窃盗罪の前科があるAは、空き巣に入る家を探して歩いていたところ大阪府門真警察署の警察官に職務質問されました。
ズボンのポケットに入れていたマイナスドライバーが警察官に見つかったAは、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律違反で現行犯逮捕されました。
(このお話はフィクションです。)
本当に、マイナスドライバーを携帯していただけで警察に逮捕されるのでしょうか?
大阪の刑事弁護人が解説します。
特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律
あまり聞きなれない法律名ですが、平成15年に施行されたこの法律で、特殊開錠用具の所持、指定侵入工具の携帯が禁止されています。
所持が禁止されている特殊開錠用具とは、鍵屋等の特殊な職業の方でなければ日常生活で目にする事のない工具で、ピッキング用具、破壊用シリンダー回し、ホールソーのシリンダー用軸、サムターン回しです。
携帯が禁止されている指定侵入工具とは、ある一定の条件を満たしたマイナスドライバー、バール、ドリルです。
今回Aが持っていたマイナスドライバーについては、長さが15㎝以上で、先端が平らで0.5㎝以上ある物を隠匿携帯することが禁止されています。
つまり、この条件に該当するマイナスドライバーを隠し持っていたら、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律違反で逮捕されるおそれがあるのです。
Aの場合、マイナスドライバーをズボンのポケットに入れていたので、隠匿携帯していたと認められて現行犯逮捕されたと考えられます。
罰則
特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律違反で禁止されているマイナスドライバーを隠匿携帯していた罪で起訴されて、有罪が確定すると「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられるおそれがあります。
そもそもこの法律は、建物に侵入して行われる犯罪を未然に防止することを目的としているので、Aのように、マイナスドライバーを隠匿携帯していたことで警察に逮捕されると、窃盗(侵入盗)の余罪を疑われての取調べを受ける可能性が大です。