不作為による殺人ほう助

不作為による殺人ほう助

不作為による殺人ほう助について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

~事例~
大阪市西淀川区に住むA子は夫と離婚した後、その夫との子どもであるVを連れて別の男性と内縁関係となっていました。
その男性はVへの躾として、たびたび暴力を振るうようになっていきました。
その暴力はどんどんエスカレートしていき、遂に、男性はVを殺してしまいました。
このVが死亡してしまった暴行の際、A子も一緒におり、その暴行を認識していましたが止めることもせず、見ているだけでした。
動かなくなってしまったVを連れて行った病院から、警察署へ通報され、A子は殺人罪の疑いで大阪府西淀川警察署の警察官に逮捕されることになってしまいました。
A子の両親は刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(この事例はフィクションです)

不作為犯

犯罪となる行為を何か「してしまった」場合に処罰されることは当然と思われるかもしれませんが、必要な行為を「しなかった」場合にも犯罪が成立する可能性があります。
このしなかった場合の犯罪を不作為犯と呼びます。
そして、この不作為犯真正不作為犯不真正不作為犯と分けられます。
真正不作為犯とは、不退去罪などに代表されるように、刑法の中に「何かをしなかった」場合が規定されている場合をいいます。
たとえば、不退去罪であれば、退去の要求を受けたにもかかわらず、「退去しなかった」場合に成立します。
そして、もう一方の不真正不作為犯は、刑法に定められている犯罪に当たる行為の結果を不作為(一定の行為をしないこと)によって実現した場合をいいます。
今回の事例でみてみると、A子は自身の子どもであるVの親権者かつ監護者であり、Vを保護すべき立場にあるので男性の暴行を止める作為義務があったされれば、「暴行を止めなかった」ことにより、殺人を容易にしたとして不作為による殺人のほう助犯とされる可能性があります。
なお、似たような事例で殺人のほう助犯として認められた裁判例として札幌高裁判決平成12年3月16日判時1711があります。
今回の事例での問題の一つとして、A子に暴行を止めるという作為義務があったかというものがあります。

作為義務

不真正不作為犯は前述のとおり、不作為によって、つまり何もしないことによって犯罪の結果を実現する場合のことです。
これは、ただ助けなかったという単純なものではなく、作為義務に違反することを指します。
例えば、子どもが海でおぼれているのをたまたま見つけて助けなかった場合、道徳や倫理の問題は別ですが、法律上の作為義務はないといえるでしょう。
この法的作為義務がある場合にその作為義務に違反したときに不真正不作為犯となってしまう可能性があるのです。
ただ、今回の事例を含むDVによる虐待死の場合、母親も暴力を振るわれていることも多くあります。
そのような場合には、必ずしも暴行を止めることができたとはいえない場合もあります。
このように似たような事例であっても関係性やちょっとした事情の違いによって最終的な判断は変わってきますので、事件後の見通しについては専門家である弁護士の見解を聞く必要があるでしょう。

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