取調べでの無罪主張について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
~事件概要~
豊中市に住む会社員Aさんは、仕事帰りに電車に乗っていました。
その日、Aさんは疲れていたため、自分のカバンを電車の床に置いていたところ、隣にいる女性から盗撮の疑いをかけられてしまいました。(カバンの中にはカメラ機能付きのスマートフォンが入っており、そのレンズが女性の方向を向いていた。)
Aさんは、次の駅で電車を降り、女性と共に駅長室に駅員に通報されてしまいました。
そして、駅員の通報で駆け付けた警察官に大阪府豊中警察署に連行されたAさんは、そこで取調べを受けることになりました。
(この話はフィクションです。)
~盗撮~
盗撮行為は各都道府県により制定されている迷惑防止条例違反となります。
大阪府では「大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の処罰に関する条例」という条例で盗撮行為が禁止されています。
本条例において、公共の場所における盗撮行為については「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」と罰則が規定されています。またAさんのように、公共の場所や乗物、不特定多数の人が利用、出入する場所において、盗撮する目的でカメラを設置したり、カメラを人に向けても盗撮を疑われ、この場合の罰則規定は「六月以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります。
~冤罪~
冤罪とは、無実の人が犯罪を犯したと疑われ、被疑者として逮捕されたり、裁判で有罪判決を受けたりして、犯罪者として扱われてしまうことを言います。
こうした冤罪が生まれる要因の一つには、自分が無実にもかかわらず、「自分が犯罪をやりました」と取調べにおいて嘘の自白をしてしまうことが多い、ということが挙げられます。
自分がやってもないのに、なぜ自分が不利になるように嘘の自白をしてしまうのか、と疑問に思うかもしれません。
しかし、取調室といった密室で、捜査機関(警察官)から取調べを受けると、精神的に追い詰められ、楽になりたいという気持ちから自白をしてしまうことが少なくありません。そして、「自白」は有罪の証明をする時に、強力な証拠となります。そのため一度自白をしてしまうと、それを覆して自分の無実を証明するのは困難になってしまいます。
~冤罪における弁護活動~
そこで、冤罪を受け入れないためにも、取調べ時から弁護士による法的サポートを受けるべきです。
早期に刑事事件に強い弁護士を選任することによって、以下のメリットがあります。
①精神面で支える
冤罪の疑いをかけられた被疑者は精神的に追い詰められていることがほとんどです。
弁護士は、被疑者が少しでも安心できるようにサポートします。
②取調べ時の対処法を伝える
取調べのような不測の事態では、被疑者は混乱してしまうでしょう。
そのため、事前に弁護士と話し合っておき、今後の見通しを立てておくことで、被疑者が不利にならないように準備をしておきます。
また取調べにおいて、捜査官によって違法、不当な取調べが行われる可能性もあります。
例えば取り調べ中に捜査官に脅された、殴られたなどの事実があれば弁護士が、直ちに抗議し、その取調べが証拠とならないように対応していきます。
③無罪立証
被疑者自身で自身の無実を証明することは困難です。
そのため、冤罪の疑いをかけられた被疑者が、無実であることを証明するために弁護士は被疑者に有利な証拠を集めます。