Archive for the ‘財産犯罪’ Category
【大阪市西成区の窃盗事件】不法領得の意思を否認 刑事事件に強い弁護士が解説
~事件~
大阪でゴミ回収業を営んでいるAさんは、毎日トラックでゴミの回収をしています。
先日、大阪市西成区のゴミ収集所の横に止めてある自転車が邪魔でゴミを回収できなかったので、この自転車の持ち主に注意しました。
しかし、翌日、再び同じ場所に自転車が止まっていたので、Aさんはこの自転車をトラックに積んで持ち帰りました。
その状況が防犯カメラに撮影されていたことから、Aさんは窃盗事件の犯人として大阪府西成警察署に呼び出されて取調べを受けています。(フィクションです。)
みなさんが一番身近に感じる犯罪の一つが窃盗事件です。
窃盗事件が成立するには「不法領得の意思」が必要となりますが、このような法律用語を聞いても納得できない方が多いのではないでしょうか?
今回のAさんの事件を参考に大阪の刑事事件に強い弁護士が「不法領得の意思」を解説します。
~窃盗罪~
説明するまでもなく、人の物を盗ると窃盗罪になります。
このことだけを考えると、Aさんの行為は窃盗罪になりますが、法律的には窃盗罪が成立するには、不法領得の意思をもって他人の財物を窃取する必要があります。
~不法領得の意思~
「不法領得の意思」とは、権利者を排除して他人のものを自己の所有物として振る舞い、その経済的用法に従い利用又は処分する意思を意味します。
これを分かりやすく解説すると、その物に対して権利のない者が、その権利のある者を無視して、一般的な方法でその物を使用したり処分することです。
窃盗罪だけでなく財産犯罪には、この不法領得の意思が必要とされています。
~Aさんの事件を検討~
Aさんの行為が窃盗罪に当たるかどうかは、犯行時、Aさんに不法領得の意思があったか否かによります。
Aさんに「持ち帰った自転車を使用する」「人に譲る」「リサイクルショップに売る」等の意思があれば、これが不法領得の意思になるので、Aさんの行為は窃盗罪に当たります。
逆にAさんが「自転車の所有者を困らせるために自転車を持ち帰った」「ゴミを集める時に邪魔になるので持ち帰った」という意思のもとで自転車をトラックに積んだのであれば不法領得の意思が認められず、窃盗罪が成立しない可能性があります。
当然、その後Aさんがどのように自転車を処分したのかによっても、窃盗罪の成立が左右されるでしょう。
大阪市西成区の窃盗事件でお困りの方、窃盗事件で不法領得の意思を否認している方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【大阪の刑事事件】独占禁止法違反を大阪の刑事事件に強い弁護士が解説⑥
これまで5回にわたって独占禁止法について、大阪の刑事事件に強い弁護士が解説してきましたが、最終回は、JR東海のリニア談合事件を解説します。
~市場【一定の取引分野があるのか】~
今回のリニア工事は現在のところ品川から名古屋までしかなく、しかも起訴されたのは品川駅の工事のみということなので、一見すると市場がないかのように見えます。
限られた範囲であっても、発注者が特定の相手と直接契約した(随意契約)でなく入札方式によった場合、自由な競争により受注獲得を目指す状況があります。
すなわち、受注希望者のうちの一社が価格を上げれば発注者が他の会社を選ぶため価格を上げることができないという状態ですので、市場があるといえます。
「一定の取引分野」というからには、ある程度の規模が想定されます。
リニア工事は一ヶ所ではなく、複数の工事に分かれており、其々で入札が行われていますが、今回起訴されたのは品川駅の3カ所の工事に関するもののみです。
およそ今後のリニア工事について話し合いすることが決まって、個別の工事で調整することになっていたとすれば、「相互にその事業活動を拘束」する基本ルールの合意があったといえ、リニア工事全体を「一定の取引分野」とし、品川駅の工事については個別の受注における「遂行」であり、品川駅の工事についてだけ起訴したとしても、刑事罰に問うことはできるでしょう。
しかし、このようにして刑罰を科すには基本合意があったことを検察官が立証する必要があります。
基本合意を立証できず、品川駅の3カ所の工事の個別合意だけ立証できたとして、この工事が「一定の取引分野」といえるのは厳しいかと思われます。
~大手ゼネコンにしかできないのではないか~
リニア工事のような先端技術の工事は技術力も資金力も大手ゼネコンでしかできないと言われています。
入札によれば、技術力のない会社が異常に安い価格で受注してしまうとも言われています。
しかし、日本遊技銃協同組合事件(東京地裁平成9年4月9日)や大阪バス協会事件(審判決定平成7年7月10日)などの下級審裁判・審決例で問題となった例は、事業者団体が一定の基準を作り、そこに至らないものを排除するものでした。
本来国会や地方議会ら立法がするべきことを勝手にやったというものです。
今回のリニア談合は特定の業者に受注させるよう話し合ったもので典型的な談合であり、競争制限を目的としたもので、正当化の余地はありません。
今現在大手ゼネコン以外が割高であったり技術に不安がある場合でも、入札や受注を通して技術の向上や価格の低下があり得ます。
そもそも、現在大手ゼネコンしか技術や資金がないのも、これまでの談合により、談合企業内で競争が行われなかったり、他の会社が排除されて競争がなかったことも一因です。大手ゼネコンのみが技術や資金を有するとの主張は、これまでのそして今後の談合を容認するものでしかありません。
以上のような観点から、JR東海のリニア建設を巡る談合事件は、不当な取引制限に該当し、独占禁止法違反で有罪判決となる可能性が非常に高いといえます。
~大阪で独占禁止法違反でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。~
【大阪の刑事事件】独占禁止法違反を大阪の刑事事件に強い弁護士が解説⑤
今回は、談合の問題点等について解説します。
~談合は何が問題か~
談合とは、入札の際に、入札業者同士で事前に話し合って落札させたい業者を決め、その業者が落札できるように入札内容を調整することをいいます。
談合に加わった事業者は談合の話し合いに基づき、落札させる業者に落札させるよう、入札価格や量などを自ら制限します。
この点で相互にその事業活動を拘束ないし遂行しています。
談合の話し合いに従い、落札予定業者以外は一定の価格より下げることも、より多くの品量やより良い技術を出すことはしません。
この結果、自由競争が制限されてしまうのです。
入札談合は、価格カルテルなどとともにハードコア・カルテルといわれ、競争制限を目的としたものであり市場促進効果や正当化事由を有しない点で、直ちに競争の実質的制限に当たるとされています。
~情報交換と共同開発~
事業者同士の情報交換や共同研究開発、JV(ジョイントベンチャー)などは競争上望ましいものもあり、直ちに競争の実質的制限とはされません。
情報交換としては、技術動向や経営知識、過去の事業活動に関する情報の交換は原則として違法になりません。
一方、商品役務の価格や数量や具体的な計画や見通しは、他の事業者に知られればそれを基準に価格調整ができるため、原則として違法になります。
共同開発や研究については、基本的に独占禁止法違反となる可能性は低いですが、共同する事業者の市場におけるシェア(占有率)が高かったり、その成果が直接に市場の製品に影響を及ぼすものであったりすれば、独占禁止法上問題となる可能性が出てきます。
公正取引委員会が公表している事業者団体の活動と、共同研究開発に関する独占禁止法上の指針については、下記URLを参考にしてください。(公正取引委員会HPにリンク)
「事業社団体の活動に関する独占禁止法上の指針」
http://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/jigyoshadantai.html#cmsD29
「共同研究開発に関する独占禁止法上の指針」
http://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/kyodokenkyu.html
次回は、JR東海のリニア談合事件について解説します。
~大阪で独占禁止法違反でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。~
【大阪の刑事事件】独占禁止法違反を大阪の刑事事件に強い弁護士が解説④
今回は、次回に引き続き、独占禁止法の不当な取引制限の要件について解説します。
~一定の取引分野~
一定の取引分野とは、いわゆる市場をいいます。
その内部で競争がなくなれば、完全な独占(市場支配力)が発生する範囲が市場とされています。
一定の取引分野の範囲を画定するときは、需要の代替性と供給の代替性を考慮して判断します。
ある事業者が商品の価格を引き上げた場合、消費者が他の商品を選ぶ若しくは他の地域に行って購入してしまうため場合には、価格を引き上げることができません。
このような場合に、需要の代替性があると評価されます。
続いて、供給の代替性を解説すると、ある事業者が商品の価格を引き上げると、他の事業者もこの商品を生産するようになってしまう、若しくは他の地域から参入してきてしまうために価格を引き上げることができません。
このような場合に、供給の代替性があると評価されます。
~競争の実質的制限~
競争の実質的制限とは「競争を実質的に制限するとは、競争自体が減少して、特定の事業者又は事業者集団がその意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる状態をもたらすこと」です。(東京高等裁判所の「東宝・スバル事件」判決を引用)
~公共の利益に反して~
自由な競争を制限すること自体、技術やサービスの革新を妨げ、消費者の利益を損ねることになるため、当然に公共の利益に反することになります。
もっとも、最高裁判所は石油価格カルテル事件(昭和59年2月24日)で、「公共の利益に反して」とは、現に行われた行為が形式的に不当な取引制限に当たっても自由競争秩序による利益と取引制限により得られる利益とを比較して、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進するという独禁法の究極目的に実質的に反しないと認められる例外的な場合を不当な取引制限から除外する趣旨だと述べています。この事件は中東戦争による原油の値上げの中、国内の灯油価格を抑えるために旧通産省による行政指導の下行われた価格カルテルでしたが、結局「公共の利益に反する」とされました。
日本遊技銃協同組合事件では、エアガンの協同組合が安全性を目的にエアガンの威力について自主基準を制定し、基準を満たした商品にはシールを貼らせ、シールを貼っていない商品の取引を拒絶させました。
問題となった事件で取引拒絶させられた会社は、協同組合に加入していませんでした。
裁判所は自主基準の目的は不合理とまでは言えないとしながら、組合の中には自主基準よりも威力の高い製品を販売している事業者もいたこと、協同組合に入っていないのがこの取引拒絶された会社だけで明らかに狙い撃ちだということで、違法性を阻却するべき事情はないとしました。
大阪バス協会事件(平成7年7月10日)は、バスの貸し切り運賃が道路運送法上刑罰で禁止されている金額よりも大幅に低くなっていたところ、バスの事業者団体の大阪バス協会が料金を適法な金額に近づけるために賃上げのカルテルを行いました。
審決では、元の賃料が違法であり、このカルテルが独禁法上保護する競争を実質的に制限するものではないとされました。
次回は、談合の問題点等について解説します。
~大阪で独占禁止法違反でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。~
【大阪の刑事事件】独占禁止法違反を大阪の刑事事件に強い弁護士が解説③
今回からは、独占禁止法の不当な取引制限について解説します。
~独占禁止法第2条第6号(不当な取引制限) -談合ー ~
独占禁止法では、「不当な取引制限」にあたるとして談合を禁止しています。
「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもってするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいいます。(第2条第6号条文を引用)
一定以上の価格にすることを取り決める価格カルテルや、入札談合などがこれに当たります。
こうした不当な取引制限をした者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。(第89条第1項)。
ちなみに、不当な取引制限は未遂も処罰の対象となります。
~共同して相互の事業活動を拘束~
「不当な取引制限」をしたとして刑罰を科すためには、事業者同士が「共同して…相互にその事業活動を拘束し、又は遂行」する必要があります。
一方的に相手や自分の事業活動を拘束したり、偶然事業者同士が同じ活動をしても「共同して…相互にその事業活動を拘束し」たとはいえず、事業者間に何らかの意思の連絡が必要とされているのです。
東芝ケミカル事件の審判決例では「複数事業者間で相互に同内容又は同種の対価の引き上げを実施することを認識ないし予測し、これと歩調をそろえる意思があること。」を意味するとしています。
直接事業者同士が会って約束することまでは必要されておらず、他の事業者の価格引き上げを認識して暗黙の裡に認容することで足りるとされています。
時効や共犯などの関係で、いつこの「拘束」や「遂行」が行われたのかが問題となります。不当な取引制限違反の罪の時効は5年ですので、「拘束」や「遂行」が5年以上前に行われたとなると、公訴時効が成立し、起訴されないからです。
また、途中から談合に加わった者であっても、「拘束」や「遂行」が終わった後で加わったのであれば共犯者とならないことになります。
長期にわたる談合の場合、基本ルールについての合意があった後に、個別の発注において個別調整が行われます。
多くの裁判例では、基本ルールの合意を「相互に…拘束」、個別の発注における調整を「遂行」として、不当な取引制限の罪の包括一罪として処罰しています。
基本ルールの合意が5年以上前であっても、個別の受注調整が5年以内に行われたのであれば、不当な取引制限違反の罪に問われるのです。
また、基本ルールの合意には参加していなくても、後の個別の受注調整に携わった者も、不当な取引制限をした罪に問われてしまいます。
次回は、引続き独占禁止法の不当な取引制限の要件について解説します。
~大阪で独占禁止法違反でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。~
【大阪の刑事事件】独占禁止法違反を大阪の刑事事件に強い弁護士が解説②
2回目の今回は、独占禁止法違反の刑事手続きについて解説します。
~専属告発~
私的独占や不当な取引制限などの罪は誰でも告発できるわけではありません。
まず公正取引委員会が、独占禁止法違反の疑いがある事件(第89条~第91条)を調査をします。
このような公正取引委員会が調査する事件を、犯則事件といいます。
そして公正取引委員会が調査した事件から、悪質性が高く刑事罰を科すことが相当と判断した事件に告発をすることになります(第96条第1項)。
この告発ができるのは公正取引委員会だけです。
~両罰規定~
法人の役員や従業員が独占禁止法違反の行為をするのは、法人の指示の下、法人の利益のためだと考えられます。
そのため法人の役員や従業員が独占禁止法違反の罪に問われても、法人を放置していては違反行為を是正できません。
そのため、役員や従業員が独占禁止法に抵触すれば、法人も刑事罰を受けることになっています。
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても刑を科されるのです。
私的独占又は不当な取引制限、一定の取引分野における競争の実質的制限では、5億円以下の罰金(第95条第1項第1号)が科され、排除措置命令に従わない場合は3億円以下の罰金(第95条第1項第2号)が科せられます。
~特許又は実施権の取り消し及び政府との契約禁止の宣言~
独占禁止法違反で起訴されると、裁判所は、情状により刑の言渡しと同時に
①違反行為に供せられた特許権の特許又は特許発明の専用実施権若しくは通常実施権は取り消されるべき旨
②判決確定後6月以上3年以下の期間、政府との間に契約をすることができない旨
を宣告をすることができます。
特許庁長官は、判決謄本の送付があれば、その特許権の特許又は特許発明の専用実施権若しくは通常実施権を取り消さなければなりません(第100条第3項)。
次回からは、独占禁止法の不当な取引制限の要件について解説します。
~大阪で独占禁止法違反でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。~
【大阪市浪速区の色情盗】窃盗罪で逮捕 牽連犯に強い弁護士
~事件~
会社員Aは、大阪市浪速区のワンルームマンションのベランダから、干してある女性用下着を盗む色情盗を繰り返しました。
犯行現場近くの防犯カメラに犯行状況が映っていたことが決め手となって、Aは、大阪府浪速警察署に窃盗罪で逮捕されました。(フィクションです。)
~窃盗罪(色情盗)~
色情盗とは、下着泥棒のことで「窃盗罪」に当たります。
Aのように、マンションのベランダに干してあった下着を盗んだ場合は、窃盗罪だけでなく、刑法第130条の住居侵入罪にも問われる可能性があります。
マンションの敷地やベランダに不法に侵入(住居侵入罪)して、下着を盗んだ(窃盗罪)場合は、この二つの罪は牽連犯として扱われます。
牽連犯とは、数個の犯罪が、手段と目的の関係にある場合をいいます。
~牽連犯の科刑~
牽連犯は、刑を科する上で一罪として扱われます。
牽連犯は、数個の犯罪のうち、最も重い罪の法定刑によって処断されるので、色情盗の場合ですと「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が定められている窃盗罪の方が、「3年以下の懲役又は10年以下の罰金」が定められている住居侵入罪よりも重いので、起訴されて有罪が確定すれば、窃盗罪の法定刑内で刑事罰を受けることとなります。
ただしAのように色情盗を繰り返している場合は、それぞれの事件は併合罪として扱われるので、2件以上の色情盗で起訴された場合の法定刑は「15年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となります。
大阪市浪速区の色情盗でお困りの方、ご家族、ご友人が窃盗罪で逮捕された方、牽連犯に強い弁護士のご用命は、大阪で刑事事件に特化している弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
~無料法律相談や、大阪府浪速警察署までの初回接見サービスのご予約は0120-631-881で24時間、年中無休で受け付けております。~
【大阪市淀川区の刑事事件】銀行口座が凍結 犯罪収益移転防止法違反に強い弁護士
~事件~
大阪市淀川区に住む無職Aのもとに、大手都市銀行から「Aさんの銀行口座が犯罪に使用されたので銀行口座を凍結しました。」と電話がありました。
Aは生活口座に使用している他の銀行の口座も凍結されてしまい、不安になって刑事事件に強い弁護士に相談しました。(フィクションです。)
犯罪収益移転防止法で銀行口座の譲渡を禁止しています。
Aのように、、銀行口座が凍結された方は、犯罪収益移転防止法違反等の犯罪を疑われている可能性があります。
1.犯罪収益移転防止法(銀行口座の譲渡を禁止)
犯罪収益移転防止法とは、犯罪収益が組織的な犯罪を助長するために使用されるとともに、犯罪収益が移転して事業活動に用いられることによって健全な経済活動に重大な悪影響を与えることや、犯罪収益の移転が、被害回復等を困難にしていることから、犯罪収益の移転防止を図り、国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的にする法律です。
~銀行口座の譲渡~
犯罪収益移転防止法第28条は、銀行口座の譲渡を禁止しており、これに違反すれば1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はその両方が科されます。
罰金刑が定められているので初犯であれば、略式罰金の可能性が高いですが、複数の銀行口座を譲渡していた場合は、起訴されて公開裁判になる可能性があります。
また銀行口座の譲渡が業として行われた場合は、3年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金(又はその両方)と厳しい罰則が科せられるおそれもあります。
2 銀行口座の凍結
銀行口座が凍結される理由としては、実際に、振込め詐欺等の犯罪に使用された場合だけでなく、不可解な取引があり犯罪に使用されている可能性が高い口座も凍結されるおそれがあります。
また不正に利用された口座だけでなく、当該口座の名義人が所有する他の銀行口座も、犯罪に利用されるおそれのある口座として、同時に凍結されることもあります。
この様な理由で口座が凍結されてしまうと、凍結口座の取引ができなくなるだけなく、債権が消滅したり、今後、銀行口座を開設できなくなる場合もあるので注意してください。
犯罪に利用されたり、利用されるおそれがあることを理由に銀行口座が凍結されてしまうと、債務整理や相続が理由で口座凍結された時のように簡単に解除することができないので、刑事事件に強い弁護士に相談してください。
大阪市淀川区の刑事事件でお困りの方、ご自身の銀行口座が凍結されてお困りの方、犯罪収益移転防止法違反で警察の取調べを受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
【大阪ミナミの昏酔強盗事件】未遂を主張できるか 刑事事件に強い弁護士が解説
~事件~
大阪ミナミでスナックを経営するAは、昏酔させて所持品を盗む目的で、客に睡眠薬を混入したビールを飲ませましたが、すぐに客は昏酔状態に陥りませんでした。
その為Aは、客の隙を見て背広から財布を抜き取り、中から現金10万円を盗み、財布を背広のポケットに戻しました。
結局、昏酔状態に陥ることなく客は退店し、その後帰宅途中のタクシー内で昏酔状態に陥ったといいます。
この事件でAは、大阪府南警察署に昏酔強盗罪で逮捕されましたが、Aは、被害者が昏酔していないので未遂を主張しています。
昏酔強盗罪【刑法第239条】
人を昏酔させて財物を盗取すれば昏酔強盗罪となり、起訴されて有罪が確定すれば、強盗罪と同じく5年以上の有期懲役が科せられます。
「昏酔させる」とは、人の意識作用に一時的又は継続的な障害を生じさせることをいい、その方法には制限はありません。
未遂に当たるか
Aは「財布を盗んだ時に、被害者は昏酔していなかったので、昏酔強盗未遂罪である。」と主張しています。
今回の事件で、昏酔強盗罪の着手が認められるのは、財物を窃取する目的で被害者に睡眠薬入りのビールを飲ませた時で、これについては議論の余地はありません。
一見すれば、昏酔強盗罪とは、昏酔状態に陥ったのに乗じて財物を盗取することだと思われがちで、この理論に則って考えると、Aの主張は認められそうです。
しかし、過去の判例では、昏酔強盗の故意をもって実行に着手し、被害者を昏酔状態に陥らせている上に、当初の犯意どおり財物奪取の目的を遂げていれば、全体的に考察して、昏酔強盗罪の既遂が認められています。
つまり、昏酔強盗の故意をもって実行に着手し、「財物の窃取」と「被害者が昏酔状態に陥る」という結果が発生していれば、その結果が発生する順番は、昏酔強盗既遂罪の成立に関係ないということです。
この様な見解から、Aの主張が退けられる可能性が高いですが、刑事事件に強い弁護士を選任する事で、不起訴や、執行猶予付きの判決等、少しでも軽い刑事処分を望むことができます。
大阪ミナミの昏酔強盗事件でお悩みの方、未遂罪を主張したい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
大阪府南警察署までの初回接見費用:35,400円
初回接見費用:無料
【末吉弁護士】窃盗再犯で求刑より下げて執行猶予付判決獲得
1 事案
Aは、バッグを万引きしたとして窃盗罪で起訴されましたが、Aには窃盗罪での罰金前科が2回ありました。
弁護士がAと公判に向けて打ち合わせを重ねていくうちに、公訴事実や公判請求証拠には表れていないものの、起訴された万引きと同じ日にさらに別の場所で万引きをしていたことが分かりました。
2 弁護活動
Aは窃盗再犯であり、2度の罰金をいずれも完納することが出来ず労役場に入っていたこと、及び前科から間がなく同種再犯であったことから、実刑判決が出る可能性が高い事件でした。
Aの公判弁護を担当した末吉弁護士は、起訴された内容に含まれていない余罪の万引きについて、公判廷で明らかにすべきかAと協議しました。
その結果、Aは自分の反省を示すために、余罪についても公判廷で話す決意をしました。
そこで、末吉弁護士は、余罪について公判廷で明らかにすること、余罪について追起訴をしないことについて検察官と協議しました。
また、末吉弁護士は、Aに反省文の作成を促すとともに、被害店舗に示談交渉を行い、さらに、Aに精神科への通院や就労の支援を行いました。
示談はできなかったものの、被害品が返還されてすでに販売済みであることを被害店舗に確認し、そのことを末吉弁護士は報告書にまとめました。
そして、大阪地方裁判所で行われた公判で、Aの反省文や末吉弁護士の報告書を証拠請求し、また、Aの母親に今後Aを監督することを証言してもらいました。
被告人質問では、Aの余罪について詳細に語ってもらうとともに、精神科への通院や就労への努力をしていることを明らかにしました。
検察官は、Aに対して懲役1年を求刑しましたが、末吉弁護士は余罪についても公判廷で自供したことを反省を示す一事情として評価した上、Aが再犯防止に向けて努力していることなど有利な事情が多々あることを弁論で訴えました。
その結果、Aには懲役10月、執行猶予3年の判決が宣告されました。
一般に、執行猶予付き判決が出る場合、懲役刑の重さは求刑通りであることがほとんどですが、窃盗再犯で求刑より下げて執行猶予付判決が出たことは、弁護士の活動が功を奏した結果であるといえます。
再犯であったとしても、弁護士とともに再犯防止に向けた様々な活動を行い、それを裁判所に理解してもらうことで執行猶予付判決を得られたり、量刑が軽くなったりすることが明らかになった事件であったといえます。
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