~事件~
無職Aは、過去に何度もスリ事件を起こし刑務所に服役しています。
1年前に刑務所から出所してきてからも、大阪市北区のデパートを中心にスリ事件を起こしており、先日、警戒中の警察官に現行犯逮捕されました。
常習累犯窃盗罪で再び刑務所に服役することを覚悟しているAは、刑事事件に強い弁護士に処分の見通しを相談しました。(フィクションです。)
~スリ事件の捜査~
スリとは、ポケットやカバンに入れている他人の財布等を気付かれないように盗む窃盗事件の一つです。
スリ事件は満員電車や、週末のデパート等のように人ゴミの中で発生することが多く、現行犯でなければ事件を立証するのが難しいことから、大阪府警察の窃盗事件を専門に扱う捜査第三課には、スリ事件の犯人を検挙する専門の捜査員がいると言われています。
~常習累犯窃盗罪~
常習累犯窃盗罪とは「盗犯等の防止及び処分に関する法律」に定められた法律で、過去10年以内に窃盗罪などで懲役6月以上を3回以上言い渡された人が新たに窃盗罪に問われた場合に適用されます。
通常の窃盗罪ですと、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が法定刑として定められていますが、常習累犯窃盗罪は、起訴されて有罪が確定すれば「3年以上の有期懲役」と非常に重い刑事罰が科せられます。
刑法の規定では、執行猶予を付けられるのは懲役3年以下などに限定されるため、常習累犯窃盗罪で起訴された場合、実刑を免れることが難しくなります。
スリ事件の被害額は、住宅に忍び込む侵入盗事件に比べると非常に少ないため、1件の事件で科せられる刑事罰はそれほど重くはありません。
しかし犯行を重ね、逮捕を繰り返した場合は、常習累犯窃盗罪が適用されて非常に重い刑事罰を受ける可能性があるので注意してください。
実際に、1回の犯行で被害額が数百円程度の万引き事件を繰り返した男性に、常習累犯窃盗罪が適用されて懲役5年の判決が言い渡された裁判例もあるほどです。