~ケース~
尼崎市に住むAは、口論になった友人を殴って怪我を負わせました。
友人が兵庫県尼崎東警察署に被害届を提出したことから、Aは、警察から呼出しを受けましたが、警察に出頭しようか迷っています。(このストーリーはフィクションです。)
刑事事件に強い弁護士が、警察の呼出しに応じなかった場合の、逮捕のリスクを解説します。
1.逮捕
逮捕には、現行犯逮捕、緊急逮捕、通常逮捕の3種類が存在します。
今回のケースのような傷害事件では、通常逮捕が予想されるので、まずは通常逮捕について解説します。
(1)傷害事件の逮捕までの流れ
①事件発生⇒②被害者が警察に届け出る(被害届を提出)⇒③警察が事件を捜査⇒④警察が犯人を割り出す⇒⑤警察が裁判官に逮捕状を請求⇒⑥裁判官が逮捕状を発付⇒⑦警察が犯人を逮捕
(2)逮捕の必要性
警察が犯人を割り出せば、そこで犯人を逮捕する必要があるかどうかが判断されます。
これを法律用語で逮捕の必要性といいますが
●逃亡するおそれ
●罪証を隠滅するおそれ
の何れかがあれば、逮捕の必要性が認められます。
つまり警察が割り出した犯人に、逃亡するおそれがあったり、証拠隠滅の可能性が認められた場合は逮捕されるリスクが非常に高くなるのです。
逆に、ここでこれらの必要性が認められなければ逮捕される可能性が低くなり、その後は身体拘束を受けることなく警察の呼出しに応じて取調べを受けることとなります。
2.警察の呼出しに応じない
今回のケースでAのように傷害事件を起こして、警察の呼出しに応じなかった場合、逮捕のリスクが生じてしまいます。
警察が犯人を呼び出す場合、不拘束で取調べることを前提に犯人を呼び出すケースがほとんどですが、この呼出しに応じないとなれば、警察は逃走するおそれがあると判断する可能性が大です。
そうなった場合、警察は「犯人を呼び出しましたが出頭しません。」ということを疎明して、裁判官に逮捕状を請求し、最終的には逮捕されることとなってしまいます