~刑法を解説~27回目の本日は、第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~③~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
~刑法を解説~第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~①~については こちらをクリック
~刑法を解説~第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~②~については こちらをクリック
わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~③~
第22章に規定されている、わいせつ、強制性交等及び重婚の罪の中から、本日は
第178条 準強制わいせつ罪・準強制性交等罪
第179条 監護者わいせつ罪・監護者性交等罪
第180条 第176条~第180条の未遂罪
第181条 強制わいせつ罪致死傷罪・強制性交等致死傷罪
について解説します。
まず第178条の準強制わいせつ罪と準強制性交等罪について解説します。
これらは、心神喪失若しくは抗拒不能な状態の被害者に対して、わいせつな行為や性交等に及んだり、被害者を心神喪失や、抗拒不能な状態に陥らせて、わいせつな行為や性交等に及ぶことによって成立する犯罪です。
酒に酔って泥酔している被害者にわいせつ(性交等)行為に及んだり、治療を受けている患者等に対してわいせつ(性交等)行為に及んだり、睡眠薬を飲ませて意識もうろうとしている被害者に対してわいせつ(性交等)行為に及んだ場合に成立するのですが、この犯罪が成立するには、行為者が、被害者がそういった状態に陥っていることを認識していなければなりません。
続いて第179条の監護者わいせつ罪や監護者性交等罪は、18歳未満の被害者に対して、この被害者を現に監護する立場にある者が、その立場を利用してわいせつ(性交等)行為に及ぶことで成立する犯罪です。
ここでいう「現に監護する」とは、18歳未満の者を現に監督し、保護している立場の者を意味し、法律上の監護権を有している者であっても、実際に監護している実態がなければ「現に監護する」には該当しません。
強制わいせつ(性交等)罪・準強制わいせつ(性交等)罪・監護者わいせつ(性交等)罪については未遂であっても処罰の対象となります。(刑法第180条)
強制わいせつ罪や強制性交等罪に関する法律の最後に解説するのは、第181条の強制わいせつ罪致死傷罪や強制性交等致死傷罪です。
これらの犯罪は、強制わいせつ、強制性交等の際(未遂を含む)に、被害者に怪我を負わせたり、被害者を死亡させると成立する犯罪です。
準強制わいせつ(性交等)罪・監護者わいせつ(性交等)・準強制わいせつ(性交等)致死傷罪の罰則
①準強制わいせつ罪・監護者わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」です。
②準強制性交等罪・監護者性交等罪の法定刑は「5年以上の有期懲役」です。
③強制わいせつ致死傷罪の法定刑は「無期又は3年以上の懲役」です。
④強制性交致死傷罪の法定刑は「無期又は6年以上の懲役」です。
「~刑法を解説~第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~④~」に続く