先日、14年前に起こった殺人事件の犯人が警察に逮捕されました。
殺人事件の現場に遺留されていた指紋やDNA型が、別の事件で書類送検された犯人のものと一致したのが逮捕の決め手となったようです。
(平成30年4月13日朝日新聞DIGITALに掲載されている広島県廿日市市女子高生殺人事件の記事を参考)
最近の科学技術は目覚ましく進歩し、今ではあらゆる刑事事件の捜査で科学捜査が活用されています。
DNA捜査について、大阪の刑事事件に強い弁護士が解説します。
DNA捜査
かつての犯罪捜査では、指紋捜査が主流でしたが、平成15年ころからDNA鑑定の技術が飛躍的に進歩し、現在の犯罪捜査に、DNA型の捜査は欠かせないものになっています。
警察がDNAを採取するのには、大きく分けて二つの方法があります。
① 遺留DNA
警察は犯罪の起こった現場(犯行現場)からDNAを採取します。
指紋は付着する対象物を選び、犯人が手袋をしていたり、拭き取られたりしたら現場に残りませんが、DNAは犯人が触れた、あらゆる物から採取できる可能性があり、指紋よりも現場に遺留しやすいと言われています。
現場から採取されたDNAは捜査機関で保管され、その後の捜査に活用されます。
② 被疑者・関係者からの採取
逮捕の有無に関わらず被疑者として警察で取調べを受けた時や、事件の関係者として警察で事情聴取された時などにDNAを採取されます。
それなりの理由をもって裁判官の許可を得なければ強制的にDNAを採取することはできません。
そのため警察は、本人から任意に提出するという手続きでDNAを採取しています。
当然、任意の提出なので、断ることができますが、半強制的に採取されているのが現状のようで、採取されたDNAは、取調べを受けている事件以外の捜査にも活用されます。
今回の殺人事件では、別件の暴行事件で取調べを受けた際に採取された犯人のDNA型と、14年前に発生した殺人事件の犯行現場から採取されたDNA型が一致して逮捕に至ったようですが、DNA型は、時間が経過しても劣化しにくいために、事件発生から相当期間経過しても採取することができると言われています。