後、不退去罪は成立しません。
刑法第130条の条文にある「正当な理由がないのに」の文言は、住居侵入罪、建造物侵入罪、邸宅侵入罪、艦船侵入罪に係るものであって、不退去罪には係らないとされていますが、不退去についての正当な理由がある場合は、違法性を欠くことになるでしょう。
不退去罪が成立するには、管理者等、権限のある者の退去要求が必要不可欠となり、実務上は、一回の退去要求に従わなかったからといって、即不退去罪を適用しているわけではないようです。

刑事事件に関するご相談は

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、不退去罪等の刑事事件を専門に扱っている法律事務所で。
大阪府内の刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が大阪府内の警察署に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が提供する 無料法律相談  初回接見サービス を是非ご利用ください。

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら