~ケース~
松原市に住むAは、自宅近くで警察官から職務質問を受けましたが、拒否して自宅に帰ろうとすると、警察官に、腕を掴んで引っ張られる等の暴行を受けました。
これに抵抗しようとAが警察官を突き飛ばすと、警察官は公務執行妨害罪でAを逮捕したのです。
Aの母親は、刑事事件で無罪を勝ち取る弁護士に、Aの刑事弁護活動を依頼しました。
(この話はフィクションです。)
1 公務執行妨害罪
刑法第95条第1項には公務執行妨害罪が定められています。
公務執行妨害罪には、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の罰則規定があります。
今回のケースで、Aは職務質問の際に警察官を押し倒したという容疑で逮捕されています。
職務質問は、警察官の正当な職務ですので、職務質問の際に、警察官に対して押し倒すなどの暴行を加えれば、公務執行妨害罪が成立する虞があります。
2 職務質問に違法がうかがえる場合の弁護活動
しかし今回の事件でAは、警察官から暴行を受け、この暴行から逃れるために、警察官を突き飛ばしています。
当然、職務質問は任意の範囲でのみ行える警察官の正当な業務で、例えAが職務質問を拒否して立ち去ろうとしても、暴行してまでAを引き留める事は絶対に許されません。
つまり警察官の暴行が認められた場合は、警察官の職務質問に違法性がうかがえ、公務執行妨害罪が成立しない可能性があります。
そこで、刑事事件に強い弁護士は、Aが警察官に暴行を受けたという事実を証明します。
具体的には、Aが警察官に暴行を受けた際、何らかのケガを負っているのであれば、その状況を写真に撮って記録したり、事件現場を訪れ、防犯カメラや目撃者を探し出したりすることになるでしょう。
また、Aは自白を強要されるなど、今後の取調べが苛烈を極めることが予想されます。
そこで、Aが違法な取調べに負けないよう、弁護士が頻繁に接見に行くなどしてAに寄り添い、アドバイスを行います。