~刑法を解説~26回目の本日は、第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~②~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
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わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~②~
第22章に規定されている、わいせつ、強制性交等及び重婚の罪の中から、本日は
第176条 強制わいせつ罪
第177条 強制性交等罪
について解説します。
まず第176条の強制わいせつ罪について解説します。
強制わいせつ罪は
①13歳以上の男女に対して、暴行や脅迫を用いてわいせつな行為をすること
②13歳未満の男女に対して、わいせつな行為をすること
を禁止した法律です。
強制わいせつ罪でいうところの「わいせつな行為」とは、前回解説した公然わいせつ罪等と同じく、性欲を刺激、興奮又は満足させ、かつ普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものを意味しますが、その判断基準は、その行為が被害者の性的自由を侵害するかどうかです。
また①の「暴行や脅迫」についてですが、暴行や脅迫の程度は、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度とされており、強盗罪のように被害者の反抗を抑圧するほど激しいものだったり、強制性交等罪のように被害者の反抗を著しく困難にする程度までも必要とされていません。
また急に背後から女性に抱き付いたような強制わいせつ事件のように、わいせつ行為そのものが、ここでいう暴行ととらえられる場合もあります。
②については、こういった暴行や脅迫が必要とされておらず、単に、わいせつ行為に及ぶと強制わいせつ罪が成立し、例え、相手の同意があったとして強制わいせつ罪が成立することに変わりありません。
ちなみに行為者が、相手が13歳未満であることを知らずにわいせつ行為に及んだ場合は、強制わいせつ罪は成立しないとされています。
続いて第177条の強制性交等罪について解説します。
強制性交等罪は
①13歳以上の男女に対して、暴行や脅迫を用いて、性交等すること
②13歳未満の男女に対して、性交等すること
を禁止した法律です。
強制性交等罪でいうところの、暴行や脅迫の程度は、前に解説した強制わいせつ罪におけるものよりも強いものが必要となりますが、被害者の反抗を抑圧する程度までは必要とされていません。
また強制性交等罪で禁止されている行為は、性交だけでなく、肛門性交や口腔性交も含まれており、被疑者となる可能性は、男性だけでなく女性であります。
男性が女性に対して無理矢理に、口淫させる行為は当然のこと、女性が男性に対して無理矢理に、口淫しても強制性交等罪となり得るので注意が必要です。
強制わいせつ罪、強制性交等罪の罰則
①強制わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」です。
②強制性交等罪の法定刑は「5年以上の有期懲役」です。
「~刑法を解説~第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~③~」に続く