~ケース~
先日、尼崎市の拘置所に受刑者の身分で拘禁されていた男が逃走しました。
警察は、逃走罪で指名手配して、この男の行方を捜しています。
(平成30年4月8日に、愛媛県今治市の松山刑務所施設で発生した受刑者逃走事件を参考にしたフィクションです。)
逃走罪~刑法第97条~
裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したら逃走罪となります。
逃走罪の主体となるのは、刑務所に服役中の受刑者や、警察署の留置場や拘置所に勾留中の被疑者、被告人等ですが、逮捕から勾留されるまでに留置されている被疑者や、少年院から収容されている少年については、逃走罪の対象となりません。
逃走罪で起訴されて有罪が確定すれば、1年以下の懲役が科せられます。
加重逃走罪~刑法第98条~
逃走罪の主体となる者又は拘引状の執行を受けた者が、拘禁場若しくは拘束の器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して逃走すれば、加重逃走罪となり、その罰則規定は、3月以上5年以下の懲役と、逃走罪と比べると厳しいものになります。
今回のケースのように、受刑者が拘置所から逃走した事件ですと、拘置所の窓ガラスを割ったり、手錠を破壊したりして逃走すれば加重逃走罪となりますが、単に、無施錠の窓を乗り越えて逃走していれば、逃走罪が適用されます。
なお、愛媛県今治市で起こった実際の逃走事件は、比較的刑の軽い、初犯の受刑者が収容される刑事施設であったために、高い塀や、窓に格子が設置されていなかったために、損壊行為なく逃走しているようですので、逃走した受刑者には逃走罪が適用されて、指名手配されているようです。