商標法違反

具体例

ケース

Aさんは、大阪市住吉区の我孫子町駅近くで、雑貨店を経営していました。
そこでは、某有名ブランドのコピー商品なども販売していました。
ある日、Aさんの店舗に大阪府住吉警察署の警察官が捜索に入りました。
その際、500点を超える偽ブランド品やコピー商品が発見されたため、Aさんはその場で逮捕されました。
その後、Aさんは勾留され、大阪地方裁判所に起訴されることとなりました。
Aさんの家族から依頼を受けた弁護士は、留置場に勾留されているAさんのもとへ接見に向かいました。
(フィクションです)

(問題となる条文)
【商標法78条違反】
「商標権又は専用使用権を」「侵害した」場合、
「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金」又はこれらの併科となります。

【商標法78条の2違反】
「商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を」した場合、
「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金」又はこれらの併科となります。

(解説)
商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的」としており、商標権を侵害する行為等を禁止するとともに、犯罪として刑罰を規定しています。

商標とは、事業者が、自己の取り扱う商品・サービスを他人の物と区別するために使用するマーク(識別標識)です。
そして、商標法に基づき特定の商標を登録することで得られる権利を商標権と言います。
商標権があることで、その商標の使用者は独占的に、その商標を使用することができます。

一方、専用使用権とは、商標法上の使用権の一種です。
商標法上の使用権とは、契約などによって他人の商標を使用する権利のことです。
そして、商標法上の使用権には、専用使用権と通常使用権があります。
専用使用権は、商標権者も商標を使用できなくなる強力な独占権です。
そのため、専用使用権が侵害された場合には、商標権と同様に、罰則の対象になるのです。

商標権侵害・専用使用権侵害の典型は、ブランドやメーカーのロゴなどを勝手に使ったり、コピー商品や偽ブランド品を製造・販売・所持したりする場合などです。
こうした行為は、商標法違反として懲役刑や罰金刑の対象となります。
もっとも、自分で使用する目的の場合には、刑罰の処罰対象とはなっていません。

なお、コピー商品や偽ブランド品で商標法違反が問題となる場合、詐欺罪の成立にも注意してください。
コピー商品や偽ブランド品であることを隠して販売した場合は、商標法違反と共に、詐欺罪(刑法246条1項)も成立します。

近年ではネットを通じて個人的に販売行為を行うことができるようになってきました。
そのため、業者ではない一般の人が商標法違反で検挙されるケースも増加しています。

商標法違反で有罪判決を受けた場合、損害額が多額・組織的犯行・犯行を主導したなどの事情があると執行猶予の付かない実刑判決の可能性が高くなります。

商標法違反事件における弁護活動

1 無実の主張

商標法違反にあたる事実がないにもかかわらず、その疑いをかけられた場合、できるだけ早く信頼できる弁護士に無実を証明する弁護活動をしてもらう必要があります。
時間が経てば経つほど無実の立証は困難になってしまいます。

弁護士は、客観的な証拠に基づいて容疑者・被告人が、無実であることを主張・立証します。
また、行為の目的が自己使用のためであったことや、被疑者・被告人自身がコピー商品・偽ブランド品であると気づかず販売していたこと等を主張する場合もあります。

2 被害弁償や示談交渉

商標法違反の事実に争いがない場合は、それを素直に認め速やかに被害弁償や示談交渉に入ることが重要です。

起訴前に示談が成立すれば、不起訴処分となり事件が終了し、前科を回避できる可能性もあります。
また起訴後の示談成立でも、量刑を決める際に重要な考慮要素となります。

3 情状弁護

商標法違反で有罪判決が免れないという場合でも、被告人にとって有利な事情を裁判官に示すことで、できるだけ刑を軽くしてもらえるように尽力します。

具体的な量刑の考慮要素は、犯行の動機・犯行の手口・被害額・被告人の役割・示談成立の有無などがあります。
その結果、執行猶予判決が言い渡された場合、刑の執行を免れる可能性もあります。

4 身体解放活動

商標法違反で逮捕・勾留されてしまった場合であっても、被疑者・被告人に逃亡や証拠隠滅を疑うに足りる相当な理由がないことを主張して、早期の釈放・保釈を目指します。

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