~ケース~
高校生Aは、近所のコンビニで雑誌を万引きしたところ、店員に見つかってしまいました。
Aは追いかけてきた店員と取っ組み合いになってしまい、店員を突き飛ばして逃走しました。
Aは両親と、少年事件に強い弁護士に相談し、この弁護士と共に警察署に出頭しました。(フィクションです)
1 事後強盗事件
事後強盗事件とは、窃盗の犯人が、盗んだ物を取り返されるのを防いだり、逮捕を免れるために、暴行又は脅迫することです。
万引きは窃盗罪ですので、Aの行為は事後強盗罪に抵触する可能性が大です。
事後強盗罪が成立するのは窃盗犯人に限られますが、窃盗の行為については既遂、未遂を問いません。
なお事後強盗罪は、窃盗犯人が
①盗品が取り返されるのを防ぐ目的
②逮捕を免れる目的
③罪跡を隠滅する目的
で暴行、脅迫することを要件としており、それ以外の目的で暴行、脅迫しても事後強盗罪は成立しません。
また、暴行、脅迫を加える相手は、窃盗の被害者である必要はなく、窃盗の目撃者や、偶然窃盗の現場に居合わせて逮捕に協力した人に暴行、脅迫した場合も事後強盗罪が成立するとされています。
2 出頭
刑事事件を起こして、警察の捜査が及ぶ前に警察署に自ら出頭するかどうかの判断は、刑事事件に精通している弁護士でも頭を悩ませるところです。
自ら出頭することが自首となって処分が軽減されることもあれば、出頭したことによって警察の捜査が早まり、逮捕される等の不利益を被ることもあるからです。
ただ今回のような少年事件の場合だと、自ら出頭する事が、後の審判で評価される可能性が高いので、未成年のお子さんが刑事事件を起こした方は、一度、少年事件に強い弁護士にご相談ください。