インターネットが普及し、SNSの利用者は増加する一方です。
SNSは手軽に世界中の人達と簡単につながりあえる非常に便利なツールではありますが、SNSを利用した犯罪は後を絶たず、警察が取り締まりを強化しているのも事実です。
そこで本日のコラムでは、実際に起こった事件を紹介しながら、SNSにまつわる未成年に対する性犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

【ケース1】未成年に対してわいせつ行為
SNSで知り合った当時16歳の女子高校生に現金を渡す約束をして、いかがわしい行為をした疑いで50代の男性が逮捕された事件。
逮捕された男性は、警察の取調べに対して「高校生だとは聞いていたが、詳しい年齢は知りませんでした」と容疑を一部否認しているということです。
(参考とした記事は こちら )

冒頭でも記載したようにSNSは簡単に世界中の人達とつながり、連絡を取り合うことができますが、それゆえに、自分が罪を犯しているという意識が薄れたり、犯行が警察に発覚しないと思い込んでしまいがちです。
このケースで紹介した事件については、SNSを利用した性犯罪としては非常によく目にする事件の内容です。
まずSNSで知り合った未成年に対するわいせつ行為がどういった罪に抵触するのかについて解説します。
不同意性交等罪・不同意わいせつ罪
まず不同意性交等罪や、不同意わいせつ罪について検討してみましょう。
不同意性交等罪や、不同意わいせつ罪は、刑法に規定されている犯罪で、相手の同意なく、性交やわいせつ行為に及んだ場合に成立する犯罪です。
不同意性交等罪については、平成29年までは強姦罪とされており、その後、強制性交等罪となり、
令和5年に施行された法律で、罪名が変わるたびに規制内容が変更されて現在に至ります。
また不同意わいせつ罪については、不同意性交等罪が施行されると同時に施行された法律で、それまでは強制わいせつ罪でした。
不同意性交等罪・不同意わいせつ罪が成立するかは、相手の同意があるかどうかが争点となることがよくありますが、同意の有無にかかわらず不同意性交等罪・不同意わいせつ罪が成立することがあるので注意が必要です。
その同意の有無にかかわらず不同意性交等罪・不同意わいせつ罪が成立する場合とは
①相手が13歳未満の場合
②相手が13歳以上16歳未満で、行為者の年齢が相手より5歳以上年長の場合
です。
上記①②に該当する場合は、例え、相手方が性交(わいせつ)行為に同意していたとしても、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪といった犯罪が成立するので注意が必要です。
今回のケースでは、相手方は16歳の女子高生という事なのでニュース記事を読む限りでは、不同意性交等罪・不同意わいせつ罪が成立する可能性は非常に低いでしょう。
ちなみに不同意性交等罪や、不同意わいせつ罪の法定刑は
不同意性交等罪・・・5年以上の有期拘禁刑
不同意わいせつ罪・・・6か月以上10年以下の拘禁刑
です。
児童買春
続いて児童買春の罪について検討してみます。
児童買春は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」で禁止されている行為です。
この法律を読み解くと、「児童買春」とは、18歳未満の者(児童)に対して、対償を供与し、又はその供与の約束をして、性交等のわいせつ行為をしたり、自分の性器等を触らせることを意味します。
児童買春の法定刑は、5年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金です。
今回のケースで、相手が16歳の女子高生という事は、児童買春でいうところの児童に当たり、現金を渡す約束をしたというのは、対償の供与を約束したという事になるので、今回のケースは児童買春の犯罪が成立している可能性が非常に高いでしょう。
年齢の不知
未成年を相手(被害者)とする犯罪でよく問題となるのが「年齢の不知」です。
年齢の不知とは、行為者が、相手(被害者)の年齢を知らないという意味です。
つまり行為者が、相手(被害者)の年齢を知らないと、そもそも犯罪に対する故意が認められないので、相手方(被害者)や行為者の年齢が関係する不同意性交等罪や不同意わいせつ罪、また児童買春の罪等が成立しない可能性が出てくるということです。
確かに、年齢の不知が認められると、法律的には、犯罪の故意が認められないので、こういった罪が成立しないことになります。
ただ年齢の不知が認められるには、可能な限り、年齢を確認するための措置を講じておかなければならないでしょう。
行為の内容から保護者に年齢を確認するというのは現実的ではありませんが、せめて運転免許等の顔写真のある公的証明書で年齢を確認するぐらいはしておかなければ、例え「年齢を知らなかった」と供述したとしても、年齢の不知が認められるとは限らず、未必の故意が認定されてしまう可能性があります。
【ケース2】女子中学生にわいせつ動画を送信させた高校生が逮捕
SNSで知り合った女子中学生にわいせつ画像を要求し、SNSで送信させて動画データを保存したとして、18歳の男子高校生が児童ポルノ製造罪で逮捕されました。
(こちらの記事から抜粋した事件です。)

児童ポルノとは
まず何が児童ポルノに該当するのかについてみていきましょう。
児童ポ児童ポルノとは、簡単に言うと18歳未満の者が映っているわいせつな画像・動画を意味します。
わいせつな、とは分かりやすく言うと、性交等罪の様子は当然のこと、体の性的な部分が強調されて性欲を興奮、刺激するような内容のもの、また最近では生成AIを用いて作成された18歳未満のわいせつな画像・動画も児童ポルノに該当するとされています。
禁止されている内容は
児童ポルノについては、所持や保管、製造、そして第三者への提供、輸出入等が禁止されています。
所持は、写真や、DVD等の記録媒体を自己の支配下に置くことで、保管というのは、児童ポルノの電磁的記録(データ)を自己の実力的支配内に置いておくことを意味します。
インターネット上でダウンロードして入手した、児童ポルノのデータを自宅のパソコンに保存していると、これは児童ポルノの所持や保管罪となります。
当然、児童ポルノを自身が管理するクラウド上に保存していた場合も、所持や保管罪が成立します。
また製造というのは、自身で児童ポルノに該当する写真や動画を撮影する行為の他、児童に児童ポルノに該当する写真や動画を撮影させる行為も含まれます。
また生成AIを使って児童ポルノに該当する画像や動画のデータを作成しても、児童ポルノの製造罪となります。
今回のケースで逮捕された男子高校生は、女子中学生にわいせつ画像を要求したとされています。
おそらく女子中学生に自身の裸の写真等、児童ポルノに該当する写真等を撮影させていたと思われますので、児童ポルノ製造罪に抵触することは間違いないでしょう。
児童ポルノに関する刑事罰は
児童ポルノ法で規制されている内容と、その刑事罰は以下のとおりです。
・自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持する行為。同様の目的で、これに係る電磁的記録を保管する行為
1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金
・児童ポルノを提供する行為
3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
・児童ポルノを提供する目的で製造・所持等する行為
3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
・児童ポルノを製造する行為
3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
・盗撮により児童ポルノを製造する行為
3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金
・不特定多数に児童ポルノを提供又は公然と陳列する行為
5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金又は併科
・不特定多数に提供又は公然と陳列する目的で、児童ポルノを製造・所持等する行為
5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金又は併科
・不特定多数に提供又は公然と陳列する目的で、児童ポルノを輸入し又は輸出する行為
5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金又は併科
【ケース3】女子中学生にわいせつ動画を撮影させる行為が不同意わいせつ罪に
ここで紹介する事件は、女子中学生にわいせつ動画を撮影させるという点では、ケース2と同様の行為(児童ポルノ製造)ですが、不同意わいせつ罪が適用された事件を紹介します。
会社員の男性Aは、SNSで知り合った女子中学生とSNS上でやり取りをして親密な関係になりました。
そんな中で、Aは、女子中学生に示威行為を動画撮影するように要求し、その動画をAに送信するように要求したのです。
女子中学生が親に相談したことから事件が発覚し、Aは不同意わいせつ罪で逮捕されてしまいました。(実際に起こった事件を基にしたフィクションです。)
離れていても不同意わいせつ罪は成立するのか
不同意わいせつ罪や不同意性交等罪は、相手に対して直接接触しなければ成立しないように思われますが、相手にどういった内容の画像、動画を要求し、実際に相手がどういった行為に及ぶかによっては、被害者と加害者が離れていても不同意わいせつ罪や不同意性交等罪が成立する可能性があり、そのような行為で、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪で逮捕された方がいるようです。
こういったケースで、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪で立件されるケースとしては、被害者が13歳未満の場合や、被害者が13歳以上16歳未満で加害者が被害者より5歳以上年上であることがほとんどです。
それは犯罪の成立に可否に、被害者の同意に有無が影響しないからではないかと思われます。
刑事事件に強い弁護士への相談をお勧め
このコラムをご覧の方で、SNSで知り合った未成年に対してわいせつなことをしてしまったことがある…SNSで知り合った未成年からわいせつな画像を送信してもらったことがある…といった方は非常に大きな不安を感じているのではないでしょうか。
実際に、そういった行為が警察に知れてしまい、ある日突然逮捕されるということが日本中で起こっているので、絶対に安心はできないでしょう。
また、もう行為から半年以上経過しているので大丈夫と安心している方もいるかもしれませんが、行為から時間が経過しているからといって、その後も安心できるかといえば、そうではありません。
警察にこういった違法行為が発覚するきっかけは様々だからです。
実際に、児童が補導されたことがきっかけで、1年以上前の児童買春行為で逮捕された事例や、1年以上前に入手した児童ポルノ画像をネットに投稿したことによって、児童が親に相談して警察沙汰になった事例など、犯行から相当期間経過して警察沙汰になった例はいくらでもあるので注意が必要です。
大切なのは、今すぐにでも弁護士に相談し、あらゆる事態を想定して対策を立てておくことです。
状況に応じて、今すぐ自首を検討することがベストな場合もあれば、逆に、何も動かずに待つことがベストな場合もあります。
あなたにとって、どういった行動がベストなのか弁護士に相談しアドバイスを求めてみてはどうでしょうか。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、こういった相談を初回無料で承っておりますので、無料法律相談をご希望の方は
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