【解決事例】鍵穴に接着剤を流し込む器物損壊事件 示談によって不起訴
鍵穴に接着剤を流し込む器物損壊事件で、被害者との示談によって不起訴になった事件の解決事例を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
事件の概要
会社員のAさんは職場で、ある一人の上司から無視される等ひどい扱いを受けており、常日頃からそのことを悩んでいました。
そんな中、Aさんは上司に仕返ししてやろうと考え、上司が住んでいるマンションのドアノブの鍵穴に接着剤を流し込む器物損壊事件を起こしました。
上司が警察に被害届を提出したことから、大阪府河内警察署が捜査を開始したところ、上司の住んでいるマンションのエントランスに設置された防犯カメラにAさんの姿が映っていたらしく、Aさんは、警察署に呼び出され、そこで犯行を認めました。
深く反省していたAさんは上司と示談することができ、不起訴となりました。
(実際に起こった事件を基に、一部変更を加えています。)
器物損壊
器物損壊罪とは、他人の物を壊すことによって成立する犯罪です。
器物損壊罪でいうところの「壊す(損壊)」とは、物質的に物そのものの形を変更又は滅失させる物理的破壊だけでなく、その物の効用を害する一切の行為を意味します。
「効用を害する」とは、その物の本来の使用用途に従って使用できなくすることです。
器物損壊罪は親告罪です。
(親告罪については こちらをクリック )
示談によって不起訴に
器物損壊罪は、被害者と示談し、起訴までに刑事告訴を取消してもらうことができれば必ず不起訴になります。
また初犯で、被害額が少額な偶発的な器物破損事件であれば、被害弁償さえできていれば、不起訴の可能性がありますが、逆に、被害弁償すら受け付けてもらえなかったら、初犯であっても略式起訴による罰金刑となる可能性があります。
今回の事件は、被疑者(犯人)と被害者が毎日のように顔を合わす間柄で、かつ二人の間には大きな確執がありました。
そのため、弁護士から被害者(Aさんの上司)に示談を申し入れた当初はなかなか話し合いに応じてもらうことができず、処罰感情は非常に強いものでした。
示談交渉を担当した弁護士が粘り強く交渉を続けたところ、被害弁償するだけでなく、様々な条件を付けることで被害者(Aさんの上司)に納得してもらうことができ、示談を締結することができ、その結果をもってAさんは不起訴になりました。