Aには盗癖があり,これまで幾度となく盗みを繰り返し,警察に捕まっては起訴され,有罪判決を受けてきました。
Aが裁判を受けるたび,Aの両親は,情状証人として,裁判所で証言を行ってきました。
そして再び,Aは窃盗事件を起こし,今度は,常習累犯窃盗で大阪府警に逮捕され,のちに起訴されました。
Aの家族は,常習累犯窃盗がどのような犯罪なのか,また,裁判で執行猶予になる可能性があるのかなど分からないことが多かったため,大阪の刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
昨日は「常習累犯窃盗罪」について解説しましたが、本日は常習累犯窃盗罪の量刑について解説します。
≪ 量刑 ≫
Aのように,常習累犯窃盗で起訴された場合,執行猶予が付く可能性がないというわけではありませんが、執行猶予は,3年以下の懲役若しくは禁錮の言渡しを受けたときにしか付けることができないので確率的には低いものになります。
常習累犯窃盗には未遂減刑の規定はありませんが,酌量減軽(刑法第66条,同法第67条)をすることは不可能ではなく,酌量減軽があった場合には,短期が1年6月以上の有期懲役となりますので,常習累犯窃盗の場合でも3年以下の有期懲役の刑が言い渡される可能性があります。
また,被告人が過去に懲役6月以上の刑を言い渡されていたことがあったとしても,判決言渡日の時点で前刑の執行を終わった日又は前刑の執行の免除を得た日から5年を超える期間経過していれば,刑法第25条第1項第2号の規定により執行猶予を付すことができることになります。
Aの場合,犯行の態様(形態)が万引きですので,謝罪や被害弁償がなされ,かつ,Aの反省の態度が極めて顕著で,かつ,直前の刑の執行終了の日ないし執行の免除を得た日から今回の裁判の判決の言渡日において5年を超える期間経過していていれば,判決において執行猶予が付される可能性はあります。
しかし,常習累犯窃盗で起訴された場合,事案によるとは思われますが,その多くは,懲役2年~懲役4年の実刑判決(懲役4年を超えるものもあります)を受けているのが実情です。
つまり常習累犯窃盗で起訴された場合,実刑判決となる可能性が極めて高くなりますが、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は、本人の反省はもちろんのこと,被害弁償や示談,それに再犯防止の環境などを整備することにより,社会内での更生が十分に可能であることを裁判所に主張をし,執行猶予獲得を目指していきます。