~事件~
専門学生A(21歳)は、西宮市の路上にキーが付いた状態で放置されていたオートバイを盗み、自分のオートバイのナンバープレートに付け替えて使用していました。
ある日、Aが交通違反したことがきっかけとなり、Aは窃盗罪で緊急逮捕されてしまいました。
Aに選任された刑事事件に強い弁護士が、逮捕手続きの誤りを指摘したところ、Aは釈放されました。(フィクションです)
~逮捕の種類~
逮捕には
①現行犯逮捕
現に罪を行い又は、現に罪を行い終わった者は現行犯逮捕する事ができます。現行犯逮捕は、誰でも、令状なくしてできるので、令状主義の例外と位置付けられています。
②緊急逮捕
a.死刑又は無期若しくは長期3年以上の有期懲役に該当する罪を犯した者
b.罪を犯した事を疑うに足りる充分な理由がある場合
c.急速を要し、裁判官の逮捕状を求める事ができない時
の3つの要件を満たしている場合、裁判官の発する逮捕状なくして緊急逮捕する事ができますが、逮捕後直ちに、裁判官に逮捕状を請求し、発付を受けなければいけません。
③通常逮捕
令状主義に基づき、裁判官の発する逮捕状をもとに逮捕する事です。
警察官や検察官は、逮捕の理由と必要性を有する事を疎明する資料と共に裁判官に逮捕状を請求する事ができます。
そして、逮捕の必要性が認められれば裁判官が逮捕状を発し、この逮捕状をもとに逮捕します。
~逮捕手続きの誤り~
上記のように、逮捕手続きは3種類があり、それぞれの逮捕手続きを行うには、それぞれの要件が存在します。
その要件を満たしていないのに、逮捕手続きが進んだ場合は、それが判明した時点で逮捕された犯人は釈放され、改めて逮捕されるか、不拘束で取調べを受けることとなります。
窃盗罪で緊急逮捕する場合、どの程度の嫌疑があれば「罪を犯した事を疑うに足りる充分な理由がある」と言えるのかは、ケースバイケースですが、盗難の被害品を所持しているだけでは、窃盗の嫌疑が充分にあるとは言えないでしょう。