『女性にカメラを向けました…これって犯罪ですか?』の質問に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の弁護士が回答します。
『女性にカメラを向けました… 犯罪ですか?』
大阪府警は、電車内や駅構内、商業施設等の公共の場所において、女性の下着を盗撮したりする盗撮事件が増加傾向にあることから、そういった場所の利用者に注意を呼び掛けると共に、盗撮事件の取締りを強化しています。
またこういった背景から、昨年、大阪府は迷惑防止条例の盗撮に関する規定を一部改正しており、これまで取締りが困難とされていた、プライバシー性の高い場所での盗撮行為についても規制の対象となりました。
そんな盗撮事件について、ある男性より『梅田にある商業施設で女性の姿をカメラで撮影して警察に通報されました。別に、下着等を盗撮しようとしたわけではなく、お店にいた店員さんが可愛かったのでカメラを向けて撮影しようとしただけです。これって犯罪ですか?』と質問がありましたので、この質問に対して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の弁護士が回答します。
迷惑防止条例
まず質問にお答えする前に、盗撮行為を規制している大阪府の迷惑防止条例について説明します。
盗撮行為
大阪府の迷惑防止条例は、改正された盗撮に関する規定が昨年4月に施行されています。
改正条例の施行によって、盗撮行為に関しては他の都道府県に比べると、大阪府は厳しい内容になっています。
まず下着等を盗撮する行為に関しては場所の制限がなくなっています。
改正前までは、公共の場所や乗物であったり、不特定又は多数の者が利用、出入りする場所や乗物に限られていた盗撮場所の制限が、改正によって撤廃されたのです。
また風呂や、トイレ、更衣室の盗撮についても、これまでは公衆の風呂等に限られていたものが、住居内を含む全ての風呂等に制限が拡大されています。
まとめると、大阪府下の全ての場所においての盗撮行為が禁止されたことになります。
また盗撮する目的で、カメラ等を人に向けたり、設置する行為も禁止されています。
盗撮行為以外(卑猥な言動)
大阪府の迷惑防止条例では、盗撮行為以外について、公共の場所や乗物においての卑猥な言動について規制しています。
条文では、人を著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような卑猥な言動を禁止していますが、具体的にどういった行為が規制の対象になるのかまで明記されているわけではありません。
少なくとも、盗撮行為や痴漢行為が個別に列挙されているので、それらに該当しないもので、一般人の性的道義観念に反し、他人に性的羞恥心、嫌悪を覚えさせ、又は不安を覚えさせるようないやらしくみだらな言動、動作を意味します。
例えば女性に付きまとったり、電車内で女性に触らないまでも不必要に女性に顔を近付ける行為が、迷惑防止条例でいうところの卑猥な言動として刑事事件化された例があります。
服を着た女性を撮影すると犯罪ですか?
それでは『女性にカメラを向けました…これって犯罪ですか?』という質問にお答えします。
犯罪になるとすれば、迷惑防止条例の
①盗撮目的でカメラを向ける行為(大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例 第6条第4項)
②公共の場所での卑猥な言動(大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例 第6条第2項第2号)
の何れかに該当する場合でしょう。
まず「盗撮目的でカメラを向ける行為」を検討しましょう。
そもそも盗撮目的で人にカメラを向ける行為が成立するには、行為者が、下着等を盗撮する意思をもって相手にカメラを向けなければいけません。
つまり今回質問いただいた方の場合は、そういった意思がないので、迷惑防止条例の「盗撮目的でカメラを向ける行為」には該当しないでしょう。
続いて「公共の場所での卑猥な言動」について検討します。
まず場所的な問題ですが、不特定多数の人たちが利用する商業施設は、迷惑防止条例でいうところの「公共の場所」に該当します。
続いて、女性にカメラを向ける行為が「卑猥な行為」に該当するかどうかですが、例え行為者に下着等を盗撮する意思がなくても、カメラを向けられた女性からすれば、不安を感じてしまう可能性があるので、迷惑防止条例でいうところの卑猥な行為に該当する可能性があります。
衣服を着た状態の身体を撮影する行為が盗撮に当たるかどうかどうかについては、厳密な線引きがあるわけではなく、行為場所や、行為態様等によって左右されると考えられます。
迷惑防止条例に強いと評判の弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、これまで数多くの盗撮事件の弁護活動を行ってきた実績がございますので、盗撮事件に関するご相談は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にお任せください。
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