【奈良の刑事事件】特定商取引法違反・詐欺事件で逮捕 弁護士の活動で保釈と執行猶予判決獲得
■事件概要■
依頼者の夫(30代男性、会社経営、前科なし)が、共犯者らと共に、家の改修工事の必要があると虚偽の事実を告げて複数名の被害者からお金を詐取した特定商取引法違反及び詐欺事件でした。被害金額が大きく被害者も複数名にのぼることから,刑務所に服役しなければならない実刑判決の可能性が高い事件でした。また,逮捕された夫は既に警察署内の留置場に勾留されており、裁判所の接見禁止決定によって妻でさえ被疑者である夫に面会できないという状況でした。依頼者である妻から弊所に連絡を頂き,弁護士を警察署の留置場に派遣する初回接見サービスをご利用いただくことで,まずは弁護士が被疑者である夫と面会して話を聞くところからスタートしました。
■事件経過と弁護活動■
弁護士が初めて被疑者である夫と警察の留置場で面会(接見)した際、夫である男性は目に涙を浮かべながら,接見禁止決定で家族と面会できなくて辛い,とにかく家族に会いたい,会わせほしいと訴えられました。
接見禁止決定とは、被疑者と弁護士以外の外部の者との面会や手紙の授受などを禁止する旨の決定で,勾留決定の際に裁判所によってなされることがあります。特に重大事件,共犯事件,否認事件などでは,事件の情報が共犯者などの事件関係者に流れ、証拠が隠滅されることが予想されるために,この様な接見禁止決定が裁判所によって下されるケースが多く見受けられます。
今回の事件も被害金額が大きく複数の共犯者が関わる重大事件でしたので、被疑者と弁護士以外の外部の者との面会,手紙及び物の授受を禁止する接見禁止決定が付いていました。
弁護士は,まず,被疑者である夫を精神的に安心させて取り調べ対応や公判準備等の弁護活動を円滑に進めるべく,接見禁止決定を解除して被疑者である夫とその家族との面会を実現するよう弁護活動に動きました。弁護士は,裁判官に対して,依頼者である妻やその家族が今回の特定商取引法違反・詐欺事件と無関係であること、夫と妻や家族が面会しなければならない事情など面会の必要性を訴えて、接見禁止決定を一部解除し被疑者である夫と妻や家族との面会を実現しました。
家族との面会実現と並行して,弁護士は被害者の方々への被害弁償及び示談交渉にも取り掛かっていきました。
今回の事件では、被害者の方が多数おられましたので、被害者の方々の元に弁護士が赴き、被害者の方一人一人に直接謝罪と弁償の意向を伝えて示談のお願いをしていきました。
多額の被害金額を詐取された被害者の方々の処罰感情は大変厳しく、何名かの被害者の方には示談を断られるなど、交渉は難航しました。
しかし、弁護士はあきらめることなく何度も誠実な謝罪と説得を繰り返しては粘り強く真摯に交渉を進めていきました。弁護士の誠実かつ粘り強い示談交渉の結果、被疑者である夫の誠実な謝罪と反省及び被害弁償の意向を伝えることで、最終的にはほとんどの被害者の方と示談を締結して犯人である夫を許す旨の言葉までいただくことが出来ました。真摯かつ誠実に被害弁償を進める弁護士の姿勢に,最初は怒っていた被害者からも感謝の言葉を頂いたほどでした。この示談交渉の結果は最終的な判決に大きな影響を及ぼすこととなりました。
依頼者の夫が特定商取引法違反・詐欺事件で起訴されて被告人となった後は,被告人とその家族が自宅から安心して裁判に臨めるよう,弁護士は裁判所に対してただちに保釈の請求を行いました。保釈の請求にあたって弁護士は,今回の特定商取引法違反・詐欺事件では既に被告人である男性が罪を認めて示談を進めていること,事件関係者との接触防止策などにより口裏合わせの危険がないこと及び経営する会社の残務処理の必要性が高いといった種々の事情を主張することで、罪証隠滅のおそれ及び逃亡のおそれがないことを訴えるとともに保釈の必要性が高いことを裁判所に納得させることに成功しました。弁護士の迅速かつ的確な保釈請求が裁判所に認められて、被告人である夫は保釈されることとなりました。今回のような実刑判決が予想される難しい事件では、法律的に要件を紐解き、その一つ一つを考察し、裁判官を説得することで保釈を導くことが可能となるのです。なお,警察及び検察庁などの捜査機関は,保釈された被疑者を再逮捕して勾留しようとしましたが、弁護士は保釈に続いて説得的な意見書で裁判官を説得し,捜査機関による再勾留も阻止してきました。
本件特定商取引法違反・詐欺事件の刑事裁判では、担当弁護士が、裁判官に対して、被害者との間で示談が成立し被害感情が和らいでいること、被告人である男性が今後リフォーム業にかかわることなく再発防止の環境を整えていること、注意喚起や監督することのできる家族がいることなどを証拠で提出して、処罰の必要性が低いことを訴えました。このような特定商取引法違反・詐欺事件の経験豊富な弁護士の活動の結果,被害者への賠償と示談状況、被告人である男性の真摯な反省と再発防止策,ご家族の方による監督が重視され,本件特定商取引法違反・詐欺事件の判決では無事に執行猶予付きの判決が言い渡され、依頼者の夫は刑務所に送られることなく自宅での生活に戻ることができました。夫本人は、二度と犯罪を起こさないことをお約束してくださり、事件前と同じように社会復帰することができました。逮捕後の早い段階で刑事事件専門の弁護士を選任なされたこと及び弁護士の適切で迅速な弁護活動を受けられたことが、保釈と執行猶予判決獲得による社会復帰につながりました。