【西宮市のストーカー規制法違反事件】弁護士の準抗告で勾留決定を却下 早期釈放で不起訴処分
◇事件概要◇
依頼者の旦那様(40歳代男性、自営業、前科なし)は、仕事で知り合った女性に対して、好意を抱いているような内容のメールを送信し、警察から警告されたにも関わらず、繰り返し同様のメールを送信したとしてストーカー規制法で逮捕、勾留されました。
旦那様は、依頼を受けた弁護士の準抗告で、勾留決定が却下されて早期釈放された上、不起訴処分となりました。
◇コメント◇
旦那様の逮捕を知った依頼者様は、旦那様の初回接見を依頼されました。
初回接見のご依頼時、依頼者様は旦那様の起こした事件の内容すらも分からない状態で、今後の事に大きな不安を抱えていました。
そして初回接見の報告の場で、接見を担当した弁護士から、旦那様の起こした事件の内容や、処分の見通し等について説明させていただき、納得した依頼者様から、その後の刑事弁護活動についてのご依頼をいただきました。
依頼者様は、旦那様の早期釈放と、被害者女性との示談を強く希望されていましたが、既に旦那様の勾留が決定していた事や、一度警察から警告されていたにも関わらず、旦那様が再びメールを送信した事で被害者女性が告訴に踏み切った背景がある事から、何れも困難な状況での弁護活動となりました。
まず弁護士は、依頼者様に旦那様の監督を約束していただいた上で、旦那様が拘束されている事で、ご家族様等が被る不利益を聞き取り、その内容の上申書を作成しました。また、旦那様は被害者女性に対して警告を受けた当時すでに行為を抱いていなかった旨述べており、事件を否認なさっていたので、ストーカー規制法の構成要件に該当しないこと及び旦那様の勾留の必要性がないことを内容とする準抗告の書面を作成し、上申書と共に裁判所に提出しました。
その結果、旦那様の勾留決定は却下され、即日釈放されたのです。
そして釈放後も旦那様の警察署での取調べは続きましたが、弁護士は取調べの都度、旦那様にアドバイスすると共に、事件の進展状況を知るために、こまめに警察署に連絡し送致時期を確認しました。
こういった刑事手続きとは別に、ストーカー規制法では公安委員会から禁止命令が発せられます。
弁護士は、こういった行政手続きについても旦那様に説明し、納得いただきました。
また旦那様の釈放後すぐに弁護士は、被害者女性に連絡を取り示談交渉を開始していましたが、被害者女性の処罰感情は非常に強く、示談交渉は困難を極めていました。
そのため弁護士は、検察庁に事件が送致されてから、事件を担当する検察官に直接折衝しました。
当初担当検察官は、起訴相当である旨を口にしていましたが、弁護士が、旦那様が深く反省して、被害者女性に対して二度と接触しない事を約束し、更に依頼者様らご家族も旦那様をしっかりと監督している事を伝え、粘り強く交渉した結果、送致から5ヶ月と長時間を要したものの、最終的に不起訴処分が決定しました。
現在、旦那様は仕事に復帰され、依頼者様等ご家族と仲良く過ごされています。