執行猶予判決とは
執行猶予判決とは、裁判所が有罪を言い渡すとともに、一定期間刑の執行を猶予する内容の判決です。
執行猶予判決の場合、実刑判決とは異なり、一定期間刑の執行が猶予されます。
そのため、判決で懲役刑や禁錮刑が言い渡された場合でも、直ちに刑務所に入らなくても良いことになります。
したがって、有罪判決を受けたとしても、それまでと変わらず通常の生活を送ることができます。
そして、無事に執行猶予期間を経過した場合、裁判所の刑の言い渡しは効力を失います。
その結果、懲役刑などの刑を執行されることはなくなります。
もっとも、執行猶予期間中に再び罪を犯した場合、執行猶予が取り消される可能性があります。
再び罪を犯し執行猶予が取り消された場合、執行猶予中の刑と新たに犯した罪の刑を合わせて、刑が執行されることになります。
執行猶予のメリット
・刑務所に入らないなど、直ちに刑を執行されずに済む
・会社や学校を休まなくてよく、それまで通りの日常生活を送ることができる
執行猶予を獲得するために主張すること
〇犯罪に関すること
・悪質でない
・危険性が少ない
・被害が軽い
・動機に同情の余地がある など
〇犯人に関すること
・被害弁償、示談成立済み
・前科・前歴なし
・更生の意思、更生のための環境が整っている
・常習性、再犯可能性がない など
執行猶予が取り消される場合
1 必ず執行猶予が取り消される場合
➀執行猶予期間内に更に罪を犯して禁錮以上の実刑の言渡しがあったとき
②執行猶予言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の実刑の言渡しがあったとき
③執行猶予言渡し前5年以内に他の罪について禁錮以上の実刑に処せられたことが発覚したとき
2 執行猶予が取り消される可能性がある場合
➀執行猶予期間内に罰金に処さられたとき
②保護観察付きの執行猶予期間中に保護観察に付された者が、その間守るべき事項を守らず、その情状が重いとき
③執行猶予言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑の全部執行猶予判決を受けていたことが発覚したとき
注)禁錮以上の刑の執行猶予が取り消された場合、他の禁錮以上の刑の執行猶予も取り消されます。
再度の執行猶予
執行猶予期間中の犯罪については、一般的に実刑判決になると言われています。
しかし、例外的に再度執行猶予が付される場合があります。
法律上、
➀1年以下の懲役又は禁錮の言い渡しを受け
②情状に特に酌量すべきものがある
③保護観察の期間における犯行ではない
という3点を満たす場合、執行猶予中に犯した罪について再度執行猶予判決を得ることが可能となります。
たとえ執行猶予期間中に犯罪をしてしまった場合でも、すぐにあきらめずに、執行猶予判決の獲得を得意とする弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所-大阪支部の弁護士にご相談ください。