大阪府警は、聴覚障害のある高齢女性からエアコン洗浄代名目などで現金を詐取したとして、準詐欺の容疑で男5人を逮捕したと発表しました。
振り込め詐欺等の特殊詐欺事件で「詐欺罪」という犯罪はよく耳にしますが、今回適用されたのは「準詐欺罪」という、あまり聞きなれない犯罪です。
そこで本日のコラムでは、「準詐欺」ってどんな犯罪なのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
参考事件(10月24日配信の共同通信社記事を引用)
今回逮捕された男等は、既に認知症の女性から現金を騙し取ったとして、準詐欺容疑で、逮捕起訴されているようです。
そして今回、再逮捕されたのは、聴覚障害のある高齢女性からエアコン洗浄代名目などで現金を詐取したという、準詐欺の容疑です。
逮捕された男等は、昨年11月中旬~今年5月上旬ごろ、大阪市の60代女性宅を計21回訪問し、筆談で契約を持ちかけて現金をだまし取った疑いがもたれており、詐取した金額は約295万円にも及ぶようです。
詐欺罪
準詐欺罪を解説する前に詐欺罪を解説します。
詐欺罪は、刑法第246条に規定されている犯罪で、簡単にいうと、人から金品を騙し取ることによって成立する犯罪です。
振込め詐欺等の特殊詐欺事件が代表的ですが、無銭飲食でも詐欺罪が適用されることがあります。
詐欺罪が成立するには、少なくとも
①人を騙す行為(欺罔行為)
②欺罔行為によって人が騙される(錯誤)
③錯誤に基づく金品の交付行為
が必要とされ、これらが一つでも欠けると詐欺罪は成立しません。
ちなみ詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
準詐欺罪
それでは「準詐欺罪」について解説します。
準詐欺罪は刑法第248条に規定されている犯罪で、未成年者の知慮浅薄または人の心神耗弱に乗じて、その財産を交付させることによって成立します。
上記したように、詐欺罪は、人から金品を騙し取ることによって成立しますが、準詐欺罪は、知識不十分な人から、欺罔行為に至らない単なる誘惑的行為によって、お金などの財物を交付させることによって成立する犯罪で、その対象となるのは条文で明記されているとおり、未成年者の知慮浅薄または人の心神耗弱のいずれかです。
今回の事件で被害者となったのは、聴覚障害のある高齢女性ということなので、心身耗弱に該当すると判断されたのでしょう。
ちなみ「準」と付いていますが、詐欺罪と同じく法定刑は「10年以下の懲役」で、未遂であっても処罰の対象となります。
むしろ社会的弱者から金品を詐取すると言った点で、詐欺罪に比べると悪質性が高いとみられる場合もあるので注意が必要です。
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