◇事件概要◇
依頼者の妻(50代女性、専業主婦、前科なし)が、兵庫県尼崎市内の商業施設で時計や財布等数点を万引きした窃盗事件です。依頼書の妻は、万引き行為を目撃した警備員に捕まり、警備員の通報を受けて駆け付けた管轄警察署の警察官に逮捕されました。被疑者である妻には万引きの余罪が複数ありましたが、当事務所の刑事事件専門の弁護士を選任され、被害店舗責任者との間で、迅速に被害弁償(被害品の買い取り)と示談を成立させることで、早期釈放と不起訴処分による前科回避を実現した事案です。
◇事件経過と弁護活動◇
妻の逮捕を知った夫から初めて当事務所に連絡をいただいた際、被疑者である妻は逮捕勾留されて警察署の留置場に身体拘束されていたため、夫には事件や捜査状況についての情報がほとんどありませんでした。そこで、当事務所の刑事事件専門の弁護士が直ちに警察署に赴き妻本人と接見(面会)することで、被疑者本人は万引き行為を認めていること、代金未払いの被害品を多数所持していて逮捕事実以外にも万引きによる窃盗の余罪が複数発覚していることがわかりました。
被疑者である妻は、窃盗の余罪が複数発覚していたこと、及び被害金額も多額にのぼっていたことから、長期間の身柄拘束及び懲役刑のリスクが生じており、依頼者である夫から、早期釈放及び懲役刑を回避して社会復帰し易くなるよう、当事務所の弁護士に刑事弁護活動の依頼がありました。
被疑者である妻は,刑事事件の手続きや処分に不安を感じる一方で,被害者(被害店舗)への謝罪と反省の気持ちを有しておられました。依頼を受けた弁護士は,被疑者に対して,刑事手続きの流れや取調べ対応をアドバイスして不安を少しでも取り除くよう努めるとともに,すぐに被害店舗への謝罪と弁償による示談交渉に動きました。
被害店舗との示談交渉では,被疑者や夫に謝罪文を作成していただき,被害店舗の責任者に対して余罪も含めた被害弁償と謝罪の意思をお伝えさせていただきました。弁護士は、被疑者に二度と事件現場には近づかないことを誓約させ、心療内科やカウンセリング等を受診させて万引き行為の原因を解消することで万引きの再発防止に取り組むなど具体的な再発防止策を講じることで,被害店舗の方に納得してもらえるよう努めました。このような早急かつ粘り強い交渉の結果,窃盗余罪も含めて被害店舗と示談をまとめることに成功し,被害店舗の責任者からはお許しの言葉をいただくことができました。
示談をまとめることに成功した弁護士は,検察庁の検察官に対して,被害店舗との間で示談が成立して宥恕されていること,被疑者が反省して具体的な再発防止策に取り組んでいること、本件万引き事件は被疑者の精神疾患が影響しており処罰より治療を優先すべきであること等を主張して,前科のつかない不起訴処分が相当であると訴えました。弁護士の活動により,本件万引き事件は,依頼から1週間で、被疑者の釈放と不起訴処分獲得を実現しスピード解決となりました。弁護士が余罪も含めて示談を成立させていたことから、被疑者である妻は再逮捕されることもなく、不起訴処分により前科がつかずに社会復帰を果たされました。