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【大阪市北区の刑事事件】デマニュースを拡散 偽計業務妨害に強い弁護士
先日発生にした大阪府北部を震源とする地震では交通機関のみだれや、商業施設や企業の休業等で多くの人々に影響が出ました。
大阪市北区に事務所を構える弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部におきましても、震災当日は、交通機関のみだれ等による影響がありましたが、現在は通常通り営業しており、皆様からの無料法律相談、初回接見サービスのご予約を24時間受け付けております。
さて、今回の地震においても、インターネットのSNS等にデマニュースの投稿がなされて世間を騒がせています。
かつて熊本地震が発生した際に、動物園からライオンが逃げたといった内容の投稿をした男性が偽計業務妨害罪で警察に逮捕されています。
逮捕された男性は「悪ふざけで投稿した。」と事実を認めていたようですが、軽い気持ちでしたいたずら投稿が大きな反響を呼んで刑事事件にまで発展してしまった事件です。(2016年7月21日の東スポWEB配信の記事を参考)
この事件で適用された「偽計業務妨害罪」とは、虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて人の業務を妨害することで、この法律は刑法第233条に定められています。
デマニュースの投稿は、偽計業務妨害罪でいう「虚偽の風説を流布」に当たります。
虚偽の風説とは、簡単にいうと「嘘の情報」のことで、流布とは「不特定又は多数の人に伝える」ことです。
そして流布された虚偽の風説によって、人の業務を妨害すれば偽計業務妨害罪になるのです。
熊本地震の時は「熊本市動植物園からライオンが逃げた」と、ライオンが街中を歩く画像が添付された内容が投稿されインターネット上に出回りました。(虚偽の風説の流布)
そしてその投稿を信じた人からの問い合わせが熊本市動植物園に殺到して、動植物園の職員がその対応に追われたことによって、通常の動植物園の業務が妨害されたとして、偽計業務妨害罪が適用されたのです。
偽計業務妨害罪の法定刑は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
業務妨害によって生じた損失や、行為の悪質性にもよりますが、熊本地震のときの事件では、結果の重大性を認識した計画的な犯行とは言えず、男性が反省していたことから不起訴処分(起訴猶予)となっています。
ただ、デマニュースが社会問題となっている現在では、社会的反響を踏まえて厳しい処分が予想されるので、ツイッター等のSNSに投稿する際は、その内容に注意してください。
大阪市北区の刑事事件でお困りの方、インターネットにデマニュースを拡散させてしまった方は、偽計業務妨害罪に強い、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
初回法律相談:無料
【箕面市の刑事事件】無修正のわいせつ画像を投稿 刑事事件に強い弁護士に相談
~ケース~
箕面市に住む公務員Aは、インターネットの掲示板にかつて交際していた女性との性交渉の画像(無修正)を投稿しました。
Aは海外のサーバーを経由している掲示板だったので日本の法律に触れないと思って軽い気持ちで投稿していましたが、先日、箕面警察署から呼び出しを受けました。
警察の取調べ対応だけでなく事件が報道されて失職することをおそれたAは、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。(フィクションです。)
1 無修正のわいせつ画像を投稿
無修正のわいせつ画像をインターネット上に投稿すれば「わいせつ物陳列罪」となります。
わいせつ物陳列罪は、刑法第175条のわいせつ物頒布等の罪に当たり、起訴されて有罪が確定すれば、2年以下の懲役又は250万円以下の罰金若しくは科料が科せられ、場合によっては懲役及び罰金の両方を科せられる事もあります。
ちなみに海外のサーバーを経由した掲示板であっても、日本国内で閲覧できる状態にあれば日本の法律が適用されるので注意しなければなりません。
また今回の事件の場合は「リベンジポルノ防止法」にも抵触するおそれがあります。
投稿した画像の内容にもよりますが、その画像が、元交際相手を特定できるものであれば、リベンジポルノ防止法違反に当たる可能性が高く、その罰則規定は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
2 報道
逮捕されなくても事件が報道される可能性は十分に考えられます。
特にAさんのような公務員や、社会的信用の高い職業に就いている方の事件は報道されやすい傾向にあるのです。
事件が報道されてしまいますと、職場に事件が知れてしまうことは必至となり、そうなってしまえば失職も考えられます。
その様な事態に陥らないためにも、刑事事件が報道されることに不安のある方は、早めに刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
箕面市の刑事事件でお困りの方、インターネットに無修正のわいせつ画像を投稿してしまった方は、大阪の刑事事件に強い、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談のご予約は0120-631-881にて24時間、年中無休で受け付けておりますのでお気軽にお電話ください。
【奈良市の刑事事件に強い弁護士】奈良公園の鹿に矢 文化財保護法違反で警察が捜査
~事件~
先日、奈良公園で首に矢のようなものが刺さった鹿が発見されました。
鹿は獣医師の治療を受け一命をとりとめていますが、何とも痛ましい事件です。
文化財保護法違反で奈良県警が捜査を開始しているこの事件を、刑事事件に強い弁護士が解説します。(平成30年6月13日、朝日新聞DIGITALに掲載された記事を参考)
これまで、何度かこのブログで動物の虐待について解説してきました。
動物の虐待は、その動物の種類や、生息状況等によって適用される法律が異なるのですが、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)違反、鳥獣保護法違反、器物損壊罪の何れかが適用されるのがほとんどです。
しかし、奈良公園の鹿は、国の天然記念物に指定されていることから、文化財保護法違反が適用されます。
文化財保護法では、国が指定している有形・無形の文化財、民族文化財や、遺跡、名勝地、動物、植物等の記念物、文化的景観、伝統的建造物を損壊する行為に対して罰則が設けられています。
そしてこの、文化財保護法が一部改正され、来年4月1日から罰則が強化されます。
今回の事件のように文化財保護法で指定されている国の文化財を故意的に損壊する行為に対しては「5年以下の懲役若しくは禁錮又は30万円以下の罰金」が科せられるのです。
器物損壊罪の罰則規定が「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」であることと比較すると厳しいことが分かります。
また器物損壊罪は、親告罪であることから、被害者等の告訴がなければ刑事罰が科せられることはありませんが、文化財保護法は非親告罪である上に、文化財の所有者に報告義務が課せられています。
そして報告義務を怠った所有者に対しては5万円以下の科料まで科せられるのです。
この様に、文化財を故意的に損壊した者だけでなく、文化財を管理する者にまで罰則を規定しているのは、文化財保護法が、文化財の保存を目的とした法律だからでしょう。
奈良県で刑事事件に強い弁護士をお探しの方、文化財保護法違反でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、奈良県の警察署に逮捕された方の初回接見を承っております。
奈良県の警察署に逮捕された方の初回接見サービスについては、フリーダイヤル0120-631-881にお問い合わせください。
【東大阪市の刑事事件】家族が逮捕されたら 初回接見に強い弁護士
~事件~
「息子さんを逮捕して留置しています。」
昨夜、東大阪市に住むAさんの自宅に警察から電話がありました。
Aさんは、息子さんが、どこの警察署に逮捕されたのか、何の事件を起こして逮捕されたのかもわかりません。(フィクションです。)
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、Aさんのように、ご家族が警察に逮捕されてしまった方から、その詳細が全く分からないという内容の電話がよくあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、そのようなお客様に初回接見サービスをご利用いただいております。
今日は、その初回接見サービスをご紹介させていただきます。
~初回接見サービスとは~
初回接見サービスは、警察に逮捕、勾留された方だけでなく起訴後、控訴期間中や、少年の観護措置によって身体拘束を受けている方へ弁護士が面会するサービスです。
弁護士は「弁護人(付添人)になろうとする者」の立場で面会するので、既に国選弁護人を選任している方へも面会することができます。
~サービス内容~
初回接見サービスをご利用いただければ
・留置先や事件の内容、現在の情況を知ることができる。
・身体拘束を受けている方と意思疎通をとることができる。
・今後の弁護活動の幅が広がる。
・早期に刑事弁護人を選任することができる。
等、様々なメリットがあります。
Aさんのように、ご家族が警察に逮捕された方にご利用していただければ、今後の刑事手続きの流れや、刑事処分の見通しに至るまで、初回接見を担当した弁護士からアドバイスさせていただくことができるので、ご家族の方は、弁護士に依頼するかどうか、被害者と示談するべきか等を早期に判断することができます。
この判断が、早期の釈放や、刑事処分の軽減につながるので、初回接見サービスをご利用いただくメリットは非常に大きなものです。
また既に国選、私選を問わず、すでに刑事弁護人を選任している方も初回接見サービスをご利用いただくことができます。
特に、現在の刑事弁護人の活動に不安のある方や、弁護人の変更を検討しておられる方は、初回接見サービスをご利用いただくことをお勧めします。
東大阪市で、ご家族、ご友人が警察に逮捕された方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスをご利用ください。
初回接見サービスのご予約、お問い合わせはフリーダイヤル0120-631-881で24時間、年中無休で承っております。
【全国初!著作権法違反でゲームバーを摘発】大阪の刑事事件に強い弁護士が解説
~事件~
先日、ゲームバーを経営していた男が著作権法違反で逮捕されました。
男が経営していたゲームバーでは、客に飲食をさせながら家庭用ゲーム機で遊ばせて、その客がプレイする映像を店内で映し出していました。(平成30年6月13日で配信されたTBSNEWSを参考にしています。)
これまで海賊版CDやDVDの販売で著作権法違反が適用された事件は多数ありますが、今回の事件のように、家庭用ゲーム機を客にプレイさせるゲームバーが警察の摘発を受けるのは初めてです。
今日は、著作権法違反について大阪の刑事事件に強い弁護士が解説します。
~著作権法とは~
まず著作権について説明すると、著作権とは、思想や感情の創作的表現である「著作物」を保護し、著作物を無断利用から守るための権利のことです。
著作権法によって保護される「著作物」は、小説や脚本、論文、講演などの言語による物、絵画や彫刻等の芸術品、建築物、音楽、映画や写真、コンピュータ・プログラム等様々です。
そしてこれらの著作物を創作した人が「著作者」で、著作者や著作権者には著作物に対しての様々な権利が認められており、これらの権利を規定している法律が著作権法です。
~著作物を使用するには~
著作物を利用するには、私的に利用する場合、営利を目的としない教育の場で使用する場合、条件を満たした上で引用する場合、出所を明示して転載する場合、営利を目的としない上映等を除いては、著作権者の承諾を得なければなりません。
~著作権法違反~
上記以外で著作物を使用すれば著作権法違反となります。
今回の事件を解説すると、家庭用ゲームの映像、音楽、プログラムには、当然そのゲームを開発したゲーム会社に著作権が認められています。
ゲームバーではゲーム会社の承諾を得ることなく、ゲームの映像を店内で上映していたので、この行為が「上映権の侵害」として著作権法違反が適用されたのでしょう。
なお、著作権法違反(上映権の侵害)の罰則規定は「10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金」が規定されており、懲役刑と罰金刑は併科される可能性があり、法人が違反行為を犯した場合は、法人に対しても3億円以下の罰金が科せられることになります。
大阪でゲームバーを経営している方、著作権法違反に強い弁護士をお探しの方は、大阪の刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
~無料法律相談のご予約はフリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。~
【大阪の刑事事件】独占禁止法違反を大阪の刑事事件に強い弁護士が解説⑥
これまで5回にわたって独占禁止法について、大阪の刑事事件に強い弁護士が解説してきましたが、最終回は、JR東海のリニア談合事件を解説します。
~市場【一定の取引分野があるのか】~
今回のリニア工事は現在のところ品川から名古屋までしかなく、しかも起訴されたのは品川駅の工事のみということなので、一見すると市場がないかのように見えます。
限られた範囲であっても、発注者が特定の相手と直接契約した(随意契約)でなく入札方式によった場合、自由な競争により受注獲得を目指す状況があります。
すなわち、受注希望者のうちの一社が価格を上げれば発注者が他の会社を選ぶため価格を上げることができないという状態ですので、市場があるといえます。
「一定の取引分野」というからには、ある程度の規模が想定されます。
リニア工事は一ヶ所ではなく、複数の工事に分かれており、其々で入札が行われていますが、今回起訴されたのは品川駅の3カ所の工事に関するもののみです。
およそ今後のリニア工事について話し合いすることが決まって、個別の工事で調整することになっていたとすれば、「相互にその事業活動を拘束」する基本ルールの合意があったといえ、リニア工事全体を「一定の取引分野」とし、品川駅の工事については個別の受注における「遂行」であり、品川駅の工事についてだけ起訴したとしても、刑事罰に問うことはできるでしょう。
しかし、このようにして刑罰を科すには基本合意があったことを検察官が立証する必要があります。
基本合意を立証できず、品川駅の3カ所の工事の個別合意だけ立証できたとして、この工事が「一定の取引分野」といえるのは厳しいかと思われます。
~大手ゼネコンにしかできないのではないか~
リニア工事のような先端技術の工事は技術力も資金力も大手ゼネコンでしかできないと言われています。
入札によれば、技術力のない会社が異常に安い価格で受注してしまうとも言われています。
しかし、日本遊技銃協同組合事件(東京地裁平成9年4月9日)や大阪バス協会事件(審判決定平成7年7月10日)などの下級審裁判・審決例で問題となった例は、事業者団体が一定の基準を作り、そこに至らないものを排除するものでした。
本来国会や地方議会ら立法がするべきことを勝手にやったというものです。
今回のリニア談合は特定の業者に受注させるよう話し合ったもので典型的な談合であり、競争制限を目的としたもので、正当化の余地はありません。
今現在大手ゼネコン以外が割高であったり技術に不安がある場合でも、入札や受注を通して技術の向上や価格の低下があり得ます。
そもそも、現在大手ゼネコンしか技術や資金がないのも、これまでの談合により、談合企業内で競争が行われなかったり、他の会社が排除されて競争がなかったことも一因です。大手ゼネコンのみが技術や資金を有するとの主張は、これまでのそして今後の談合を容認するものでしかありません。
以上のような観点から、JR東海のリニア建設を巡る談合事件は、不当な取引制限に該当し、独占禁止法違反で有罪判決となる可能性が非常に高いといえます。
~大阪で独占禁止法違反でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。~
【大阪の刑事事件】独占禁止法違反を大阪の刑事事件に強い弁護士が解説⑤
今回は、談合の問題点等について解説します。
~談合は何が問題か~
談合とは、入札の際に、入札業者同士で事前に話し合って落札させたい業者を決め、その業者が落札できるように入札内容を調整することをいいます。
談合に加わった事業者は談合の話し合いに基づき、落札させる業者に落札させるよう、入札価格や量などを自ら制限します。
この点で相互にその事業活動を拘束ないし遂行しています。
談合の話し合いに従い、落札予定業者以外は一定の価格より下げることも、より多くの品量やより良い技術を出すことはしません。
この結果、自由競争が制限されてしまうのです。
入札談合は、価格カルテルなどとともにハードコア・カルテルといわれ、競争制限を目的としたものであり市場促進効果や正当化事由を有しない点で、直ちに競争の実質的制限に当たるとされています。
~情報交換と共同開発~
事業者同士の情報交換や共同研究開発、JV(ジョイントベンチャー)などは競争上望ましいものもあり、直ちに競争の実質的制限とはされません。
情報交換としては、技術動向や経営知識、過去の事業活動に関する情報の交換は原則として違法になりません。
一方、商品役務の価格や数量や具体的な計画や見通しは、他の事業者に知られればそれを基準に価格調整ができるため、原則として違法になります。
共同開発や研究については、基本的に独占禁止法違反となる可能性は低いですが、共同する事業者の市場におけるシェア(占有率)が高かったり、その成果が直接に市場の製品に影響を及ぼすものであったりすれば、独占禁止法上問題となる可能性が出てきます。
公正取引委員会が公表している事業者団体の活動と、共同研究開発に関する独占禁止法上の指針については、下記URLを参考にしてください。(公正取引委員会HPにリンク)
「事業社団体の活動に関する独占禁止法上の指針」
http://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/jigyoshadantai.html#cmsD29
「共同研究開発に関する独占禁止法上の指針」
http://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/kyodokenkyu.html
次回は、JR東海のリニア談合事件について解説します。
~大阪で独占禁止法違反でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。~
【大阪の刑事事件】独占禁止法違反を大阪の刑事事件に強い弁護士が解説④
今回は、次回に引き続き、独占禁止法の不当な取引制限の要件について解説します。
~一定の取引分野~
一定の取引分野とは、いわゆる市場をいいます。
その内部で競争がなくなれば、完全な独占(市場支配力)が発生する範囲が市場とされています。
一定の取引分野の範囲を画定するときは、需要の代替性と供給の代替性を考慮して判断します。
ある事業者が商品の価格を引き上げた場合、消費者が他の商品を選ぶ若しくは他の地域に行って購入してしまうため場合には、価格を引き上げることができません。
このような場合に、需要の代替性があると評価されます。
続いて、供給の代替性を解説すると、ある事業者が商品の価格を引き上げると、他の事業者もこの商品を生産するようになってしまう、若しくは他の地域から参入してきてしまうために価格を引き上げることができません。
このような場合に、供給の代替性があると評価されます。
~競争の実質的制限~
競争の実質的制限とは「競争を実質的に制限するとは、競争自体が減少して、特定の事業者又は事業者集団がその意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる状態をもたらすこと」です。(東京高等裁判所の「東宝・スバル事件」判決を引用)
~公共の利益に反して~
自由な競争を制限すること自体、技術やサービスの革新を妨げ、消費者の利益を損ねることになるため、当然に公共の利益に反することになります。
もっとも、最高裁判所は石油価格カルテル事件(昭和59年2月24日)で、「公共の利益に反して」とは、現に行われた行為が形式的に不当な取引制限に当たっても自由競争秩序による利益と取引制限により得られる利益とを比較して、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進するという独禁法の究極目的に実質的に反しないと認められる例外的な場合を不当な取引制限から除外する趣旨だと述べています。この事件は中東戦争による原油の値上げの中、国内の灯油価格を抑えるために旧通産省による行政指導の下行われた価格カルテルでしたが、結局「公共の利益に反する」とされました。
日本遊技銃協同組合事件では、エアガンの協同組合が安全性を目的にエアガンの威力について自主基準を制定し、基準を満たした商品にはシールを貼らせ、シールを貼っていない商品の取引を拒絶させました。
問題となった事件で取引拒絶させられた会社は、協同組合に加入していませんでした。
裁判所は自主基準の目的は不合理とまでは言えないとしながら、組合の中には自主基準よりも威力の高い製品を販売している事業者もいたこと、協同組合に入っていないのがこの取引拒絶された会社だけで明らかに狙い撃ちだということで、違法性を阻却するべき事情はないとしました。
大阪バス協会事件(平成7年7月10日)は、バスの貸し切り運賃が道路運送法上刑罰で禁止されている金額よりも大幅に低くなっていたところ、バスの事業者団体の大阪バス協会が料金を適法な金額に近づけるために賃上げのカルテルを行いました。
審決では、元の賃料が違法であり、このカルテルが独禁法上保護する競争を実質的に制限するものではないとされました。
次回は、談合の問題点等について解説します。
~大阪で独占禁止法違反でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。~
【大阪の刑事事件】独占禁止法違反を大阪の刑事事件に強い弁護士が解説③
今回からは、独占禁止法の不当な取引制限について解説します。
~独占禁止法第2条第6号(不当な取引制限) -談合ー ~
独占禁止法では、「不当な取引制限」にあたるとして談合を禁止しています。
「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもってするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいいます。(第2条第6号条文を引用)
一定以上の価格にすることを取り決める価格カルテルや、入札談合などがこれに当たります。
こうした不当な取引制限をした者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。(第89条第1項)。
ちなみに、不当な取引制限は未遂も処罰の対象となります。
~共同して相互の事業活動を拘束~
「不当な取引制限」をしたとして刑罰を科すためには、事業者同士が「共同して…相互にその事業活動を拘束し、又は遂行」する必要があります。
一方的に相手や自分の事業活動を拘束したり、偶然事業者同士が同じ活動をしても「共同して…相互にその事業活動を拘束し」たとはいえず、事業者間に何らかの意思の連絡が必要とされているのです。
東芝ケミカル事件の審判決例では「複数事業者間で相互に同内容又は同種の対価の引き上げを実施することを認識ないし予測し、これと歩調をそろえる意思があること。」を意味するとしています。
直接事業者同士が会って約束することまでは必要されておらず、他の事業者の価格引き上げを認識して暗黙の裡に認容することで足りるとされています。
時効や共犯などの関係で、いつこの「拘束」や「遂行」が行われたのかが問題となります。不当な取引制限違反の罪の時効は5年ですので、「拘束」や「遂行」が5年以上前に行われたとなると、公訴時効が成立し、起訴されないからです。
また、途中から談合に加わった者であっても、「拘束」や「遂行」が終わった後で加わったのであれば共犯者とならないことになります。
長期にわたる談合の場合、基本ルールについての合意があった後に、個別の発注において個別調整が行われます。
多くの裁判例では、基本ルールの合意を「相互に…拘束」、個別の発注における調整を「遂行」として、不当な取引制限の罪の包括一罪として処罰しています。
基本ルールの合意が5年以上前であっても、個別の受注調整が5年以内に行われたのであれば、不当な取引制限違反の罪に問われるのです。
また、基本ルールの合意には参加していなくても、後の個別の受注調整に携わった者も、不当な取引制限をした罪に問われてしまいます。
次回は、引続き独占禁止法の不当な取引制限の要件について解説します。
~大阪で独占禁止法違反でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。~
【大阪の刑事事件】独占禁止法違反を大阪の刑事事件に強い弁護士が解説②
2回目の今回は、独占禁止法違反の刑事手続きについて解説します。
~専属告発~
私的独占や不当な取引制限などの罪は誰でも告発できるわけではありません。
まず公正取引委員会が、独占禁止法違反の疑いがある事件(第89条~第91条)を調査をします。
このような公正取引委員会が調査する事件を、犯則事件といいます。
そして公正取引委員会が調査した事件から、悪質性が高く刑事罰を科すことが相当と判断した事件に告発をすることになります(第96条第1項)。
この告発ができるのは公正取引委員会だけです。
~両罰規定~
法人の役員や従業員が独占禁止法違反の行為をするのは、法人の指示の下、法人の利益のためだと考えられます。
そのため法人の役員や従業員が独占禁止法違反の罪に問われても、法人を放置していては違反行為を是正できません。
そのため、役員や従業員が独占禁止法に抵触すれば、法人も刑事罰を受けることになっています。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても刑を科されるのです。
私的独占又は不当な取引制限、一定の取引分野における競争の実質的制限では、5億円以下の罰金(第95条第1項第1号)が科され、排除措置命令に従わない場合は3億円以下の罰金(第95条第1項第2号)が科せられます。
~特許又は実施権の取り消し及び政府との契約禁止の宣言~
独占禁止法違反で起訴されると、裁判所は、情状により刑の言渡しと同時に
①違反行為に供せられた特許権の特許又は特許発明の専用実施権若しくは通常実施権は取り消されるべき旨
②判決確定後6月以上3年以下の期間、政府との間に契約をすることができない旨
を宣告をすることができます。
特許庁長官は、判決謄本の送付があれば、その特許権の特許又は特許発明の専用実施権若しくは通常実施権を取り消さなければなりません(第100条第3項)。
次回からは、独占禁止法の不当な取引制限の要件について解説します。
~大阪で独占禁止法違反でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。~
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