大阪に住む会社員Aは、日常的に妻に対して暴力を振るっていました。
先日、裁判所から保護命令が発せられて、Aはその決定書を受けとりました。
DV防止法において裁判所が発する保護命令に違反した場合、刑事罰を受けるのでしょうか?
大阪の刑事事件に強い弁護士が解説します。
【DV防止法】
DV防止法とは、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」の略称です。
この法律は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図ることを目的にしており、暴行、傷害の行為そのものを取り締まったり、暴行、傷害した行為者に刑事罰を科すことを目的にしているものではありません。
【保護命令】
被害者は、裁判所に、加害者である配偶者、内縁の者等生活の本拠を共にする交際相手に対して、一定期間、被害者又は被害者の子や親族等のつきまとい等の禁止、住居からの退去をさせるための保護命令を申立てることができます。
保護命令は
①接近禁止命令
②退去命令
③子への接近禁止命令
④親族等への接近禁止命令
⑤電話等禁止命令
の5種類です。
【保護命令違反】
保護命令は刑事手続きではないので、裁判所から命令を受けても、前科、前歴にはなりませんが、裁判所の保護命令に違反した場合は、刑事罰の対象となり、警察に逮捕される可能性が生じます。
保護命令に違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。
DV防止法において加害者に対する罰則が規定されているのは上記した保護命令違反だけですが、昨今のDV事件における警察捜査では、DV防止法の保護命令を待たずして暴行、傷害罪等の法律を積極的に適用し、加害者を逮捕する傾向にあります。
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