【大阪市都島区の強制わいせつ事件】被害者と示談 刑事事件に強い弁護士が解説

~ケース~
芸能人Aは、大阪市都島区の自宅に女子高生を連れ込み、お酒を呑んで酔払った上で、嫌がる女子高生を押さえつけてキスしました。(平成30年4月26日の各社新聞掲載の記事を参考にしたフィクション)
先日、有名アイドルグループのメンバーが強制わいせつ事件を起こして検察庁に書類送検されました。
記事によりますと、既に被害者との示談が締結しているようですが、強制わいせつ事件で被害者と示談した場合、どの様な刑事処罰になるのでしょうか?

1 強制わいせつ罪【刑法第176条】

男女を問わず、13歳以上に対して、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をすれば強制わいせつ罪となります。
強制わいせつ罪でいう「暴行」とは、正当な理由なく他人の意思に反してその身体に有形力を行使することで、「脅迫」とは害悪の告知です。
その程度は、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度で、強制性交等罪のように、被害者の反抗を著しく困難にするほどのものでなくても足りるとされています。
「被害者の意思に反して」とは、暴行、脅迫の程度だけでなく、現場の状況や、被害者との人間関係等によっても左右されます。

2 被害者との示談

昨年の刑法改正によって、強制わいせつ罪は親告罪から非親告罪となりました。
法律上、非親告罪の事件は、被害者の告訴がなくても起訴することができるので、被害者の意思に関係なく、犯罪事実があれば、犯人に刑事罰を科す事ができます。
しかし、実際の刑事手続きにおいては、被害者が存在する刑事事件で、被害者と示談することができれば、よほどの事情がない限り、検察庁に送致される事はあっても、起訴にまで及ぶことはほとんどありません。

今回の事件でも、警察が捜査している早い段階で被害者との示談に成功したために、不起訴となって刑事罰を免れる可能性が高いでしょう。

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