~刑法を解説~25回目の本日は、第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~①~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~①~
第22章は、わいせつ、強制性交等及び重婚の罪が規定されています。
本日は、その中でも
第174条 公然わいせつ罪
第175条 わいせつ物頒布罪等
について解説します。
まず第174条の公然わいせつ罪についてですが、公然わいせつ罪は、公然とわいせつな行為をすることによって成立する犯罪です。
ここでいう「公然」とは、不特定多数の者が認識する可能性がある状態を意味し、実際に不特定又は多数の者によって認識されることまでは必要とされません。
また認識する者が特定人だけであっても、多数いる場合は公然性があると認められます。
また「わいせつな行為」とは、性欲の刺激、満足を目的とする行為で善良の風俗に反し、一般人に羞恥心を感じさせる行為をいいます。
公共の場所で下半身を露出する行為や、人前で性交渉する行為などが代表的ですが、例えば、同じ趣味を持つ複数人がホテルの一室に集い、そこでお互いの同意を得たうえで性行為に及んだ場合も公然わいせつ罪に抵触するので注意が必要です。
続いて第175条のわいせつ物頒布罪は、わいせつな文書や、図画、電磁的記録や、電磁的記録媒体等を頒布(交付、譲渡)したり、公然と陳列等することを規制した法律です。
またこういったわいせつな物を販売目的で所持することも禁止されています。(第2項)
この法律で対象とされている代表的な物は、無修正のわいせつ画像、動画です。
一昔前であれば無修正のアダルトビデオを販売してるお店などが、よくこの法律の適用を受けていましたが、インターネットの利用者が急増している現代では、ネット上に多くのわいせつ画像、映像が公開されていることから罪の意識が薄れ、一般の方々が手を出してしまいやすい犯罪の一つでもあります。
公然わいせつ罪、わいせつ物頒布罪等の罰則
公然わいせつ罪の法定刑は「6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
わいせつ物頒布罪等の法定刑は「2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料、又は懲役及び罰金の併科」です。
「~刑法を解説~第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~②~」に続く