~事件~
松原市に住むAさんは、数年前にお金を貸したまま返済してもらっていない友人に対して「これ以上待たれへん。これ以上待たせるんならヤクザ者使わなぁあかんくなる。」等と借金の返済を迫りました。
この件を、友人が大阪府松原警察署に相談したことから、Aさんは恐喝未遂罪で逮捕されてしまったのです。(フィクションです。)
1 恐喝
刑法第249条には「人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」と恐喝罪が定められています。
恐喝罪は未遂も規定されており、Aさんの事件のように、被害者を脅して金品を要求したけれども金品を受け取っていない場合は恐喝未遂罪となります。
恐喝未遂罪の法定刑は、恐喝罪と同様に「10年以下の懲役」です。
2 借金の返済を迫っても恐喝罪が適用される
さて今回の事件を考えると「Aさんが友人に対して借金の返済を迫るのは当然であって、返済しない友人が悪いのでは?」と、Aさんが恐喝未遂罪で逮捕されたことに疑問を持った方がいるのではないでしょうか。
暴行、脅迫等によって人を脅し(恐喝行為)、その恐喝によって被害者が畏怖して財物を交付することによって恐喝罪は成立します。
この「財物」についての制限はなく、所有、所持が禁止されている禁制品や不動産も含まれ、他人が所持、保管する自己所有の金品や、借金の返済のように正規に請求できる金品の要求であっても、恐喝行為を用いて交付を要求すれば恐喝罪が成立してしまうのです。
また脅迫の程度についても疑問があるかもしれません。
恐喝罪が成立する脅迫の程度は「相手が畏怖する程度」とされています。
具体的に、どの様な言葉を発したら恐喝罪が成立するといった定めはなく、相手が畏怖するかどうかによって恐喝罪が成立するか否かは左右されます。
ですから例え穏やかな口調で話していたとしても、入れ墨を見せつけたりすれば恐喝罪が成立する場合があります。