万博会場での万引き事件で逮捕された少年の弁護活動 保護観察処分を獲得

先日まで開催されていたEXPO2025大阪・関西万博の会場で、キャラクターグッズ等を大量に万引きしたとして窃盗罪で逮捕された少年の弁護活動・付添人活動を行い、事件を無事解決したので、その弁護活動をご紹介します。

万博会場での刑事事件

発表によりますと、約半年間にわたって開催されたEXPO2025大阪・関西万博には、開催期間中に2500万人以上が来場したようです。
万博開催期間中は、大阪府警が会場に特別警察隊を設置し、会場内の事件・事故を専門に扱ったようですが、この警察隊が扱った事件の数は1000件近くに及び、そのうち60件の事件については、犯人が逮捕されたり書類送検されたりしています。
本日紹介する事件はそのうちの1件です。

事件の概要

逮捕された10代の少年は、SNSで知り合った複数の少年と共に、万引きをする目的で万博を訪れました。
そして、会場内にある複数のお店で、キャラクターグッズや、模型、菓子類等の万引きを繰り返しました。
あるお店で店員に見つかったことから警察が捜査を開始し、少年は犯行から数週間後に警察に逮捕されてしまいました。
少年は、総額で数十万円分の商品を万引きし自宅に持ち帰っており、一部の商品についてはインターネットで転売していました。

万引き事件

成人の場合

万引きは窃盗罪となります。
窃盗罪は刑法第235条に規定されているとおり、法定刑は「10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」です。
コンビニで数百円の食料品を盗むといった軽微な万引き事件であれば、こういった法定刑の適用を受けず微罪処分という前科が付かない手続きで処理されることもありますが、今回の事件のように、複数店舗で犯行を繰り返している場合や、被害額が高額に及ぶ場合、万引きした商品を転売している場合等は、万引き事件の中でも悪質性が高い事件に分類されるので、例え初犯であっても公判請求されて、刑事裁判となる可能性があります。

少年事件の場合

万引きした犯人が少年の場合は、先に説明した法定刑の適用を受けません。(逆走された場合を除く)
逮捕や勾留といった手続きについては成人事件と同じように進みますが、勾留期間を終えてからは、家庭裁判所に送致されて少年事件独自の手続きが進むこととなります。
少年事件の場合、初犯の軽微な万引き事件であれば、家庭裁判所に送致されても観護措置が決定する可能性は低く、在宅で家庭裁判所の調査を受け少年審判を待つことになりますが、少年審判が開かれない(審判不開始)可能性もあります。
しかし今回の事件のように悪質性の高い万引き事件の場合は、家庭裁判所に送致されると同時に観護措置が決定し、少年鑑別所に収容されて心身鑑別を受けなけれなりません。
約4週間の観護措置を経て少年審判を受けることになりますが、ここで家庭での更生が難しいと判断されてしまうと少年院送致等の厳しい処分となってしまいます。

弁護活動の内容

少年の家族から依頼を受け、逮捕された少年のもとに派遣された弁護士は少年と面会しました。(初回接見サービス
この面会において少年の起こしてしまった事件の内容を把握した弁護士は早速弁護活動を開始し、まずは釈放に向けて動き出しましたが、一緒に事件を起こした少年が逃走していたことや、複数の店舗で大量の商品を万引きしていること等から早期釈放はかなわず、結局、少年が釈放されたのは少年審判を終えてからになってしまいました。
弁護士は、勾留や観護措置で少年鑑別所に収容されていた少年に何度も面会し、取調べに対するアドバイスや、少年審判に向けての準備、そして更生に向けての取り組みを行いました。
面会の際、弁護士は、少年が二度と同じ過ちを犯さないように、反省を深めてもらうことを心掛けました。
また同時に、少年のご家族に対しても、少年の更生に向けてどういった取り組みを進めるべきなのかをアドバイスしました。
そして家庭裁判所に送致されてからは、家庭裁判所の調査官と連絡を取り合い、どういった処分が少年の更生に効果的かを検討しました。
こうした活動を経て、弁護士は少年に対する処分について「保護観察処分」が妥当だと判断し、家庭裁判所に意見書を提出しました。
少年審判では、事件の内容は悪質であるものの、少年が反省し、親元で更生することを誓っていること等から「保護観察処分」が言い渡されました。
また確認できた被害店舗に対しては商品を買い取ったり、万引きした商品の代金を支払う等して被害弁償を行いました。

弁護活動を終えて

弁護活動を開始した当初は、被害品を転売していた事実があることなども含めて、悪質性の高い万引き事件であることから、少年院送致となる可能性が非常に高いと判断していました。
しかし、いざ少年との接見を重ねるうちに、少年が更生に向けて意欲的であり、またご両親がそういった少年の姿勢に対して積極的に協力しようとしていることが分かりました。
そのため少年院送致を免れ、何とか家族のもとで更生に向けた取り組みができないものかと、家庭裁判所の調査官とも話を重ねた次第です。
そして最終的には、少年の更生に向けた意欲と、ご家族が少年の更生に向けて非常に強力的であることが認められて、少年は保護観察処分となりました。
このように結果については非常に満足できるものでしたが、これは少年の更生に向けた第一歩に過ぎません。
今後は少年が更生し無事に成人することを願っています。

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