~ ケース ~
半年前に刑務所を出所したばかりのAさんは、生活費に困窮し、大阪市中央区の路上を走行中の車に故意的に接触し、運転者を恫喝して治療費名目で現金を脅し取る手口の恐喝事件を複数件起こしました。
約2カ月前に逮捕されたAさんは、それ以降身体拘束を受けたままで、現在は大阪拘置所に収容されています。
3件の恐喝事件で起訴されているAさんは、出所間もないこともあり、実刑判決が言い渡されることを覚悟しています。
ただ余命宣告されている母親のことが心配なAさんは、せめて判決が言い渡されるまでの間だけでも保釈で自宅に帰りたいと思い、保釈に強い弁護士を探しています。(フィクションです。)
刑事事件を起こして逮捕、勾留された後に起訴された被告人が、刑事裁判で判決が言い渡されるまでの間に、釈放されることを『保釈』といいます。
保釈には、権利保釈・裁量保釈・義務保釈の3種類があるのですが、今日から2日間にわたってこれらの保釈を、大阪の刑事事件に強い弁護士が解説します。
~ 権利保釈 ~
まず初日は権利保釈について解説します。
権利保釈は、刑事訴訟法第89条に規定されており。
①死刑・無期・短期1年以上の懲役・禁錮に当たる事件ではない
②被告人が前に死刑・無期・長期10年を超える懲役・禁錮に当たる罪で有罪の宣告を受けたことがない
③常習として長期3年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯した事件ではない
④罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がない
⑤被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者・その親族の身体・財産に害を加え、またはこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由がない
⑥氏名・住居が分かるとき
の要件を全て満たす場合、裁判官は保釈を認めなければいけません。
これが権利保釈です。
Aさんのように、刑務所から出所したばかりで、複数件の恐喝事件で起こし、起訴されている場合、権利保釈が認められる可能性が非常に低いと考えられます。
次回は、裁量保釈と義務保釈について解説します。
大阪市中央区の恐喝事件で起訴された方で、保釈を望む方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件に強い弁護士にご相談ください。