~事件~
先日、奈良公園で首に矢のようなものが刺さった鹿が発見されました。
鹿は獣医師の治療を受け一命をとりとめていますが、何とも痛ましい事件です。
文化財保護法違反で奈良県警が捜査を開始しているこの事件を、刑事事件に強い弁護士が解説します。(平成30年6月13日、朝日新聞DIGITALに掲載された記事を参考)
これまで、何度かこのブログで動物の虐待について解説してきました。
動物の虐待は、その動物の種類や、生息状況等によって適用される法律が異なるのですが、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)違反、鳥獣保護法違反、器物損壊罪の何れかが適用されるのがほとんどです。
しかし、奈良公園の鹿は、国の天然記念物に指定されていることから、文化財保護法違反が適用されます。
文化財保護法では、国が指定している有形・無形の文化財、民族文化財や、遺跡、名勝地、動物、植物等の記念物、文化的景観、伝統的建造物を損壊する行為に対して罰則が設けられています。
そしてこの、文化財保護法が一部改正され、来年4月1日から罰則が強化されます。
今回の事件のように文化財保護法で指定されている国の文化財を故意的に損壊する行為に対しては「5年以下の懲役若しくは禁錮又は30万円以下の罰金」が科せられるのです。
器物損壊罪の罰則規定が「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」であることと比較すると厳しいことが分かります。
また器物損壊罪は、親告罪であることから、被害者等の告訴がなければ刑事罰が科せられることはありませんが、文化財保護法は非親告罪である上に、文化財の所有者に報告義務が課せられています。
そして報告義務を怠った所有者に対しては5万円以下の科料まで科せられるのです。
この様に、文化財を故意的に損壊した者だけでなく、文化財を管理する者にまで罰則を規定しているのは、文化財保護法が、文化財の保存を目的とした法律だからでしょう。
奈良県で刑事事件に強い弁護士をお探しの方、文化財保護法違反でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、奈良県の警察署に逮捕された方の初回接見を承っております。
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