~ケース~
10年にわたって隣接する他人の土地に、段ボールや木材などのゴミ約7トンを投棄し、他人の土地を占有したとして、不動産侵奪罪で逮捕。
(2016年3月11日付け 産経ニュースを参考)
今回のケースは2年前に実際に起こった事件です。
不動産侵奪罪を大阪の刑事事件に強い弁護士が解説します。
不動産侵奪罪~刑法第235条の2~
不動産侵奪罪は、窃盗罪と同じ刑法第235条に規定された法律です。
窃盗罪は他人の占有を侵害して財物を自己または第三者の占有に移すことを言うため、その所在を動かすことのできない不動産は窃盗罪の客体とはなりません。
そこで不動産の不法占拠に対する処罰の必要性に対応するために不動産侵奪罪が規定されているのです。
「侵奪」とは他人の占有を排除してその不動産を自己または第三者の占有とすることです。ここでの占有とは事実上の占有のみで、登記の変更などの法律上の占有は含みません。
今回のケースでは、他人の土地に大量のゴミを投棄したことで、本来の土地の所有者が、その土地を自由に使用することができなくなり、占有を奪ったと解されています。
不動産侵奪罪で起訴されて有罪が確定すれば「10年以下の懲役」が科せられます。
窃盗罪の罰則規定には罰金刑が定められていますが、不動産侵奪罪には罰金刑の定めがないので、起訴された場合は、刑事裁判によって処分が決定します。