昨日、参議院本会議で、裁判所が保釈中刑事被告人にGPS装着できるように命令できる刑事訴訟法の一部改定案が可決され、公布から5年以内に運用が開始されることが決定しました。
今回の法改定では、保釈中刑事被告人のGPS装着以外にも、刑事裁判の公判期日に裁判所の召喚に応じない「不出頭罪」や、保釈時に裁判所から指定された住居(制限住居)を許可なく離れる「制限住居離脱罪」が新たに新設されています。
そこで本日のコラムでは、刑事手続きにおいて非常に関係深い「保釈」に関する今回の法改定について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
保釈とは
そもそも保釈とは、身体拘束を受けたまま起訴(起訴後勾留)された刑事被告人を、裁判で判決が言い渡されるまでの間、釈放し、日常生活を送りながら裁判所に出廷させる制度です。
保釈は裁判官が許可するもので、全ての被告人に適用されるわけではなく、裁判官はある一定の条件を付けた上で、保釈を許可し、裁判官の許可を得たとしても、保釈金を納付しなければ保釈(釈放)されることはありません。
(※保釈保証書を裁判所に提出した場合は保釈金の納付を免除される。)
保釈中刑事被告人のGPS装着
今回の法改定のきっかけとなったのは、日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告が保釈中に国外に逃亡した事件です。
当然、保釈中の刑事被告人のGPS装着は、全ての被告人に適用されるわけではなく、海外に逃亡する可能性のある被告人に限られますので、主に海外に拠点を持つ被告人が対象となるでしょう。
また、装着されたGPS装置を勝手に外したり、裁判所が指定した空港や港などの「所在禁止区域」に立ち入る行為に対しては、「1年以下の拘禁刑(2025年までに新設される懲役刑と禁錮刑を統合した刑罰)」が科せられる可能性があります。
保釈中の刑事被告人のGPS装着が開始されるまでには、まだ期間がありますが、それまでにGPS装置の装着箇所や、被告人のプライバシーをどのように保護するか等、まだまだ解決しなければいけない問題があるかと思われます。
裁判に出廷しなければ…
保釈中の刑事被告人のGPS装着と共に可決されたのが、「不出頭罪」です。
これは、保釈中の刑事被告人が刑事裁判の期日に出廷しなかった場合に適用される犯罪で、罰則は2年以下の拘禁刑です。
制限住居を守らなければ…
裁判所は保釈中の刑事被告人に対して日常生活を送る拠点(住居)を指定することができます。
この場所を制限住居というのですが、保釈中の刑事被告人がこの制限住居を守らずに、別場所で生活したり、外泊をしたりすれば「制限住居離脱罪」として2年以下の拘禁刑が科せられます。
刑事事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は刑事事件を専門に扱っている法律事務所で、これまで数多くの保釈を実現してきた実績がございます。
大阪府内だけでなく、周辺の府県で起訴後勾留されている方の保釈を希望される方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。
保釈に関するご相談は フリーダイヤル 0120-631-881 にて24時間、年中無休で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。