大阪市城東区に住むAは、隣接するアパートの住民と騒音をトラブルになっています。
たまりかねたAは、アパートの住民を追い出す目的で、揚水ポンプのモーターを破壊し、アパートへの水道を断水しました。
Aは、水道損壊罪の疑いで、大阪府城東警察署に呼び出されて取調べを受けています。
(フィクションです。)
水道損壊罪【刑法第147条】
公衆の飲料に供する浄水の水道を損壊すれば、水道損壊罪となり、この罪で起訴されて有罪が確定すれば1年以上10年以下の懲役が科せられます。
「公共」とは、不特定又は多数人を意味し、例え、アパートに一世帯しか住んでいなかったとしても、これに当たると解されています。
続いて「浄水の水道」とは、公設、私設に関係なく、浄水の洗浄を保って、水道水を供給する設備を意味します。
主に、水道鉛管や量水器がこれに当たるとされてます。
器物損壊罪では?~大阪の刑事事件に強い弁護士の見解~
上記したように、水道損壊罪が成立するには、浄水の水道を損壊しなければなりません。
今回の事件でAが壊したのは、揚水ポンプのモーターです。
揚水ポンプその物を壊したのであれば、水道損壊罪が成立することに何ら疑問を感じませんが、モーターを壊したのであれば、器物損壊罪の成立に留まるのではないかという疑問があります。
この疑問については、大阪の刑事事件に強い弁護士が解説します。
揚水ポンプのモーターは、アパートの住民に供給する水道水を、貯水タンクに導くための必要不可欠な設備です。
このモーターを壊すことによって、貯水タンクへの給水が断絶され、アパートの住民に水道水を供給することができなくなるので、水道損壊罪の客体とされている水道鉛管や量水器を損壊して水道の供給を妨害するのと同様であると解することができます。
つまり、Aが壊した揚水ポンプのモーターも、水道損壊罪の「浄水の水道」と言えるでしょう。